第1話 いつもの放課後
初めまして。
この作品が初めての創作物になります。
当方、社会人ですので短いスパンでの投稿は少し難しいですがのびのびと進めて行きたいと思っています。
豆腐メンタルなので感想欄はみません。多分。
キーンコーンカーンコーン
間延びした電子ベルの音が今日の授業の終わりを告げ、クラスの担任教師がホームルームの終わりを告げる。
「…では、これで今日のホームルームは終 了ですが出した宿題は忘れない様に。
事故には注意して家に帰ること。
それでは皆さん、さようなら。」
そう締め切って担任は教室を後にし、残された生徒達は、部活の準備や親しい友人達と他愛も無い話を始めた。
まともな生徒ならこの後、部活なりバイトなりがあるのだろうが、帰宅部の少年達には関係の無い話である。
「ねえ、今日はどうしようか?」
と鞄の中へ学校のテキストを仕舞いながら、近くに居た友人達に声を掛けたのは、大柄な体格をし、整った顔をしている訳では無いが何となく親しみやすそうな雰囲気の顔立ちをした少年である。
「実は、変なゲームを手に入れた。」
黒色の髪を天を突く様に生やして、細い目が特徴的な少年が淡白な印象を与える話方で返事をする。
その場に居た最後の一人は、身長は低い
3人は、この学校へ入学して、同じクラスになり、初めて出会った。
ひょんな事から少しづつ話す様になり、お互いの趣味が共通だと理解してから、一気に親睦が深くなった。
今では、必ずと言っていい程、学校帰りに、3人の内の誰かの家へ行って、晩飯時になるまでダラダラとゲームをしたり、アニメや漫画を見たりして時間を潰すのが恒例となっていた。
極めて不健全ではあるものの、部活に入らず、かといってアルバイトをするような気力も無い。当然ながら彼女など以ての外。
そんな3人組が暇を潰すには、それが最も適していた。
「それでどんなゲームなん?」
と大柄な少年が細目の少年へ質問する。
「ジャンルとしては、RPGの様なんだが、中古で投げ売りされていた物を面白半分で買っただけで、ソフトの箱も説明書も無い状態なんだ。」
「…それ、ちゃんと動くんだろうな?」
と訝しむ低身長。
「わからん。昨日発売のゲームと一緒に買っただけでまだ起動して無い。」
とあっさりと答える細目。
「まあ他にやること無いし、今日はそれやるか。」
と大柄な少年が締め、自転車で細目の少年の家へ移動した。
細目の少年の部屋に入るとさっそくゲームソフトを取り出す。
「これなんだが…」
と細目の少年が差し出したソフトは、今では一番メジャーなディスクタイプの物で、タイトルには、アルファベットの様な文字が並び、背景には、ファンタジー物にありがちなドラゴンやら、剣を振り上げている中世ヨーロッパの騎士やらがプリントされているものだった。
「タイトルが全く読めないんだけど。どうやら英語でもないようだし…。ん〜ロシア語?」
大柄な少年が顎に手を添える。
「起動すればわかるんじゃね?」
言うが早いか低身長の少年がディスクを細目の少年からヒョイと取り、ゲーム機に挿入する。
ゲーム機は、挿入されたディスクを自然に飲み込んだ。
しかし、テレビの画面は、何の変化も無く、黒色を表示し続けるのみ。
「あれ?」
と声を上げた瞬間、テレビのスピーカーから女性の声が聞こえてきたが、話す言語がサッパリわからず、一層混乱を招いただけだ。
「何言ってるか全く分からないんだけど。」
「英語でもないし、どこの国のゲームだろ?」
「まあ、始まれば何とかなるっしょ。」
とそんなことを話している内に音声が止まり、画面が白く光出した。
「やっと始まるみたいだね。」
「駄ゲーだったら、即売りだわ。」
「つか、ドンドン眩しくなってんだが」
画面の発光は、留まることを知らず、テレビのスペックの限界を超えて輝いている様だった。
「眩し!」
「うおっ!」
「目がー!」
とそれぞれが悲鳴を挙げる。
今や画面の光は、目蓋を閉じても遮ぎれず、腕をかざして光を避けなければならない程の眩さであった。
そして、光が収まった時、部屋の中に少年達の姿は無く、テレビにエラーの文字が寂しく映し出されているのみだった。