第15話 始めよう
こーしん!
「人数わけができたなら、各自問題をといて行きなさいね♪」
まみ教諭にいわれたとおり、生徒達は問題をといていく。
解けたチームだけはさきに教室から出て行く姿が見えている。
「他のみんな、解くの早いね」
「それだけ他の奴らにとっては簡単なんだろうな」
つぐみの声に秀久が反応して返事を返す。
ちらりと、まみの方を見るとプリントに点数をつけていた。
もくもくと続けている彼女は結構むりしているところもあるのでそろそろ落ち着いてほしいものだ。
「お姉ちゃん、無理かな…?」
「……そうね…、彼の想いは本気だからまみは失うことが怖いのかもしれないわね」
つぐみの問いに美桜は笑みを浮かべて優しく頭を撫でる。
優しい妹の想いもわからなくもないが、それはつぐみだって同じはずだ。
いつもいつも他人のことばかり心配するのは彼女の良いところでもあり、難点でもある。
そう思いながらも答えてあげる美桜。
「………むくわれんのう」
「……なんとか、お手伝い……したい、ね」
話を聞いていた心と由香里は落ち込んでいる大輝を見てみていられない気分になっていた。
彼のアピールを彼女は回避しすぎなのだろう。
「こればかりはあの二人しだいだからね」
「儂らもなんとかしてはやりたいがのう」
「恋というのはほとほと厄介だな」
澪次と玉藻と明晴はまみと大輝の要素を見てぽつりと呟いた。
問題を解く手は止めないままだが。
「やれやれ……あそこまで落ち込んでるとなぁ」
「せやね……しんきくさくなるえ」
大輝の様子に気付いて苦笑を浮かべる光一と深紅。
言外にまみになんとかしろと言っているようにも思える。
「ファイトです!笹原先生!」
「コイにはジョーネツてきニでス!」
「問題解けよ!?」
煉介と緋香は拳を握ってなぜか問題を解かずにいた。
そんな二人に気付いて近寄るとツッコミのために叩く秀久。
「……はぁ。 大輝くん、これが終わったら話があるわ。だから…」
「その言葉、本当やな!?」
このままというのもよくないと感じたのかまみは顔をあげて言うとガバっと机から飛び起きる。
目がキラキラと輝いて見える彼に早まっただろうかと悩むまみだった。
でも、落ち込んでいるよりはマシなのかもしれない。
「えぇ、約束するわ」
「よっしゃああああああ! さっとさと終わらせるでぇ!」
笑顔で頷くとやる気をみなぎらせる大輝。
それを見て、くすっと笑みを浮かべるまみ。
空気はよくなったが、ちょっと先行きが不安にも思える瞬間だった。
感想とひょーかをお待ちしてまっす!




