プロローグ
2作品目です、前作も製作中なのでよろしく!
「行けども、行けども森って……本当にこっちに村があるのかよ……? ちくしょう、なんで俺はこんな所でこんなことしているんだろう、はぁー……くそ、神なんて大っ嫌いだ~!!!!」
深い森の奥深くに、神を罵倒しながらも歩き続ける1人の男がいた。
彼が何故こんな所にいるのかは、数日前に遡る事になる。彼は30才を過ぎたおっさんで、名を英田 志信とう。
その見た目は不細工でデブで、誰からもでも「キモ!」っと罵られる外見をしていた。
(キモくて何が悪い! 人間外見じゃないやい。螻蛄だって、蚯蚓だって生きているんだぞ、そりゃ……多少はオタクな所は認めるけど、だけど基本、人間なにかしらのオタクなんだからイイじゃないか! 二次元が好きで悪いか。うわ~ん)
一応、性格はいたって普通な常識人であり、別にニートでもなければ引きこもりでも無かった。
そしてかなりの苦労人で、中学生のころに両親を事故で無くし親戚に引き取られたがそりが合わなかったのもあったが、迷惑を掛けれないと思い中学を出てそのまま就職して、自活しはじめた。
しかし、世の中は不況で彼自身も何か秀でた物も無く……仕事を転々としながらも、昼夜問わず働きか彼女も居らずあっと言う間に30才を過ぎていたのだ……。
(あっ、童貞では無いですよ? お金を貯めてソープで卒業しましたしね! 彼女いなくたって、童貞は卒業できるんじゃい!)
そして1年程前に5年務めていた会社が倒産してしまい、新たな仕事を探すも資格も持っておらず中卒では雇ってもらえる所は無く、彼は一念発起しある程度貯蓄もある程度たまっていたので、バイトで食いつなぎしながら通信制の高校へ行く事にしたのだった。
けれど、彼が思い描いていたスクールライフは儚く消え去り、案の定……不細工な三十路おっさんと仲良くなる人など居らず、クラスの中で孤立していた。
まぁ、通信制といこともあり、学校に行くのは月に数回だけなのでそれほど苦にはならずに済んでいたのだが……
(ふん! 俺はボッチがイイんだ。寂しくないやい! しかし、あからさまなオタク集団の中にも入れてもらえないとは……コミュ障では無いのにな、何がいけないのか、見た目なのだろうか? やはり世の中顔なのかなぁ……鬱になりそうだよ。俺……)
そしてその日、彼はいつものように1人小説を読みながら朝の朝礼を待っていた。
しかしその日だけはいつもとは違った。事が起こったのだ。
そろそろ朝礼の時間になろうとするころ、突如体の自由が利かなくなった。
そして教室のそこかしこでお喋りしていた若者たちは、機械のように自分達の席に座り始め、志信と同じように動けないようだった。
(いったいどうなって……てか、なんなんだこの状況……くそっ! 声も出ないのか、辛うじて目だけは動かせるが……俺の頭がおかしくなったのか? いった何が……)
そんな事を考えていると、教室のスピーカーからチャイムが鳴り響いた。
ピンポンパンポーン♪
「えーテス、テス、どうも聞こえてますか~? うん♪ 聞こえているようだね、初めまして僕は君達の言うところの神様ってやつだよ。君たちは今、大変驚いて混乱していると思うけど、良く聞いてね? 一度しか言わないから~」
「えっと~完結に説明すると、君達には異世界にいってもらいます♪」
(はぁ!? 異世界!! 今、異世界って言ったか? これって最近よくある異世界転生系の小説みたいな展開なのか!? まさか、現実にこんな事が起こるなんて……いや、でも……)
様々な思いが脳内を駆け巡っているが、自称神はどんどんと説明していく。
「異世界って言ってもSFじゃ無くてファンタジーな世界だから、魔法と剣の世界……エルフ、ドワーフ、ドラゴン様々な種族が住んでいる王道ファンタジーだよ。しかも転生じゃなくそのままの姿で行ってもらうので、赤ちゃんスタートとか無いから安心してね」
「後は、一応それぞれにチート能力みたいなの持たせるけど、人によりけりだから皆バラバラです。ベースは個人の能力を向こうのスキルに当てはめて上昇させた物だよ~。向こうの世界に行けばゲームみたいにステータス画面とか、スキル表とか見れるから……それと、もちろんモンスターを倒すとアイテムがドロップするし、モンスターを解体するとか素材を剥ぎ取るみたいなことは無いから、グロイの苦手な人はラッキーだね♪」
(おぉ、チートか……りゃ~このまま行っても直ぐ死んじゃうだろうしな、貰えるのはありがたいが……)
「それと、全員にアイテムBOXと少量のお金、回復アイテムなんか渡しておくから、それからそれぞれが転送する場所はバラバラだけど、チーム登録した人とは近くに一緒に転送するし、基本町の近くに転送されるから安心してね? でも町中では無いから、モンスターに直ぐ襲われる可能性もあるから気をつけてね、それとぉ補足だけど、できるだけ大人数でチーム組んでおけばより安全な場所になりやすからね~」
(うんうん、この辺もてっぱんネタだな……しかし、武器とは無いのかな? 若干不安だな~……うへ、チーム必至か……しゃーない序盤で死にたくないからな、どこかのチームに入れてもらおう。転送完了したらチームを抜ければいいし……さすがにDQNな若者でも、見捨てたりしないよね? たぶん……)
「それで~君達に異世界に行ってやってもらう事は、特にありません。好きに生きて生活してください、冒険者になるも良し、貴族になるも良し、村人でも、娼婦でも好きに生きていいよ~」
(ありゃ? こうゆう大人数転移系っ、皆が勇者みたいのだったり、バトルロアイヤル系だったりするが、特に何にもないのか……まぁ、どうせ俺なんか何もできないからな、田舎でのんびり暮らすか)
「最後に何で君達が選ばれたのかは……適当です! まぁ細かく言えば、君達程度がこの世から居なくなっても誰も困らないし、僕達の暇つぶしになるからなんだけどね……あのね、僕達神はねぇ凄く暇なんだ。だから君達を使って賭けをするんだよ。いつ死んで、どうやって殺されるのかを見てるだけで退屈しないからね、現地の人見ていてもやっぱりつまらないしさぁ、やっぱり右も左も分からないのがパニックになったり、アホみたいに命乞いをするのが滑稽で面白いからね」
(うわ~なんかこの人? 神様って言うより邪神の方がしっくりくるな、人の命で遊ぶとか……しかし、この歳で異世界かぁ……この世界よりマシだと思いたいなぁ、不細工に幸あれ!)
「あぁ、それとこの世界にはどうやっても戻れないからそのつもりで、死んだらそれまでだから……それじゃ、20分後に転送開始するからチーム作るなら早くしておいてね、チームを作るにはメンバー全員で輪になって手をつないで、チーム作成と念じればいいから~成功したらそれぞれ感覚で分かるようになってるからそれじゃ、楽しい異世界ライフを~」
神が言い終わると、体が自由に動けるようになった……。
すると何人かが窓や、扉を開けようとしたり、壊そうとしたがびくともしなくて、これが現実だと皆、実感した。
そして、クラスの奴らは仲良しグループで固まり始め、女の子のみのグループは男子に媚を売りながらチームを作っていく。
(やば、こうしちゃいられない。早くチームを作らなきゃ……最初の町まではさすがに1人では心持たないからな、てか全員で1つのチームの方がイイんじゃないか?)
そうして志信はチーム作りに奔走するが、見事にあぶれた……。
「とりあえず今だけでいいんだ。向こうに行ってからチームから脱退するから、俺を入れてくれ」
「はぁ? 何言ってんのオッサン。お前みたいなキモイのと手を繋ぐなんてありねぇし」
「やだ、近づかないで! あんたなんて野たれ死ねばいいのよ!!」
「来るなよデブ! 有名なセリフがあるじゃん『飛べねぇ豚は、ただの豚』だってよ。お前は豚以下じゃないか、足手まといなんかいるかよ」
「ぎゃははは、ウケる~マジでけっさく!」「ナイスチョイス、座布団1枚~♪」「アハハハハッハ」
(マジかよ……。最近の若者って皆こうなの? はぁ~、くそ! 見てろよ。亀の甲より年の功だぞ! 絶対生き延びて、ハーレムなんか作ってやる!! 後で謝って来ても知らないからな!!)
クラスの奴らの罵倒と笑い声を聞きながら俺は、異世界へ転送された……。
しばらく、説明話が続きますが誤字、脱字があった場合注意していただけるとありがたいです。 今後とも愛読の程よろしくです!