6話
オレ達が異世界に来て2日目。その日もよく晴れた天気であった。
朝目覚めたオレ達は、宿屋のおばさんが作ってくれた朝ごはんを食べて、リーネの村
を後にする。
これからの目的地は『バイゼル』という商業都市だ。バイゼルは、東大陸の西海岸に位置する街で、東大陸でも指折りの港町だ。世界各地から交易商などが集まり、とても商業が盛んである。
また、他の漁港の行き来にも重要な街で、これから行くバーグに行くにも便利である。
ってか、陸路でバーグまで行くのは疲れるしね。
リーネの村からだとちょうど真西にあたる。しかし、西に歩いていけば着くわけではない。
リーネとバーグの間には山脈が聳え立っているので、街道を使って迂回していかなければいけない。
「さあ、とりあえず街道を通ってバイゼルに行こうか!」
「なぁたつ、バイゼルって遠いのか〜?」
寝ぼけ眼の吉田だ。昨日めちゃめちゃはしゃいだせいか、疲れが抜けきっていないらしい。
「ちょっと歩くかな。でも、街道の途中に宿場町があるからそこで休憩しようよ。」
「よっしゃ、じゃあ行くか!」
「うむ。出発じゃ。」
朝の一服をしているケンちゃんが言う。ちなみに、オレも吉田も煙草を吸うんで!!
オレ達は街道を道なりに進んでいく。草原などのあぜ道と違って街道などの整備された道は
モンスターが近づきにくい。しかし全くでないわけではなく、ほどよく出現するので戦闘訓練にはピッタリだ。現に今だって……。
「今じゃ吉田!」
「おりゃ!」
練習してたりする。相手はムーというリス型のモンスターだ。吉田とケンちゃんの息がピッタリ合っている。
さすがは武道の名人と運動バカ。ちなみにオレの役割は回復だ。オレが攻撃するとすぐに
倒してしまうので回復に回れとのケンちゃんからのお達しがあったからだ。もちろん、ちょっと強めの敵が出てきた時はオレも攻撃を行うけどな。
「なんか、俺達の戦闘もだんだん息が合ってきたな!今の攻撃だって良かったし。」
「そうじゃな。攻撃もそうじゃが、やはり後衛からの援護があると安心して戦える。」
「まぁ、オレはそうしろって言われてるからやってるだけだけどね!」
戦闘後の反省会を兼ねつつ、そういう話をしながら街道沿いをさらに進んでいく。
ある程度街道を進んで行ったところか、先の方に煙が見えてきた。どうやら、街道の
宿場町、『シーファン』に着いたらしい。しかし、何か様子が変だ。
「なんじゃ?町の方が騒がしいようじゃが。」
確かに、町の方が騒然としている感じがする。さっき感じた様子の異変はこれか。
少し早歩きめに歩いていくと異変の原因がわかった。
「モンスターだ!たつ、町がモンスターに襲われてるぜ!?」
吉田の言った通り、シーファンの町の近くにモンスターの姿が見て取れた。
このあたりはモンスターの出現率が高く、町も外壁で覆われている。その町の外で、守衛隊らしき集団と、モンスターが戦っていた。
「たつ!まずいぜ、このままだと町が!」
守衛隊の戦況は劣勢であった。次々と敵に倒されていっている。中にはすでに動かない人もいた。
「たつ、救援に向かうぞ。」
「もちオッケー!マジでこのままだとヤバイ!!」
オレ達は全速力で守衛隊と合流した。そして、守衛隊の隊長らしき人と接触する。
「大丈夫ですか!手伝います!!」
すでに隊長らしき人もキズを負っていた。オレはとりあえず隊長らしき人を回復し、状況を確かめる。
「助力申し訳ない!あいつはバンダースナッチといってとても凶暴なモンスターだ!力が強い上に魔法まで使ってくるぞ、気をつけて戦ってくれ!!」
バンダースナッチと呼ばれるモンスターは巨大な犬のような姿をしており、いかにも凶暴そうだ。動きも素早く、その強靭な前足で人を軽々と吹き飛ばしている。もはや一刻の猶予もない。
「吉田、ケンちゃん気をつけて戦え!あいつは相当強いぞ!!」
グミやムーばかり倒してきた二人には荷が重いかもしれない。しかし、人手が足りない以上、二人にも戦ってもらうしかなかった。
「承知した。吉田、油断するなよ。」
「おぅ。もう最初みたいなヘマはしねぇよ。」
バンダースナッチはこちらに気づき突進してきた。オレは銃を撃ち応戦する。敵は一瞬ひるんだものの、さらに突進してきた。
「危なっ!」
みんな間一髪のところで回避した。しかし、攻撃力が高いうえに防御力まで高いやっかいな敵だ。
それに二人のことも心配だった。
その時、ケンちゃんの破砕拳を受けたバンダースナッチは大きくのけぞった。どうやら地属性が弱点らしい。
しかし、バンダースナッチは前足でケンちゃんを吹き飛ばした。
「ケンちゃん!今回復を!!」
オレは回復魔法の詠唱に入る。
「大丈夫じゃ!回復魔法より攻撃をせい。やつは獣、攻撃こそ最大の防御じゃ!!」
確かに、攻撃が当たるとあいつはひるむ。下手に防御して隙を取られるより攻撃を行って
行動を止めるほうが有効である。しかし、素早い上に攻撃力が高いのでうかつに攻撃できないのであった。
「なぁ、どうすりゃいいんだ?俺の攻撃は効かねえし。ケンの攻撃は効くけど近づけねぇし。」
吉田の攻撃は風属性だ。おそらくバンダースナッチも風属性だろう、吉田の風衝撃は全く効果を見せない。
オレ達が苦戦していると、後ろから声がした。後ろを振り向くと、そこにはオレ達と同じぐらいの青年が立っている。
「よぅ、苦戦してるようだな。ひとつ手伝ってやるよ。」
なんとも戦闘慣れした口調で答える。その男は普通の兄ちゃんみたいな格好で
一見すると戦闘を得意には見えなかった。しかし一点、戦闘慣れしてるなという気にさせるものがあった。男の手には大きな青い玉のついた杖が握り締められていたんだ。
あれは魔法具で、魔力の増強を促す武器だ。属性の加護を受けており、あれで叩いても十分ダメージを与えられる。
「詠唱するからしばらくの間時間を稼いでくれないか?」
「わかった!ケンちゃんと吉田はしばらく敵をひきつけておいて!魔法発動と同時に総攻撃して!!」
「承知した!」
「わかった!」
ケンちゃんと吉田は攻撃が当たらない程度に敵をひきつけている。バンダースナッチはうまく挑発に乗り、こちらに背を向けた。
男は杖を構えると、精神を集中させ詠唱を始めた。ものすごい速さで魔力を収束させていってる。
こんな詠唱速度ができるのは魔族と竜族だけなんだけど。
「でかいの行くぜ!グラビテーション!!」
巨大なドーム状の空間の中にバンダースナッチを閉じ込め過重力を発生させて押しつぶしている。
そしてオレ達は、過重力の影響で動けなくなっているバンダースナッチに総攻撃を掛けた。
そして、魔法が終わった時にはバンダースナッチは倒れていた。
「はぁ〜お疲れさん!それにしてもお前たちナイスコンビネーションな!!」
さっきの男が近づいてきた。さっきのは時空系魔法だ。時空系魔法は魔力の消費が半端ないのに顔色ひとつ変えていない。
「あっ、俺の自己紹介がまだだったね。俺はイクヤ・T・ムラー、イクヤでいいから!!」
ウソをつけ、お前の正体はもっと別だろ?そう、もっと強大な。
「なあ、あんたの正体って時の番人『バハムート』だろ?』
オレは真顔で質問する。一瞬やつの表情が曇ったのがわかった。
〜7話に続く〜
6話終了です。今回のゲストはイクヤ・T・ムラーさんです。パチパチパチ!
「ども、イクヤことイクヤ・T・ムラーです!!」
今回の後半で登場のイクヤさんですけど、何か最後にたつが意味深な発言してましたね。
「さささ、さあ?俺には何のことやら……(ドキドキ)」
怪しい。ぶっちゃけ、たつの言った通りなんですか?
「の、ノーコメントで!」
ま、そういうことにしておきましょう。
「きっと次回を見ればわかるよ!それまでのお楽しみということで!!ってか、今回の話の内容めちゃくちゃじゃね?ところどころ意味不明な文もあるし。」
実はね、夜中の2時半って言う時間にロンリコの151プルーフ(アルコール濃度75.5%)をグビグビ行ってたんだもん。そりゃ逝くさ。←リアルな話です。
「お酒好きなん?」
結構な飲んべいですよ?ちなみに未成年ですが何か?。煙草も吸いますが問題でも?
はいはい、逆質問はもういいから!では7話でまたお会いしましょう。