閑話 昼は人間で夜は妖怪?
あなたは階段で落ちそうになった他人にしがみつかれて落下した。
激しい痛みと衝撃に、あなたは死を思った。
だが、なぜか目覚めたときには見知らぬ場所にいることに気づいた。
それは真っ白いと形容していいのかわからない不思議な場所だった。
目の前にはなんというか美しい女性と男性がいて、かなり困った顔でこちらを見ている。
その理由がわたしにはよくわからないけどね。
「えぇっと、もう解ってると思うけど。 あなたに恨みをもった人間が道連れにして死んだの」
「あれはわざとだとしかいいようがないくらいにな。 ちなみにそいつは地獄おくりになったが」
ああ、あれはやっぱりそうだったのか。とそう考えていると。
「まあ、あなたの魂の輝きとかその他もろもろが原因もかんでると思うけどね」
「あと、不幸属性だな。 やあ、ここまで不幸だとは俺も思いつかなかったさ」
おいこら、笑いごとじゃすまないんだけど?
「まあ、君は不幸の連続で死んだわけで。 あまりにも不憫なんで転生してもらうことにしたから」
だったら記憶を持ち越しとかできちゃいます?
と、あえて尋ねると、それは可能らしい。
だが、気になる言葉がわたしにはひっかかるのだが。
さきほど君たちと言っていたような?
そう考えているうちに意識が途絶えたのは言うまでもない。
まだ、願いすらも言っていないのにね。
「オギャー、オギャー!!」
「産まれました男の子と女の子です!」
タオルに抱かれた二人の赤子は母のもとに置かれる。
嬉しそうに笑みを見せながら赤子を撫でているようである
「かわいい、わたしの愛しいこ」
「お疲れ、いまはゆっくり休んでくれ」
母がなでていると父がやってきてねぎらいの言葉をかけていた。
それに嬉しそうに笑みを見せる母。
その様子をみながらうつらうつらと夢の中へと意識が消えていく。
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5歳になってから動けるようになって、双子の兄と遊びに出かけることが多くなった。
後からお目付け役の人がいるけど気にしない。
振り切りはしないけど、せめて子供らしい行動はとらないといけないので大変だ。
え、十分子供らしいって?そうだろうか……。
そんな感じで過ごしてから小学生になった。
その頃から夜になると体がざわざわして落ち着かない気分になった。
なので夜は屋根の上でまどろんでいることが多くなっていた。
そのことを父は気づいていたのかとなりに来て話し相手になってくれた。
そんなのが続いて次の夜に体が熱くて熱をだした。
双子の兄と母と父は心配そうに汗をふいて水をくれることでいたわってくれた。
意識が、ふっとなくなってから気づいたときは次の夜で。
「あ~、寝すぎた」
と、思いながら起き上がるとお尻のあたりに違和感と頭のあたりに違和感。
驚いて等身大の備え付けの鏡を見て硬直するはめに。
………なぜなら銀色の狐耳と狐しっぽが生えていたからだ。
「お父様、お母さま!」
と、急いで飛び込むと、むせたお父様とあらあらとはしたないわよと注意されるはめに。
「妖怪の血が覚醒したんだよ、それで出たわけ」
「髪の色も変化してるわね~、長くもなってるし」
と、説明してくれた。
つまり、お父様かお母さまのどちらかが妖怪ということになるのだが。
気になってきくとお父様が妖怪らしい。
つまり、自分は妖怪と人のハーフなのだとか。
でも、昼と夜で交互にかわることがのちにわかって。
まあ、害はないだろうというおじいちゃんにいわたときには殴ろうかと思った。




