異世界、到着なんだけど…
(はぁ~ 結局チームに入れてもらえずじまいかぁ……しょうがない。転送完了したら、一目散に町へ向かおう。さすがにいきなり死にたくないからな、おっ? なんか音が聞こえてきた。木の葉が揺れる音かな? 木が近くにあるのか、光が弱まっていく……転送が終わるのかな? よし、周囲確認したら開幕ダッシュだ!)
彼を包む光が治まり、すぐさま目を開け周囲を確認すると……
「ゑ? ……もり……もり? 森!? 森~!!!!! えぇ!? 何で森!? 前も、後ろも右も左も見渡す限り森、森、森ぃぃ!! なんでじゃー!!」
志信は、明らかに周囲に町どころか人すら居そうに無い深い森の中で、絶叫しながら ort 体制で崩れ落ちた。
(これじゃあ、近くの町なんて見つかる訳がねぇ! てか、森の出口の方角はどっちだよ。闇雲に歩いてもしかたないし、木に登るか? 無理そうだな、取っ掛かりが無いし枝の位置が高い……。この表面感じはヒノキ系の樹木ってということは、ここはあまり南の地域で無い筈だな、ヒノキは基本北半球に多く自生する樹木だし、こんな所で林業の仕事していた知識が役立つとは……気温もそこまで寒くないし、冬じゃないかな? まぁ、異世界で当てはまるかどうかは分からんが……」
(周りを見ても果実がなるタイプの木は無さそうだな、木の実系はあるかも知れないがこんな薄暗さじゃ探せないしなぁ、さすがに食料も武器も無しじゃ……)
「あっ!? そうだ。スキル! ステータス開いて見れば有効な能力持ってるかもしれない」
俺は慌てて『ステータス』と念じると、頭の中に自分のステータスが表示された。
名前:英田 志信
年齢:32
性別:男
LV:1
種族:人間?(たぶん……)
職業:無職
HP:24/24
MP:12/12
攻撃:8
防御:13
俊敏:2
器用 :11(+5)
知力 :21(+10)
幸運 :3 (-4)
容姿 :-43 (オークすら拒絶する醜さ、ホントに人間?)
スキル
精神耐性1:(呪・魔術による攻撃効果を和らげる、精神汚染を防ぐ)
毒耐性1 :(外部・内部からの毒による攻撃を防ぐ、ブレス攻撃に若干耐性あり)
忍耐1 :(逆境になればなるほど、防御力が上昇する、敵のクリティカル攻撃を高確率で無効)
器用貧乏1:(多種多様のスキルを身に着けられるが、達人にはなれない、器用に対して上昇効果)
逆境1 :(追い詰められるほど身体能力が上昇する、常に幸運を-1状態にする)
賢者?1 :(様々な知識を持つと思われる……? 知力が常に+10される)
鑑定?1 :(様々な物の補足説明等を知ることができるかもしれない……?)
装備
センスの無い服 安っぽいズボン 嗚咽を誘う下着 小汚い靴 アイテムBOX
「…………って! なんじゃこりゃ~!!!?」
「何!? 俺人間じゃないの!!? 何でステータスに疑問に思われるんだよ! 不細工って俺でも自覚してるよ! でも、オーク以下って!! あんまりじゃないかぁぁぁ! てか人間だよ。種族でいじって容姿でもいじるの最低だよ! ダメ! イジメかっこ悪い!」
「しかも……攻撃スキル1つも無いし、なんで幸運はマイナスにするんだよ。あれか? 常に逆境になるようにか、ありがとよ! もぅ逆境の真っ只中だよ! スキルにもクエッションマークって……しかも『鑑定できるかもしれない……?』何だよ!? あっても意味ないじゃん!」
「しかも装備まで……服のセンスが無くて悪いか! いいじゃないか大きい服って選択肢少ねぇし、高いんだよ! あと、酷くない!? 俺の下着は見ると皆吐くの!!? 何? 体臭? それとも俺が着ていたから価値が下がったの!? 先週買ったばかりなのにぃ!? もぅ、俺のライフはゼロだよ~。うぅ……」
彼は、その場に膝を抱えながら落ち込んだ。すると、森の奥で小さな光がチラチラと煌いたのが見えた。
志信はすぐさま立ち上がり、手近にあった木の枝を拾い警戒した。
(こうゆうのって大体、優しい村人に助けてもらうフラグか、冒険者や商人とか、嫌なやつだと奴隷商人で捕まって奴隷行きとか、光る魔物とかもありえるか……くそ、これも逆境スキルの恩恵かね? マジでありがたいわ!!)
そして光はふわふわと、ゆっくりこちらに向かってきた。
して、その光の正体は……
妖精だった。
しかも、めっちゃ可愛いピンク髪のティンカーベルみたいな小さい女の子の妖精だった!
(うは♪ 妖精だ! やった、あれですよねこれは妖精の国へご案内ルートで、この子と同姓することになって、それで力の無い妖精に変わり、力仕事でモテモテ系ですよね!そうだと言ってよ、バーニィ!!)
そんな事を思っていると、妖精は無残にも俺の妄想をぶち壊した。
「やっと、見つけましたよ~。英田 志信さん、私は神様の使いの者です。 あっ、ちなみにバーニィって誰か知りませんが、妖精モテモテルートでは無いのであしからず、この体わぁ~この森にいた妖精を操っているだけなのでぇ~」
「そんな……!? 夢ぐらい見させて……しかも心まで読むなんて、あんまりだぁ」
「まぁまぁ落ち込まないでください。え~、では私がここに来た理由を説明しますね? 私は今回の転送の担当だったんですが、彼方だけ誰ともチーム組んでいないのを気がつかなくてぇ、彼方を転送し忘れそうになってぇ、慌てて転送したんですが周囲に村すらない所に転送させてしまいまして……そのお詫びに一応来たしだいですぅ~。」
「えっと、つまり俺がこんな森の奥深くにいるのは、貴方のせいという事ですか?」
「てへ☆ぺろ♪ ミスっちゃいましたぁ~」
「てめが~!! このよくも!!!」
彼は、妖精を両手で握ると上下、左右と振り回した。
「あぁぁぁ~!! この体にぃぃぃ八つ当たりしないでくださいィィィ~。これはぁぁぁ~、私の体じゃ無いのでぇぇぇ意味無いですしぃぃぃ、そんなことすると、お詫びぃぃぃの品あげませんよぉぉぉぉ~?」
「お詫びの品?」
お詫びの品と聞いて、ピタッと手を止め妖精を解放した。
「けほっ、うっ、んっうん……はい! ミスしたのは修正できないので、神様に怒られちゃったのでぇ、とりあえずここを脱出できるくらいの強力スキルをプレゼントに来たんですぅ~」
妖精はにこやかに説明し始めた。
ゆっくりと展開していくので、町まではだいぶ先の話になりそうです。