修行の末、語られる物語
空が黄昏に染まる頃、2人の影が交差する。
「そこじゃ!てりゃりゃりゃりゃぁぁぁぁぁ!!!!」
「なんの!とりゃぁぁぁー!!!」
「ッフ、甘いわっ!セイッ!!」
「ぐっふっぅぅぅぅ!!!」
「未熟、未熟!未熟千万!!だぁ~からお前はアホなのだァァァァァー!!!」
「ぐはっ!しかし、まだだっ!!喰らえ、俺の必殺技!エルへの愛の心にて、悪しき空間を断つ。名付けて、断空光〇剣! 剣は持ってないけどっ、やぁぁぁってやるぜぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
「くたばれ!じじいぃぃ!でりゃぁぁぁ!!!」「舐めるなっ!小僧ぉぉ!うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
2つの影は距離を取り、そして一気に駆け寄り互いの拳が重なるその刹那!上空から新たな影が舞い降りた。そして・・・
「っ!!夕ご飯だと何度言わせるのぉぉぉ!このバッカ者共ぉぉぉぉ~!!!!」
ゴツンっと鈍い音が辺りに響き、2つの影が力無く倒れた・・・・。
新たに来た影はブツブツと「毎度毎度、いったい何なのかしら、まったく!」と文句を言いながら、無造作に倒れた2人の襟首を掴むとズルズルと引きずっていく・・・。
「ごめんなしゃい・・・反省してます・・・もうしましぇんのでゆるひてくだひゃい・・・」
「エッ・・・エルよ・・・じいちゃんだけは、許してくれまいか?後生じゃ・・・・じゃから!」
「・・・・・・ ふんっ!」
服はボロボロで、顔面ボコボコ状態の志信と勇作爺さんは手足を縛られ宙吊りにされた挙句、大量の薪がくべられた囲炉裏に炙られて身を捩じらせながらシリエルに懇願していた。
彼女ははむくれながら2人の言葉を無視し、食事を済ませとっとと自室へいってしまった。
「アッチ、くそ!ジジイがとっとと諦めればこんな事にならずに済んだのによ!」
「なっ!?何を言うか、貴様なんぞにっ熱っ! 可愛い孫娘と2人きりにさせられるわけがないじゃろ!アッチッ!」
「なにぃおぉー!ただ一緒に飯を作るのっ熱っちぃ~! がっ!どこにやましい所があるんだよ!」
「あっつ、熱っ!貴様の存在そのものが、アッチ! 猥褻なんじゃ!ァッツッ!」
バカ2人組みは互いに罵りあいながら身を捩じらせいつまでも喧嘩を続け、再びシリエルに「煩~いぃ!!」と怒られさらにボコボコにされたのは言うまでもない・・・。
志信が村に来て1年半が過ぎた。
シリエルとも"さん"づけなら名前を呼んでも怒られなくなり、たまに2人っきりで談笑できるまで距離が縮まった。しかし最近は爺さんとよく喧嘩をするのが増えた・・・。
(まぁ、殆どが俺がシリエルと何かしようとすると突如現れ、「エルと一緒になりたくば、このワシを倒しみろ!!」と邪魔をするようになり、結局シリエルにフルボッコにあっての繰り返しだ。はぁ~)
志信は夜の鍛錬を終え家へ戻ろうとしていた時、不意に目の端で何かが動いた感じがした。
(なんだ・・・?気配は・・・無いか、モンスター?いやそれは無いか・・・あの白い木がどうゆう理屈か分からないけどモンスターを寄せ付けないらしいからな、だとしたら爺さんか、エルか?う~ん・・・よし!とりあえずコッソリ後をつけてエルだったら2人でランデブーコースで、爺さんだったら家に帰ろう!)
志信は意気込むと、スキルで気配・足音等を消しこっそりと後をつけた・・・
(うーん・・・この距離だと視認は難しいなぁ、どちらだとしてもこれ以上近づくとばれるし・・・ん?止まった?あそこは・・・)
つけていった先は白い木の根元だった。するとなにやらぼそぼそと声が聞こえたので、"遠耳"のスキルで聞いてみる・・・
「・・・・ ぁ×・・・ ぁぁ×××さま・・・ 聖樹様!!どうかもう少しだけ!ほんの少しだけでいいので私に時間をください・・・お願いいたします・・・ 数日で構いませんので、どうか・・・どうか・・・」
聞こえてきたのは爺さんの声だった。
(ん?聖樹様って・・・木に話かけているのか?しかも時間って・・・?う~ん・・・)
暫く考えていると爺さんが動く気配を感じたので速やかにその場を離れ、自宅まで帰えりそして考え込む・・・
(普通、この系のパターンだと生贄的な感じだが・・・にしても数日って言っていたが、そんな程度で俺をどうにかしたとしても今と大差ないだろうし・・・うぅ~ん・・・だぁー!ヤメ、ヤメ!考えて分からんこと悩んでも意味無いし!どの道、生贄だったとしても爺さんやエルに勝てない俺が考えても始まらん!もう寝よ寝よ!)
結局、志信は考えることを止めその日は眠りに付いた・・・。
翌朝「新しい訓練を開始する」と爺さんに言われるままエルと広場まで赴いた。そして爺さんから新しい訓練の内容が告げられた・・・。
「-----こほん!え~今から模擬戦を開始する!まず、志信よそこに・・・・」
爺さんの話を聞き終わる前に志信は、スッと回れ右をした。
「やはり、俺じゃぁ力不足だったようだぜ!ここは来世に改めて出なおすとすっか!志信はクールに去るぜ!」
「「・・・・・・・・・」」
「・・・・っ待て~ぃ!何逃げようとしとるんじゃ、己は!」
目にも止まらぬ速さで志信をガッチリとホールドすると、あっという間に組み伏せた。
「ッグッ・・・っアホか!逃げるにきまってるだろうがぁ!何!?模擬戦って、手に握ってるの真剣じゃん!!ヤル気マンマンじゃないか!受けるとか、避けるとか以前に一撃で真っ二つコース確定じゃないかよ!」
「バカもの!話は最後まで聞かんか!!誰もお前さんが模擬戦をするなんて言っておらんじゃろ、するのはワシとエルがするのを見てるんじゃよ」
ジタバタと逃げようと暴れていた志信の動きがピタリと止まった。
「え?見てるだけ・・・?ホントに?」
「はぁ~」と深いため息をすると爺さんは説明を続けた。
「正確に言えばただ見ているだけではない、瞳に魔力を集中してワシらの動きが見えるようになるための訓練じゃな、もう『魔力感知』や『魔力操作』のスキルはてに入れたのだろ?」
「あぁ、こないだ手に入れてたしか・・・うん、LV4まで上がっている」
「ふむ、それくらいなら大丈夫だろう・・・前教えたが、この世界には魔力が溢れておる・・・そして魔法とは大気中の魔力と体内の魔力を操ることで発生させる現象と教えたのぅ」
「えっと・・・たしか大気中の魔力を魔素で体内の魔力を魔渦と呼び、簡単に例えるならオドが火打石でマナが油ってことだったよな?」
「そうじゃ、魔法はマナを発動する魔法に必要な分を集めオドにより効果を発動させるのじゃが、スキルは基本オドのみを使用して発動する。ただしパッシブスキル系はマナを操作したり吸収したりしながら使用したりするがアクティブスキルは基本的にオドのみなのじゃ、したがって今回は『魔力操作』でオドを目に集中してスキル取得が目標じゃな」
「え~と・・・つまり魔眼を手に入れるってことか?」
「イヤ違う、魔眼は魔法効果を目に宿すモノで基本的に後天的に備わるモノではない、しかしスキルならばこの方法で何かしら備わるはずじゃ」
言い終わると爺さんは模擬戦を開始しした。
「ぜぇ、ぜぇぜぇ・・・まっ、まだ覚えん・・・・のか?ハァー、ハァー」
「あぁ、全然ダメだなぁ~」
結局その日はスキルを習得することなく終え、そしてそれから4日程は模擬戦を観察し続けた。そおして4日目の夕刻前に終にスキルを手に入れた。
「おぉ~、スゲェ・・・いっぺんに5つも・・・」
ゾーンアイ1:(相手の動きをスローモーションで捉える)
遠視1 :(最大1㌔先を視認できる)
魔力眼1 :(魔素・魔渦を視認できる)
視線1 :(他者からの視線を感知でき、自らの視線を他者に感知されなくなる)
オックオン1:(一定時間視認し続けた対象を一定時間認識できる)
「所得できたか・・・志信、そしてエル・・・明日大事な話をするので日が直上に来る前くらいに、大樹の前に来てくれんか・・・ それと今日の訓練は終わりじゃ、夕飯はワシはいらんから好きにしなさい」
爺さんは、何か思いつめた表情で話すと家に帰ってしまった。俺とエルは互いに顔を見合わせ首を傾げたが、たいして気にもせづ家路についた。
そして次の日・・・・
俺とエルは大樹まで赴くと、根元に爺さんが座っていた。
「で、なんだい爺さん改まって話って?」
「まぁ、2人ともそこに座りなさい・・・この話はちと長くなるのでな・・・」
そして爺さんは語り始めた。
次で旅立つと言ったな、あれはウソだ!・・・・すみません、書いてるうちに文章が長くなってしまいました。
旅立つのは次の次くらいかな?たぶん・・・




