第1話
グダグダですよ~
つぐみのお相手を募集しやす!
HRが終わるとまみは教室から出ていき、ぐったりと机にもたれていると。
机に影ができたのでそちらへ視線を向ける。
「だから一緒に行こうっていったのよ?」
「ご、ごめんね、お姉ちゃん」
そこには腰に手を当てて注意する一人の女性。
見た目は中学生以下にしかみえないつぐみと同じ高校二年生である。
彼女の名は狼崎美桜。
つぐみの双子の姉で、幼いころからとてつもなく過保護だ。
おそろいの星のペンダントを買い、いつも大事に持っている。
ちなみに氷狼の先祖がえりで、獣化と半獣化形態をできるようになっています。
「まあまあ、無事ついたのじゃから良いではないか! なあ、明晴?」
「そうだね、俺も同意見かな」
そこへ仲裁するように割ってはいったのは艶のある金髪をお尻まで伸ばしており、瞳の色も同じく金色の瞳を持つ絶世の美女といわれても良いほどの美人でスタイルもかなり良い。
彼女の名は葛城玉藻。
彼女はつぐみ達とは仲が良くて、一緒に行動を共にすることが多い。
ちなみに彼女も先祖がえりなのである。
なんの種族のかといわれると……玉藻前なのだ。
結構な極悪人だと言われており、本来なら幽閉されていてもおかしくはないほどの妖力の持ち主。
だが、安部の生まれ変わりと共にすることで妖力制御をできるようになり、そばにいることで被害を出すようなことは起こらなくなっている。
その彼女の隣にいるのが安倍明晴といい、安部家の生まれ変わりである。
ちなみにお互いはかなり深く愛し合う恋人同士だったりする。
「朝からイチャイチャせんでほしいぜよ」
「恋人、同士……だから……仕方、ないよ」
呆れる心の隣で目をこすりながら由香里はあくびをかみ殺して告げる。
そのしぐさはまるで猫みたいにしかみえないのだが、心以外は気にしてるようなそぶりはない。
「じゃけんど、こう毎日は……」
「ふふ……そうだね、時と場所を考えてほしいところだね」
「あ、おはよう! レイくん♪」
心がぶつくさ言うといつのまにか隣に来ていた肩までかかる程度の黒髪で前髪は目より少し下まで伸びているくらいでワックスで髪型は整えてあり、淡い血のような真紅の瞳。
彼には優しさのベールに包まれたかのような表情をしているが、時と場合によっては真剣そのもののそれへと一転する。
彼の名は夜瀬澪次といい、とある契約で吸血鬼と変化した。
先祖の吸血鬼の血がうまく反応していたから変化にそう苦しみはしなかったとは本人の談である。
「うん、おはよう。 狼崎さん達」
「うん♪」
「今日も、元気そうでなによりだわ♪ あ、今日は血色もいいわね~♪」
にこやかに笑いかける彼につぐみと美桜はにっこりとほほ笑み返す。
双子だけあって、笑い方もそっくりな二人。
「あれ? 中岡さん、ちょっといいでしょうか」
「どうしたんぜよ? 鳥柴」
そんな二人を見ていたが、ふと違和感を覚えた少年は由香里を注意深く見ていた心へと声をかける。
この少年は鳥柴煉介といい、鳥柴家二十代目候補なのだ。
ちなみに彼は半妖という立場だ。
彼に流れている血は八咫烏と夜雀。
そんな彼も結構特殊な生まれなので、彼も純潔の妖怪からうとまれているらしい。
といっても、それほど力が強いわけではない。
幼いころにバカにされて以来努力して剣術だけはうまくなった。
「野上さんがいなくなってませんか?」
「は?……ああ、まーたついて行ったんじゃろうな」
煉介に問いを聞いて周りを見渡して納得すると苦笑を浮かべながら説明する心。
大輝がまみ先生に好意を抱いているのはこの学園にいる生徒と教師で知らないものはいない。
「ああ、笹原先生にですか」
「ほんと、なんかいも断られているのに懲りないね」
「でも、あそこまでアピールしているのを見ると応援してやりたくはなるのう♪」
煉介は言葉を聞いて納得し、玉藻の隣にいた明晴がやや呆れた様子でつぶやき、玉藻はにやにやと笑っていた。
「そうね、私もあの二人ならお似合いだと思うんだけど」
「でも、まみさんは……」
美桜はつぐみの髪をブラシで綺麗にほぐしながら玉藻の意見に同意する。
つぐみもお似合いだとは思うのだが、彼女の出自のこともあり……おいそれと想いを受け入れるわけにはいかないということを知っているためにどう行動とればいいか悩んでいた。
「なんかわけありなんじゃのう」
「そーかも。……ねえ、心くん……今夜は外に出ないほうが……いいよ」
話を聞いていた心がつぶやくと由香里が彼のブレザーの裾を引いて声をかけて忠告する。
この時心にはなんでそんなことを告げたのか理解できないでいた。
「は?なんでじゃ?」
「……なん、でも……だよ」
聞き返す心に由香里はただそう言うと次の授業の準備をしはじめた。
それを不思議そうに心が見つめていた。
つぐみと美桜は顔を見合わせて苦笑し、玉藻と明晴へと視線を向ける。
彼女達も苦笑したが、小さくバレないように頷いた。
煉介と澪次は黙りこみ、席につくと今夜の出来事を行く末を心配しながらノートと教科書を取り出すのだった。
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