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人生を決める滑り台   作者: お父さんはエセ作家
1章~生後~
11/12

ゴブリンは見た

2014/6/13 記号を変更しました。

 今日の夜はすこぶる熱かった。


 眠りに落ちそうな体勢を探しては、幾度となく寝返りをうつ。しかし、一向に落ちそうにないので、ボクは数を数えることに決めた。


 兵士が1、兵士が2、兵士が3、兵士が……え?何で兵士なんだよ?そこは羊だろ!って?……あのね、そんなの見たこと無いからに決まってるじゃん!見たこと無いのに、頭の中で描けるわけ無いでしょ?……たく、兵士が4、兵士が5、兵士が…………




 ……兵士の数が千を超えたが、未だに寝れる気がしない。ならばと、種族をゴブリンに替えて数えていったが、これまた軽く千を超えてしまった。


 ……魔人に替えよ……


 知っている魔人を思い浮かべ、それに柵を飛び越えさせていく。


 魔人が1、魔人が2、魔人が3……ムルが17、ムルが18、ムルが……オッパイが32、オッパイが33、オッパイが34……オッパイ……あああ!!!もう無理!!!


 母から始まりミルと続いたまでは良かった。問題は3人目。ムルを思い描き柵を飛び越えさせる。だが、なぜかしっくりせず、もう一度もう一度と描いた所で、


 ……あっ!そうか胸か!胸がいけないんだ!


 と、胸の動きを加えて柵を飛び越えさせる。ああじゃない、こうじゃないと、胸の動きを精巧に描き続けた結果、鼓動は早く、体は火照ってさっきよりも熱い。


 ……あ~ぁ、完全に目が覚めちゃった……ふぅ


 小さくため息をつき、熱くなった頬を両手で擦る。そしてボクは、上半身を起こし、隣で寝ている母たちに目を向ける。


 ……先ほどワーワー言い合ってたのに、まあ、仲良く並んで寝れますこと……特に一番端のアナタ。アナタのせいで、ボクは寝れないんですよ……


 そんなこととはお構い無しに、ムルは大きく陣取って寝ている。


 「へへっ♪」


 ……どんな夢みてんのさ!……あっ!?バカ止めろ!胸は出すな!胸は!!!


 ムルが服をまくり上げると、大きな果実がポヨんと弾けた。


 ……わざとでしょ?本当は起きてんじゃないの?


 ムルをじっと見つめるが、どうやら目を開ける気配は無い。しかも、大の字で寝ているため、隣で寝ているメルが窮屈そうに体を丸め、苦悶に満ちた顔をしている。


 ……メルって本当に残念だよね……



 メルを憐れみながら、外の空気を吸おうと、ボクは四つん這いで出入口まで歩き出す。そして、出入口でふと右を見た瞬間、


「っ!?」


 そこに居るはずがないと思っていた、ガルの存在に腰が抜けそうになる。


 ……ビ、ビックリした~……この人、寝るときもこの格好なの?


 見張りをしているかのように、出入口であぐらをかき、腕を組んで寝ているガルを横目に、ボクは起こさないようにと注意を払いながら、静かに、ゆっくりと歩き出した。



◆◇



 【スプル】の暖かくて優しい風が吹いている。ダイナストにはガイアの中心にあるためか、【サーム】と【ウィム】の季節が無い。あるのは、【四月エープ】【五月メイン】【六月ジュヌ】【七月ジュラ】【八月オーグ】【九月セプ】の6ヶ月を【スプル】とし、【十月アクト】【十一月ノーヴ】【十二月ディス】【一月ジェイ】【二月フェバ】【三月モーチ』】の6ヶ月を【フォラ】とした2つの季節だけだ。ちなみに、今は【スプル】の最初の月、【四月エープ】にあたる。



 起きている者が誰もいないのであろう、火の光がどこにも見当たらない。辺りは暗く、あちらこちらから寝息やら、豪快なイビキの音が聞こえてくる。


 無理もないさ。生きるために必死で働いているんだから……


 周りに、誰も起きてないことを確認すると、ボクは、四つん這いから二足歩行へと切り替えた。そして、少し歩いた所で立ち止まり、空を見上げる。満天の星空に丸くて大きな月。


「綺麗だなぁ」


 見上げ続けるのは余りにもキツいので、地面へと仰向けに寝そべることにした。すると、天界の方角が青く光り、大地に向かって白いレールが降りて来る。


「………あれは……なんだったっけ?」


 確かに記憶にあるのだが、中々出てこない。少し時間が立ち、青い光がレールに乗って降りて来た所で、ようやく思い出すことが出来た。


「転生だ!以前は天界からだったから、全く分からなかった!」


 ボクは素早く起き上がる。大地から見るのはこれが初めてだ。そして、レールの先はダイナストから見て……左!


「【人種が住む大地(レイシャル)】か!」



 青い光が、一定の早さで左の方角へ降下して行く。それはやがて、遠く木々に隠れ完全に姿を消した。彗星の様にも見えたあの青い光。綺麗だと感じるよりも先に出てきたのは、


「……腑に落ちない」


 という、違和感だった。


「先ほどの色は青。ボクの時は赤。これはいったい何を意味するんだ?……人種だから青、魔族種だから赤だと簡単に決めつけていいのだろうか……」


 ふと、背中に視線を感じ振り替えると、驚きで目を見開いたガルの姿があった。


「……ガル?なんだ、ガルも見てたんだ。いゃ~凄かったね。そう言えばガルってさ、どっちから来たの?天界?魔界?」


 しかし、ボクの問いには答えず、ガルは固まったままだった。


「どうしたの?忘れちゃった?まあ、仕方ないよね♪3才には消えちゃう記憶なんだし……」



 ここまで喋って、やっと自分の愚かさと事の重大さに気づいた。ガルは青い光を見ていたんじゃない。正確に言えば、ガルはもう見ることは出来ない。なら、何を見て驚いているのか?


 ……どこ見てる?……やっぱりボクだよね……


 確かに、夕べのムルの件から先ほど青い光までのボクは、興奮し過ぎて冷静さに欠けていたのかもしれない。だからと言って、まさかゴブリンに泣きつく羽目になるとは……



「あ……あのね、ガルさん?ちょっとお話が……」



 

 ゴブリンに弱みを握られた主人公。いったい、この先どうなるんでしょうかね~♪私もこれからが楽しみです♪


 読んで頂き、有難う御座います♪



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