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人生を決める滑り台   作者: お父さんはエセ作家
1章~生後~
10/12

1才半で知ってしまった事実

 少し長くなってしまいました……。少しエッチなことも……。苦手な人はごめんなさい。


 2014/6/13 記号を変更しました。それと、母親の年齢を300から600に変更しました。


 読まれていた方、申し訳御座いません。

 【兵士は母に首ったけ】これは紛れもない事実だった。そして、【兵士はボクにも首ったけ】だということ。



 母の旧姓は【ラスト】と言って、【ラスト家】は美男美女を多く排出しているのだとか……。さらに【ラスト】の者は皆、生まれながら【魅了チャーム】の特異体質を持っている。魔法とは違い体質なので、魔力を押さえ込む首輪をさせたとしても防ぎようがない。


 まあ、ボクにもその体質はあるみたいだね……


 床に並べられた夕食の量を見れば、自分もその血筋なんだということがよく分かる。



 奴隷に与えられる普段の食事は、朝夕の1日2回。黒くて硬い奴隷用パンに野菜を煮詰めただけのスープの2品だけ。


 ……奴隷にこんなこと言う権利は無いけどさ、もう少しだけスープに塩を入れて下さいよ。あと、パンに関しては論外。不味いし硬過ぎ!木炭じゃないんだからさぁ~。もう乳離れしてるから、皆と同じものを食べてるんだけど、パンが硬いからスープに浸けるよね?そしたら炭で黒く濁るわけ……体に良い訳ないじゃん……


 ところが今日の食事はなんと!いつもの食事に、平民用のパンと果物とチーズが並んである。これらは、先ほど兵士たちに貰った物で、奴隷では普段、口に入れることの出来ない食べ物だ。ちなみに、パンとチーズがボクで、果物は母が貰ったらしい。


 人種って、こんな顔立ちが好みなんだね……


 ボクは母の膝の上に座っている為、振り返り見上げるようにして顔を眺めた。髪は黒色で肩まで伸びていて、毛先が内側へとカールしている。眉は髪と同じく黒く、片方は前髪で隠れているが、細く上品な形をしている。まつ毛は長く、目はパッチリで、黒い瞳は大きく美しい。鼻筋はすっと直線で小鼻だ。口は小さく桜色で仰月型をしている。小顔で色白の母は、綺麗というより、可愛らしいと言ったほうが正しいのかもしれない。


 600才近いんだけどね……みんなそのこと知ってるのかなぁ……


 人種と違って魔族種はかなり長生きだ。種族にもよるが、魔人は特に、成人を迎えるとその容姿のまま何百年と生き続けると言われている。そして、老いが始まることで、死が近いことを悟るそうだ。



「どうしたの?私の顔をずっと眺めてるけど?ん~?」


 抱き抱えられ、近づいてくる母の顔を両手で防ぎ、母の従者である【リリン種】のミル、ムル、メルの3姉妹を一人づつ眺める。


「ウィス様?どうかなされたのですか?」


 心配そうに丁寧な言葉遣いでボクに尋ねるのは、大好きな長女のミルだ。3姉妹の中でも一番教養があり、テキパキと働く姿を見るかぎりでは、かなり出来る人に違いない。また、目が細く、いつも微笑んでいるように見えるので、穏やかな印象をあたえる。多分、美人だと思う。


「あ~」


 ボクは、後ろで束ねてあるミルの茶色の髪を指差し、触らせてくれるよう両手をバタつかせる。


「あ~♪馬の尻尾みたいでお気に召されたのですね♪では……」


 ミルが近づき後ろを向くと、「ウィス様どうぞ」とボクの手が届く位置に頭を持ってきてくれた。ボクはミルの言葉に甘え、優しく髪を撫でる。指通りが良く、柔らかい髪は気持ち良かった。


「……触り方がやらしいな。まさか、その年で色欲に目覚めてんじゃないだろうな?」


「ムル!ウィス様になんてことを!言葉を慎みなさい!」


「触り方が子どもじゃないんだよ!どう見たって、ちっちゃいエロジジイにしか見えないだろコレ」


「ムル!」


 誰がちっちゃいエロジジイだよ!この人嫌いなんだよ!力強いし、言葉遣いも悪いし……


 睨むようにムルに顔を向ける。


「な、なんだよ?物色か?お子ちゃまにワタシの魅力がわかるのかよ?」


「……………」


 何もなかったかのように、ボクはミルの髪に向け直し撫でる。


「お、おい!」


 うるさいなぁ……ったく!名前、ムル、次女。髪、茶色、短め。顔、普通よりちょっと綺麗。体型、筋肉質。性格、がさつ。色気、無し。性別、絶対に男。はい、以上!


 馬鹿にした目でムルを見つめ、鼻からフっと息を吐くと、ボクは右の口角を少し上げ、ニヤリと笑った。


「!?」


 ムルが顔を引きつらせ、


「こ、こいつ!絶対、言葉理解してやがる!」


「ウ、ウィス?あなたそうなの?」


 驚いた母が、ボクを振り向かせ顔を覗き込むが、ボクはというと、口をポカーンと開けたまま、遠くの方を見つめていた。


「ふ、ふざけるなよ、てめぇ!!何、聞こえてないふりしてんだよ!!」


「……ムル、あなたの勘違いのようです」


「い、いや!ボニー様!そいつは猫かぶっている!」


「ムル!いい加減にしなさい!さっきからウィス様に向かって!こいつ、そいつなどと!」


「姉上も見ただろ!?ワタシを馬鹿にしたように笑ったのを!」


「私には見れる訳ないでしょ!あなたの方を向いているのですから!」


「ぐっ……」


 恐ぇ~……青筋ってあんなにハッキリ見えるものなの?


「ミル、もうよい。ムルの言葉の悪さは昔からです」


「ですが……」


「ほ、ほら姉上も姉さまも、ね?ボニー様が良いって言ってるんだし、ね?」


 ムルを叱るミルと、ボクに怒りをあらわにしているムルをなだめているのが、三女のメルだ。三姉妹の中では唯一、可愛らしい顔立ちをしている。母と似た髪型をしているが、色がはやはり茶色で、毛先は真っ直ぐに伸びている。おっとりとした性格のせいか、失敗しているところを何度か見たことがある。やる気はあるのだが、空回りして失敗ばかりしている、ちょっと残念な印象が強い。


 確かに、それぞれ美しさや可愛らしさはあるのだが、母と比べてしまうと見劣りしてしまうのは仕方がない。


 息子のボクが言うのも変だけどね……



 【リリン種】とは、ガイアで最も古い魔族種の1つで、美しい魔人と言われている。ガイアに最初に生まれた女性の魔人の一人【リリス】。その子孫、全てが【リリン】と称され、特に魔族種で魔人で茶色の髪を持つ者が、純血な【リリン種】とされている。混血に比べ、純血は能力は高く、見た目も良いことから、奴隷としての価値はかなり高いと聞く。


 間違いなくムルに【リリン種】の価値はないだろうな……ガサツだし、粗暴だし、男だし……


「おい!さっきから何、憐れんだ目をしてんだよ!」


 ……だってムルってさ、女性としての魅力ないじゃん?この先どうするのさぁ?


 ボクの思いが通じたのか、ムルはワナワナと震え、服を引きちぎり破ると床へ叩きつけた。


「よく見やがれ!!乳は他の女よりデケーだろうが!!!あ!?」


「…………」


「おい!ウィス!何とか言え!!」


 ムルが強引にボクの両手を引っ張り、無理矢理、自分の胸の感触を確かめさせる。


 ムニムニ、モミモミ、スリスリ……


「フっ♪どうだ?……ん?」


「…………」


 男と言えど、1才半の子どもにする行いでは無く、周囲は固まり、ボクは本当の意味で口をポカーンと大きく開けていた。


「お、お前……まさか……まだ足りないってのか?し、仕方ねぇ……」


 ムルがボクを母から強引に奪い、ボクの頭を胸の谷間へと誘う。そして、


 パフパフパフパフパフパフパフパフパフ……


「これで分かっただろ?ん?」


 キュッと顔が挟まれた状態で、ボクは目だけを見上げると、そこには憎たらしいほどの笑みを浮かべたムルの顔があった。


 ……き、気持ちいいでふ~


 素直にムルのオッパイは、張りがあり大きく気持ち良かった。


「ム、ムル……あなた……何をしているのですか?」


 硬直状態から抜け出した母が、ボクを谷間から引き剥がす。


「こいつがワタシを馬鹿にするもんで、つい……」


「ついって!あなた!ウィスはまだ子どもです!女性を知るにはまだ早すぎます!」


「いいじゃないですか。ウィスも満更でもなかっただろ♪」


 ボクに向かってウインクするムルの後頭部を、ミルが加減無しに叩く。


「ムル!!!」


「い…痛って~!姉上!何すんだよ!?」


「何すんだじゃないでしょう!!あなた、ウィス様に何てこと!!!」


「だ・か・ら・さっきから言ってるだろ!?ワタシの良さをだな……」


「黙れ!!!」


「あ……姉上!?」


 ミルはワナワナと震えるとその場で立ち上がり、拳を固く握りしめ、ゆっくり目を開けた。


「てめえ……いい加減にしろよな……」


 明らかに今の声のトーンは、いつもの優しいミルとは全く違う。歪んだ口からは、食い縛った歯を覗かせ、右側にある眉と細めた目は、左側の位置に比べて、かなり下の方へ落ちている。まさに、


 ……醜悪……


「あ、姉上……ウィスが引いてるぜ……」


 ムルの言葉で必死に元の顔に戻そうとするが、所々プルプル震え、なんだかぎこちない。


「もうバレてんだから諦めなって」


「てめえのせいで、こうなったんだろうが!!」


「キレるこたねーだろ!姉上もやりたいなら、やればいいだろうが!」


「な!?」


 なに言ってるんだろこの人……


「メルもほら、乳を出して挟んでやれ」


「え~!?わたしも~!?……じゃ、する♪」


 ……結局するのね……じゃあ、お言葉に甘えて……デヘデヘっ♪


「あなたたち!!いい加減になさい!!」


 か、母さん!


 メルの行動と、その気のボクに待ったを掛けた。そして母とメルも加わり、女4人がああだこうだと言い合いを始める。だが、耳と鼻が長く尖り、小柄で緑色の肌をしたゴブリンのガルは、家の隅であぐらをかき、目を閉じたまま、事の成り行きを静かに見守っていた。




 読んで頂き、有難う御座います。


 投稿が遅くなりました。自分的にはこの話で3才迄を終わらせたかったのですが、もう少しだけお付き合い下さい。

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