ギルドの暗躍
「何はともあれ、冒険のギルドまで来たけれど・・・・やっぱりこの世界が作られた世界だって爺さんが言ったのは納得だわ・・・・」
「ん?そうなの・・・か?私にはよく分からんが何処か変なのか?」
「変も何も・・・・この世界の建物、統一性が皆無なんだよ!」
「建物が?確かにどれもこれも変わった形だな、私は初めて見るものばかりだから楽しいぞ!」
「そりゃ俺も現物は始めてみるけど・・・創った神が適当なのか、それとも何か意味があるのか・・・たぶん前者だろうが、まったく頭がいたくなる光景だよ・・・」
志信が何故頭を抱えているのか、その理由はちょっと町を見れば誰でも理解できるだろう・・・何故なら立ち並ぶ町並みは何も知識の無い奴が適当に西洋ッポイ建築で建てたと言われれば納得できる建物ばかりだからだ。
柱はビザンティン建築(古代ローマの建築方式)で、建物の全体はロマネスク建築(10世紀以降の西ヨーロッパでの建築様式ル〇ン三世カリオ〇トロの城みたいな建物)で、屋根はイスラム建築|(ドングリみたいなお饅頭のようなモスクなんかの屋根のこと)ete・・・・・・
チグハグな建築様式でパッと見『あっ西洋っぽい・・・?』って知識の無い一般人ならば言ってしまいがちだが、ちょっとでも西洋建築系をTVなり本なりで見たことがある人にはとても歪に見えるくらいだ。
志信自身もそこまで建築に詳しくないが、異世界のエルフやドワーフがいるファンタージーの世界の町を見れると期待に胸膨らましていたのに・・・ここまでチグハグな珍妙な建物ばかりでテンションがダダ下がりとゆうわけなのだ。
「志信・・・その、ガッカリしている所悪いのだが・・・ギルドには入らないのか?」
「あぁ・・・ごめんエル・・・入るよ、はぁ・・・ちょっと気持ちを落ち着かせてくれ・・・・・・」
志信は2、3度深呼吸をして心を落ち着かせると何故だかエルの手を取り脇の路地へと入って行った。
「ちょ、っと・・・どうしたのだ!?」
「いいからエル来てくれ、話しておくことがあるんだ。」
「・・・話?なんだ?何かギルドに入る時には礼儀や作法があるのか?」
「そうじゃない・・・その俺のことなんだが・・・」
「ふむ・・・何だ?」
「今からっと言うか・・・この姿の時は俺は一人称を私に変えて、できるだけ女言葉で話すのでそのつもりでいてくれないか?」
「えっ?・・・何故だ?今のままではダメなのか?」
「ダメじゃないかもしれないが、できるだけ周りから不審に思われたくないんだ。それと俺が異世界から来たということも話さないでくれ、そうだな・・・とりあえず同じ村の出身で家が隣同士の幼馴染って事にしておいてくれないか?」
「・・・それは構わないが・・・理由は何だ?目立ちたく無いや不審に思われてく無いでは理由としては納得がいかんが・・・」
「うん、そのことなんだけどな・・・門の前で並んでいる時に前に並んでいるおばさんが話してたろ?2年前に来た異世界の人が隣国で囚われているとか、異世界の知識を得ようと国に捕まっているとか・・・」
「あぁ確かにそうゆうこと言っていたな・・・確かに志信が異世界人ってばれるとまた兵士に捕まるかもしれないって事だな?」
「うん・・・それにエルをそんな事に巻き込みたくないし、だからねこれから暫くは2人きりの時でも用心して口調変えるからそのつもりでいてね?」
「ふっふ・・・もう変えているではないか!」
「あら?可笑しいかしら?」
「いや、その顔にはあっていると思うぞ」
「それじゃ話は纏まったからギルドへ行きましょう」
「はいはい・・・でもやっぱりちょっと気持ち悪いな・・・」
「その辺は慣れて・・・・私も恥ずかしいから・・・」
「善処しよう・・・・」
話を終えるとようやく2人はギルドへと入って行った・・・。
そしてギルドには入ると2人を待ったいたのは、無数の人からの視線の嵐だった・・・。ニタニタと見る者、頬を染めて羨望の眼差しを送る者、睨みつける者、表情も無く見つめる者・・・ありとあらゆる眼差しの中できるだけ堂々と2人はカウンターへと向かった。
「いらっしゃいませ、本日はどういったご用件でしょう?」
「ギルドの登録申請のお願いに来ました。」
「お2人共でよろしいですか?」
「はい、そうです・・・」
「では、奥のオフィスへお入りください・・・そちらで必要事項に記入していただいて、入会テストの後ギルドカードの発行となります。」
笑顔で接客する受付嬢に2人は促されるままカウンター横のドアから奥のオフィスへと通されたが、そこには予想もしていない事が待ち受けていた。
「初めまして・・・ギルド長のタンクスだ。以後お見知りおきをお嬢さん方」
「私は副ギルド長を務めますロナルドです。よろしく・・・」
部屋に入るとソファーに座った筋骨隆々の褐色肌で体に無数の傷跡があるタンクスと名乗る男と、ビッシとタクシード姿にメガネをかけた厳しい目つきのロナルドと名乗るエルフの男が立っていた。
志信は一瞬驚いたものの、直ぐに部屋から出ようと後ずさると背後から扉の鍵が閉まる音が聞こえた。
(ック・・・嵌められた・・・こりゃ昨日の事で兵士に突き出す気か、それとも実は全部ばれていて異世界人として国へ連行か・・・どっちかか?最悪の場合エルだけでも助けれるよう話を持っていかないとな・・・・)
そんな事を考えているとギルド長のタンクスと名乗る男が話しかけてきた。
「まっ、そんな所に立ってないでソファーに座ってくれや!色々と聞くことがあるからよぅ・・・」
言われるがまま2人はソファーに腰掛けた。チラッと志信はエルを見たが彼女も緊張した面持ちで額から汗を流しながら微かに震えていた。
それに気がついた志信はそっとエルの手を握ると表情は変わらないが彼女も答えるように握り返してきた。そしてギルド長からの話が始まった。
「まっ、話って言ってもそんな難しい事でもない・・・完結に言う、お前ら何者だ?」
タンクスの鋭い視線を浴びながらも志信は毅然とした表情で答えた。
「私達は・・・ここより遠くの村から出てきた者です。」
「ほぅ・・・で何でそんな遠くの村からこの町にきたんでぇ?」
「私達の住んでいた村は・・・実は村と呼べる物では無いのです。5つの家族が森の中で細々と暮らしていたんです・・・。けれど数ヶ月前急に高レベルの魔物に襲われ殆どの人が死んでしまいました。彼女の両親も・・・私の家族も・・・それで生きている数人で村を出ることにしたんです。幸い魔物は倒せましたし、家も畑もめちゃくちゃなってしまい女と数人のだけでは生きてゆけないと考えたからです。」
この話は無論、事実では無い・・・志信が即興で考えた物だ。一応スキルの"詐欺師"の恩恵もあってかスラスラと嘘の話がまるで真実のように志信は話続けた。
「それで他の人は『親戚を頼ると』言って森を抜けた所で分かれました。もちろん彼らも誘ってくれたのですが・・・私達は一度でいいから大きな町に行ってみたい、世界を見てみたいっと幼い頃より思っていたので・・・・だから旅をすることに決めて、そして途中で街道で擦違った行商の人にこの町がここら辺で一番大きな町と聞いたので訪れたとゆう訳です。」
「なるほどな・・・だいたいの事情は理解できた・・・が!昨日のそこのエルフの嬢ちゃんの理由はなんなんだ?」
「それは・・・こんな大きな町ですからね逸れてしまいまして、この子人見知りで口下手なもので・・・とっさに連行されて行った人が私だと勘違いしてあんな事になってしまったんです。」
「ほう・・・見間違い・・・勘違い・・・ねぇ・・・」
「えぇ・・・」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
(うわっ!すっげ気まずいぃぃぃぃ!! なっ何、この空気・・・もしかして全部ばれてる?今の俺、道化?やべ~体中から変な汗出てるよ・・・・ばれてるならこんな周りクドイ方法とらないでっ!もう俺のSAN値もライフも0だよぉぉぉ)
志信いは表情こそ優雅に微笑んでいるが内心は汗だくだくで、心臓が口から飛び出そうなほど焦っていた。だがしかしこの空気を破って帰ってきた答えは意外なモノだった。
「そうか・・・そうか!そりゃ大変だったなぁ!!すまねぇ・・・おりゃてっきり他国のスパイか何かだと思ってよぉ!そっか・・・そりゃ辛かっただろうなぁ・・・悪かったな疑ったりして、非礼の侘びって事じゃ吊り合わねぇかもしれねぇが、テスト無しでギルドカード発行するからな!それで簡便してくれねぇか?」
「へっ・・・・?あっあの・・・こちらとしては別にそれで構いませんが・・・」
「そっか、そう言ってくれるとたすかるぜぇ・・・この町で分からねぇ事があったらいつでも俺のところに来な!何でも答えてやるし、もしもの時は力になってやるからな!」
そう言いながらギルド長はむさ苦しい漢泣きをしながら頭を下げてきた。そこからはトントン拍子に手続きが完了し、冒険のギルドを後にすることとなった。
「よかったな志信!私はてっきり捕まるか、怒られるかと思っていたぞ」
「・・・・うん・・・良かったけど・・・何か引っかかるなぁ・・・・」
「何がだ?何か変な所があったか?」
「これだっ!って思える事でもないけれど・・・ちょっと引っかかるのよ・・・」
「そんなに難しく考えなくてもいいだろ、結果良ければ全て良しであろぅ?」
「・・・・・う~ん、それもそうだね!それじゃ次は教会を目指してレッツゴー!!」
「よし!これで私も魔法が使えのだなぁ、楽しみだな!」
「だね、とりあえずはこの道を真っ直ぐかな?」
「むっ、志信・・・本当に道が分かっているのか?」
「だっ、大丈夫だよぉ~場所も聞いたし宿で朝出るとき町の地図見せてもらって確認したもん!」
「ホントにぃぃ~?何か不安だ・・・・(ニヤニヤ」
「うっうぅぅぅ~酷いよぉー」
傍から見ば美しい美女たちがキャッキャッとはしゃいでいるように見えるが、それをギルドの部屋から見つめる影があった・・・・。
「どうやら気づかず行ったようですね・・・なかないい演技でしたよギルド長・・・」
「だろ?俺も役者として食っていけるくらいだと思うね!」
「はいはい、自画自賛は置いておいて・・・とりあえずこれから監視は続けるで宜しいのですね?」
「あぁ、なんにせよ何か隠しているのは間違いないみたいだし・・・昨日独房で死んでいた・・・」
「オークらしき人間ですね?」
「あぁ・・・昨日の騒ぎはどうもおかしい・・・あのエルフの女は確かに牢屋に連れて行かれたオーク似の男を助けようとしていたのに、突如現れたあの美女と普通にいやがる・・・しかも・・・」
「連行された男の呼ぶ名も彼女を呼ぶ名も同じシノブ・・・・」
「ギルドカードに表示されたあの美女の名前はシノブ アイダ・・・・名前のパターンや響きから考えりゃ・・・」
「恐らく・・・・」
「異世界人・・・渡り人の可能性が高けぇな・・・」
「まぁ渡り人の子孫って可能性もありますしね・・・実際そうゆう名前の人物はいるみたいですし・・・」
「なんにせよ、監視は続けてくれ」
「分かっていますよ・・・・」
はてさて彼らはどうなることやら・・・・・・・・・思いつきで書いてるからこの先の展開が自分でもわかんないです・・・・。
とりあえずハッピーエンドにしたいなぁ・・・・漠然だけど・・・