俺はうら若き乙女?
「だからそこを通せと言っている!!」
「一般人はここには入れないと何度言ったら分かるんだ!」
「お前たちが志信をここに連れて行ったのは分かっているんだ!」
「だから!シノブっていったい誰のことだ!!そんな者今日の逮捕者リストにはいないとと言っただろ!」
複数人の女性兵士達を相手取り、無理やり詰め所に入ろうとするシリエルを必死に兵士達は入り口を固め止めていた。そんなやり取りを大声でやっているものだから辺りには黒山の人だかりができていて、かなり注目されている・・・・
「わからん奴らめ!そこを通せば済む話だと何で分からん!!」
「規則は規則だ。如何なる理由があろうとも一般人を入れることは罷りならん!早々に立ち去れ!」
「クソッ!!この放せ!放せぇぇぇ!!」
(こんな所で時間を浪費している場合ではない、早くしないと志信が殺されてしまう・・・なんとかここを突破しなければ!)
エルが拘束され組み伏せられそうになった時、人だかりの中から1人の女性がエル話かけながら駆け寄ると兵士達をひっぺ剥がしエルを抱き起こした。
「もぅ!こんな所にいたぁ~!!探したんだから、ごめんなさいねぇうちの者が粗相をしまして・・・ほらエルも誤りなさい!」
「えっ?ちょっ・・・貴様はダレっ・・・・モゴッ・・・んっゴゴゴッ」
「オホホホホホ・・・この子ったらちょっとアレなもので、本当にご迷惑おかけしましたわ」
女性は無理やりエルの口を手で塞ぐと強引に頭を下げさせて謝った。
「っ!!!!・・・・・あっ彼方はこの人物と・・・そのっ・・・おっお知り合いで?」
「えぇ、身内の者です。」
「そっそうですか・・・しかしながら、さすがにこれだけの騒ぎを起こしては・・・一応規則なので一時拘束しなっ・・・!!!?」
「えぇ、その事なんですがこちらも急いでおりまして・・・これでダメですか?」
突如として現れた女性は誰もが息を呑むほどの美しさで、流れる髪にしなやかな足・・・潤んだ切れ長の瞳に艶やかな唇・・・一挙手一投足にプルンプルンと揺れる豊満な胸に括れた腰・・・・そんな姿に周りの兵士も野次馬もまるで恋する乙女の如く赤面し緊張した面持ちで、対応していた女性兵士に、彼女はそっとその顔を兵士に近づけ囁きながら皆に見ぬようにお金を兵士に手渡した。
「!?こっこんな事されても私はっ!」
「アラ?これでは足りなくて?では・・・ではこちらも付けましょう・・・・んっ・・・チュッ・・・」
硬直し焦りながらも兵士としての対応をするが彼女は女性兵士の頬にそっと口付けし、そしてスーっと頬から顎をその柔らかい指でなぞり、なにやら耳元で囁くと女性兵士は放心状態になりその場にへたり込んでしまった。
そして周りの女性兵士達も魂を抜かれたの如く、うっとりとした表情でただただ彼女を見つめていた。
「んっふっ・・・どうやらもう宜しいようですわね、では皆様ごきげんよう・・・・」
彼女はその場で深々と優雅にお辞儀をすると、状況が分からず混乱するエルを引っ張りながら人だかりをかき分け町の中へと消えていった。
「ふい~・・・ここまで来れば一安心かな、はぁしんどかった。たっく・・・俺は宿屋で待てって言ったろ?そりゃエルのことだから無理だと思っていたけど、ちょっとは状況を察しろよ!ホント寿命が縮むかと思ったぜ・・・・」
「ック!いい加減放せ!!いったい誰だ貴様、何故私の名前をしっている!誰から聞いた。いやそれ以前に何故私をここに連れてきた。私は急いで助けなければいけない者が居るのだ。そこをどけ!」
「・・・・・・・・・はぁ、あのね確かに分かれって言うほうが無理だと思うけど・・・こう雰囲気とかシュチュエーション的に分からないかな~」
「いったい何の話をしているのだ!私を謀ろうとしても無駄だ!!そこを退けば良し、退かぬならば・・・・」
エルは途轍もない殺気をと怒りを纏いながら腰の剣に手を掛けた。
「わっ!わっ!!やめ、やめ!エルに切られたら俺死んじゃうよ、てゆうかここまで話したんだから分かってよ!俺だよ俺、志信だ。今エルが牢屋から逃がそうと思っていた志信本人だよ!」
「なっ・・・なん・・・だと・・・?お前が志信?・・・・・・・・・・見え透いた嘘を言うな!!志信はもっと、その・・・顔は酷いけど・・・・根は優しいいい奴だ。そもそも貴様は女ではないか!志信は男だ!!何処に貴様が志信だと示せる証拠がある!?」
「うえっ!?しょ、証拠?・・・・あー・・・えー・・・何でもできる!のスキルは・・・見ても分からんだろうし・・・そう!森での2年あまりの生活の思い出とか、町に来るまでに話した事とかでは!」
「・・・・・・・そうか・・・分かったぞ・・・」
「おぉ!ようやく分かってくれたか~」
「貴様は!人の記憶を盗むか、見る事ができるスキルの持ち主だな!だからさっき最初兵士達との間に割って入って来て直ぐに私を助け起こしたのはスキル発動の条件が対象者に触れる事なのだろう?だから最初、私の名前を呼ばなかったのは呼ぶことができなかったからであろう?」
ふっふ~んとドヤ顔で勝ち誇った表情でエルは彼女に詰め寄った。
「何が目的だ!言え!!何で私を連れ去ろうとした。」
「・・・・・・・・・・・・なんで・・・・・・・何でそんな変な所にしか感が鋭くないんだよぉ!確かに町に入る前に詐欺とかスリがあるかもしれないから気をつけようと言ったけど、そんなスキルの話されたら何にもできないじゃん!証拠もへったくれもないじゃいか!」
「フッフフフ・・・馬脚を現したな、さぁ!何を企んでいる?言え!」
「あぁ!もう!!このアホんだれはぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
頭を掻き毟りながら美女(志信)は、疑り深いエルを説得するのにその後数時間の時間を要したと言う・・・・・
今回ちょっと短めになりました。一応TSはネタ的モノなので、継続して女性のままには、しないつもりです。
次回は脱出方法のネタばらしです。