第37話 帰宅と色々?
久しぶりに更新いたしやしたっ!
つぐみ・秀久・美桜の3人が自宅に帰ると、そこには男物の靴があった……。
それを見て多方予測がついた3人は靴を脱いでリビングに入る。
気配に気づいたのか振り向くひとりの青年。
「お。お帰り~」
「……なにがお帰りだよ」
手をひらひらと揺らす青年――富士也を見て呆れたようにつぶやく秀久。
すっかりくつろぎモードに呆れてものがいえないでいるようだ。
「あら、お帰りなさい。 そうそう、今日天城さんとこの息子さんが戻ってきて一緒に住むことになったから」
「そうなるのは仕方ないかな、ほっとくと何も食べずにいそうだし」
「そうね、プラモデルを作成してるときとか没頭していたものね」
台所から出てきた悠がにこにこと笑みを見せながら言った。
まあ、二人はそれを聞いても難色はしめさないどころか、妥当だろうと思っていた。
「おいおい、もうそんなことないって」
「どうだか、いつだったか……そんなことがあって両親にこってり叱られたそうじゃないか」
笑いながら言う富士也を見て秀久はため息まじりにそう言った。
視線をそらす富士也に呆れた視線が集まる。
「まあ、今回はわたし達が面倒みるわけだからそのようなことはないでしょう」
「そうだね、わたし達がしっかりしていればいいもんね!」
「そうよ、つぐみは良い子ね~♪」
悠はそう言うと料理を運んできてテーブルに並べていく。
つぐみは賛同するように頷いて言うと美桜が笑みを見せながら頭を撫でていた。
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そんなことが狼崎家で起こり、夜になるとひとりの少女が屋根の上から町並みを眺めていた。
それは水色のロングヘアーで水色の瞳をしたつり目の少女だ。
「今宵は満月みたいやね~」
月光を浴びながら感慨深げにつぶやく少女――深紅。
頭頂部にあるフェンリルの耳がぴくぴくと動き、お尻のあたりにある尾がゆらゆらと揺れている。
月は獣の本能を呼び覚ますと言われている。
それは獣の血を引くどの種族も同じであった。
「ん~……。 巡回といきまひょ」
伸びをして屋根から立ち上がると、屋根から屋根へと飛び越えるように跳ぶ。
フェンリルの血をもつ彼女だからこその機敏な動きであった。
「異常なしやとえぇんやけどな~」
屋根伝いで跳んで、景色を眺める深紅。
いつもの巡回をして異常があったらそいつにお仕置きをする。
それが深紅達に課せられた使命であった。
まあ、妖の害悪のない市民権利を得る代わりとして行動しているにすぎないのだが。
と、ここで気になる音に気づいた深紅。
狼の耳をぴくりと動かして慎重に音の出処を探る。
それがいったいどこからか、なんの音かを探っているのだ。
「これは……なんか捕食しとるんやな。 まったくわっちらの縄張りに手を出すとどうなるかしらしめなあかんか」
そうごちたように言う深紅は屋根から飛び降りて、音が聞こえた方へと向かった。
そこには食人鬼が人間の足を美味しそうに食べている光景だった。
深紅はこれを見てもなんの感慨もわかない。
むしろその人間の自業自得だと思っていたりもするところが彼女にはある。
「さーて、お仕置きタイムといこうかえ?」
深紅はそう言うと手足が毛深くになり、鋭い爪が現れた。
それはまっくろく漆黒に包まれた毛並みであった。
爪に妖力をこめ、霊的刃を現して足に力をこめて一気に攻め込んだ。
食人鬼は深紅に気づいて振り向くが一歩遅く、顔面に深紅の獣の手が当たってしまい貫かれた。
引き抜いて、爪を舌でペロリと舐める深紅はどこか艶かしかった。
食人鬼が食事中であってもなくても深紅は音を感じさせなくすることができる為、あんまり意味がない。
ちなみに食人鬼は顔を再生させようとしていたが、深紅の左手が食人鬼の胸に突き刺さる。
そして何かを引きちぎるように抜き取ると、それは灰のようでいて砂のようになっていった。
もちろん、貫かれた食人鬼もさらさらと灰となり消えてしまった。
「ひと思いにしとめってやったから、感謝しいよ」
深紅はそれだけを言うとまた、屋根に飛び乗り、暗闇へと消えていく。
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