第31話
「罪もない子供達に手をかけて許しません!」
「気持ちはわかるけど、落ち着いてや」
歩美の憤りに苦笑しながら声をかける。
「さてさて、さっさと片付けようぜ? どうやら俺達のことをしらないザコのようだしな」
光一は死神の鎌とショットガンを取り出して笑う。
「そうやね、援護を一応よろしくや」
「は、はい!」
深紅に言われて頷く歩美。
彼女は手をかざすと光の弓が現れる。
歩美の能力によるものでそれを具現化させているのだ。
『ぐぎゃあああ!!』
歩美へと襲いかかるカエルもどき、疑似餌をゆらしながら大きな口を開いている。
そこへ歩美の光の矢が放たれて突き刺さる。
それに続いて深紅がカエルもどきの口に手を突っ込んで楽しそうに舌を引っ張る。
その笑顔はどこまでも冷酷で残酷のように見える。
「深紅、そのまま掴んでろよ」
「了解や」
光一は深紅に言うといつのまにやら出した鎌で舌を切り裂いた。
その激痛にカエルもどきは咆哮をあげて苦しみだす。
歩美はただそれを悲しそうに見つめているだけであった。
「痛いか? そうだよな、舌を切り裂かれて痛くないわけがねーし」
「まあ、あんさんの痛みに比べたら子供を失った大切な人を失った人達に比べたらやすいもんやろ」
そう深紅と光一はさめた視線でカエルもどきを見つめていた。
そして疑似餌となるものを手で鷲掴みする深紅はニヤリと笑い、膝蹴りを顔面に放つ。
後ろに倒れそうになるも深紅の尋常じゃない腕力により、引き戻されてしまう。
これですでに瀕死の状態なのだから、3人との実力の差によるものなのだろう。
「おいおい、まだまだいけるだろ?」
そう言いながら自動拳銃の引き金をひいて弾が放たれてカエルもどきの真正面に直撃し、貫通する。
悲鳴をあげて真後ろに倒れるカエルもどき、続いて深紅はカエルもどきの心臓あたりをめがけてクナイで切裂いて心臓をあらわにして鷲掴みして引き抜いた。
声にならない断末魔をあげたカエルもどき。
その血しぶきが返り血となって深紅と光一を濡らす。
「やれやれ、後始末が大変になるじゃんか~」
そこへ黒い球体があらわれて、その中から長身の金髪のロングヘアーの女性が現れた。
かなりだるそうに見えが、じっさいはそうでもなかったり。
「別にいいだろ、これの後始末はあんたの担当なんだから」
「そうやで? 食欲もみたせるんやから堪忍しーや」
光一と深紅はそんな女性に悪びれもせずに言った。
どうやら知り合いのようである。
「でもさー、歩美ちゃんの前ではやりすぎだと思うよ。 といっても意味ないか。
じゃあ、後は任せて君たちは帰りなよ」
呆れたように額に手を当てて言うと片手をひらひらと振り、深紅達を促す。
「は、早く帰りましょう?」
「そうだな、目当ての獲物でもなかったし」
「まあ、それでも明日には振り込まれとるやろうからえぇやん」
歩美の一声で頷く光一と深紅はへらっと笑いながら歩き出す。
そう会話しながら3人はその場をさっていく。




