「無能」の魔法
話の流れが無理矢理になってしまいました……
人物同士の絡みが非常に難しいです。
訓練場に着きました。訓練場の使用には許可がいるみたいだったので、さくっと許可を貰いました。まあ許可と言っても誰がどれくらい使う予定か、どっちの学園か、とかしか聞かれませんでしたけどね。
あれは許可というか、使用状況の把握のためだろうな、たぶん。
ちなみに今使ってるのは共通の訓練場だ。理由はわからないが、今は全く人がいない。
訓練場は三つあって、魔術学園専用、武術学園専用、そして今いる両方の学園の生徒が使える共通訓練場となっている。
「にしても、なんでお前は無能なんて呼ばれてるんだ」
「ああー。特殊な魔法っていっただろ?実は全然特殊ってわけでもないんだよな。ただ、まあ、なんていうか……。見ればわかるぜ」
「なるほどな。だけれども実際にお前は入試を通っているわけだ。じゃあ無能ではなかったっていう証明にならないのか?」
「普通だとなるんだけどなぁ、俺を無能呼ばわりし始めたのって、この街でも結構チャラくて顔が広い、口の軽いやつだったからさ。一気に浸透しちゃったんだよな……」
「そいつはご愁傷さま。じゃああれか、お前は魔法の価値をわからない連中にバカにされた結果、無能呼ばわりされたのか。」
「……まあ、そうとも言えるかな。なんでも地味でダサいんだとさ。」
「地味でダサい、ねぇ……」
どことなく気まずい雰囲気が出始めたところで、見慣れた白髪が飛び込んできた。
「リューク!」
「おっと」
「えへへ、来ちゃった」
呼ばれたんだから来ちゃった、ってのもおかしいよなぁ、なんて言葉は飲み込んだ。
武術学園の制服は白を基調にして、赤のラインが入っている感じのデザインだ。下はスカート、ニーソだ。つまりジュリアにとても似合っている。
「ジュリア、なんていうかさ。制服、似合ってるよ」
そう言うと、ジュリアが一瞬だらしない顔になる。だがそれも一瞬のこと。すぐに顔を引き締める。
「リュークもとても似合ってるわよ。」
やはり褒められると嬉しいもので、こっちも頬が緩んで来るのがわかった。
おっと、ジュリアに気をとられていてダリアに気づかなかった。しっかり褒めないとな。
「ダリアも似合ってるぞ」
「もう遅いわよ……」
少しいじけるダリア。悪いことをした……。
「兄様ー!助けてなの!」
そうこうしてるうちにリリア……とデルタが来た。あと知らない2人組も来た。
「おー、リリア。制服、似合ってるなあ」
「兄様ありがとうなの!じゃなくてデルタ兄様をなんとかして欲しいの!」
「しょうがないなあ。」
仕方が無いのでデルタに拳骨を落とす。
「いった……いなぁ。兄さん。」
「お前は見境がなさすぎるぞ、このロリコン」
「シスコンです(キリッ」
「自重しないと嫌われるぞ」
「それは困ります」
「なら謝れ」
そう言うとデルタはリリアに謝った。
「リリア……ごめん」
「もう二度としないなら許すの。次やったらもぐの。」
「ところで、そこのふたりは?」
「あ、どうも。ルナマリアです。リリアさんのルームメイトです。」
「僕はクロードだ。よろしく」
「俺はリューク。こいつらの兄貴だ。悪いな、弟が迷惑かけて。」
「いえいえ、お兄さんも大変なんですね。僕も兄弟が下に二人いるので少しわかります。」
「わかってくれるのかクロードくん!」
クロードくんとは仲良くなれそうだ。
その後は全員の自己紹介をした。
「ところでリューク。なんで呼んだの?」
「いや、俺のルームメイトのヨシュアがな、なんでも魔法が地味で特殊っぽくて、それで無能って呼ばれてるらしいからさぁ。どうなのかを見たかったし、特殊な魔法なら参考になるから呼んだんだ。」
「なるほど、つまり兄さんは彼の魔法が使えることを証明してあげたかったんですね。」
「それは違うな、魔法に興味があったのが本音だ。……まあ、それもなくはないがな。」
そういいつつ俺はヨシュアに向き合う。
「じゃあヨシュア、見せてくれよ。お前の……無能と呼ばれた魔法をな」
「あまり期待はしないでよ?」
そういいつつもヨシュアが魔法を使い始める。
さて、どんな魔法が出てくるのやら。
「いくよ!」
なるほど、あれは水属性の魔法だな。
「っ!」
ヨシュアを中心として魔力が高まり
───────魔法が完成した。
完成した魔法は実に地味だった。
ヨシュアの前方の10m×10mほどの範囲に、5cmほどの高さの水たまりができた。なるほどね、これは確かに地味だな。
「これが僕の魔法だよ……幻滅したでしょ?」
「なるほどな、これじゃあ直接攻撃ができないわけだ。わからないやつに無能って言われる理由もわかったなあ……」
だが、実際そうでもないと思うんだが。それをわかってる人間がしっかりと評価したからヨシュアは受かったのか?
「魔術学園に無能が入ったって……ヨシュア君のことだったんだね……噂は聞いてたけど……」
なんかクロードが気まずそうにしている。
優しいのはわかるが、この魔法を最初から使えないもの扱いするのは腹が立つな。
「クロード、あの魔法のところに立ってくれないか?ちょいとやりたいことがあるんだ。」
「ん?まあいいよ?」
「ヨシュア、クロード。ちゃんと見てろよ、この魔法は無能じゃないってこと、見せてやるよ!」
「何をする気だい!?リュークくん!」
ヨシュアがなんか言ってるが知ったことか。クロードには悪いが、生贄になってもらうぞ。
俺はヨシュアの出した水たまりに────
「エレキボール!」
──────手加減したエレキボールを撃ち込んだ。
水を伝って電気がクロードの体を襲う。
「うぐあああああああああ!!」
ちょっと刺激が強すぎたらしく、絶叫を上げてクロードが崩れ落ちた。
死んではない。大丈夫だ。
「ヒール」
すかさずに回復する。
そしてヨシュアの方に向き直り、
「な?無能ではなかっただろ?」
いたずらが成功した子供のように笑った。
「えーと、今なにをしたんだい?」
「わからなかったのか?水に電気を流した。」
「えっ?」
「この魔法、かなり使い勝手がいいな。少なくとも水の出ている範囲の敵には電気が効くからな。」
「うーん、フィールドそのものに変化を加える魔法ねぇ、今までは使ってなかったけど、これを機に開発しちゃおうかしら?」
「そうだなー、この水を凍らせたり熱したりする魔法を開発するか?なかなか面白いことができそうだ。」
「あー、いいわね。それ。広範囲攻撃が捗るわよ。」
「んで、どうだ?自分の魔法の新しい運用法を見出した感想は?」
「僕、魔法に魔法を重ねるなんて考えたことなかったよ……」
「一般的じゃあないのか?」
「うん、大体の人は見た目も派手な火魔法とかになるからね。必然的に出して攻撃して終わり、みたいな風潮になるんだよね。」
「なるほどなー。」
「ねえ、もしかしてリュークくんってかなり凄い?」
「わからないが、そこそこ強いとは自負してるぞ」
「そうかぁ……」
その後は全員で模擬戦をして、新しい魔法の構成の話などをしました。
ちなみに、俺とジュリアの戦いぶりにはクロード、ルナマリア、ヨシュアが驚いていました。あれはやっぱり異常なのか……。
解散して、部屋に戻ってくると、ヨシュアが難しそうな顔をしていました。
「どうした、そんなに難しい顔をして。」
「あのさ、リュークくんって、自分で魔法を作ったりとかしてる?」
「ああ、開発はするぞ。ここに来たのも新しい魔法理論とかがあると思ったからだしな。」
「じゃあさ、魔法なんだけど……一緒に作ったりして欲しいんだけど、いいかな?」
「おう。まあ、困ることもないしな。それに、仲間も欲しかったところだしな。でも、どうしていきなりそんなことを」
「だって強くなりたいじゃないか。リュークくんといれば強くなれる気がしたからね。」
「そうか。……強くなりたいなら、俺らの仲間にならないか?俺らは今、とある事情で仲間を増やしていてな。記念すべき第一号にだ。どうだ?」
「仲間、かぁ。んー、僕とリュークくんはルームメイトだし、相棒じゃだめかな」
「お!いいな、それ。じゃあ俺らは今日から相棒な。ところで、相棒になったからには呼び捨てにして欲しいんだが。」
「そうだね。じゃあ、お互いに頑張ろう、リューク。」
「ああ、それでいい。お互いに頑張ろうな。」
この日、ヨシュアはリュークの相棒となった。
後にヨシュアは最強の魔術師として歴史に名を残すことになるのだが、リュークがそんなことを知っているわけがなかった。




