第3話 捧げものと信仰心
異世神は異世界が現実に存在するゲームです。
俺も欲しい。
あれから別れ、自宅への帰路を辿る。
しっかし、少し肌寒くなってきたなぁ。もう冬だぜ。
「雄大は今頃進路で悩んでるのかな」
まあ、俺は就職内定決まってるけど。ケヒヒヒヒ!
「たたいまー」
「おがえりー」
濁音が下に移動してやがる……だと!?
__ってそんなことはいいんだよ。
「姉ちゃーん、おもしれーゲーム教えてもらったー」
「んー?」
「なんだっけ、『異世界の神になる』、だったかな、有名らしいけど」
「あーあたしやってるよ?」
「へ?」
「だ・か・ら!あたしやってるって!それ!」
……まじ?
「え、じゃぁさ、姉ちゃんの世界見せてよ」
「ええよ、ほれ」
姉ちゃんのスマホを覗き込む。……なんとまぁのどかな農村なんだろう。
「はひぇあすっげ」
「なんだその驚き方」
「俺の世界、ほら」
今度は俺の世界を見せる。
「ふーん、魔法と科学が融合してる世界、ねぇ。あんたらしいわ」
「だろ?」
ふふん、どんなもんだい!
「ただ、まだ世界創ったばっかりっつーのもあってか、まだそこまで発展はしてないか」
「今後に期待してなよ」
「ああ、そうするよ。……現代くらいまで発展させて欲しいものだね」
「どーも」
自室へ入り、画面内で、さっきの聖女がいた王国近くの台風の軌道を変えてやる。
『信仰心が上がりました!(+23)』
フハハ、これで信仰ガッポガポだ!
『信者からの貢げものがあります』
お?そんなシステムあるんか。
「どれどれ……わ、お野菜!」
いいじゃんそれ。最高!
__ん?
『貢げものを受け取りますか?』
YES NO
「なんそれ。受け取らんでどうするよ」
そう言って「YES」に指を当てた途端__
ゴト。
ドサドサドサ!
「は?え、ちょ、え?」
「どうした充!なんの……お……と…………は!?」
音に驚いて部屋に入ってきた姉ちゃんが驚くもの無理はないだろう。
いやむしろこの光景を見て驚かない奴がいるものか。
「異世神」の画面を開いて野菜に埋もれている俺。
画面に表示された『貢物を受け取りました』の文字。
なぜか部屋に大量に転がっている、問題の野菜。
姉と、遅れてきた父が、その目を見開く。
「「ええええええええええええええええええええっ!?」」
「うるせえよ」
_____
「……なるほど、そうか、そういうことか」
「何?どういうことよ」
とっつぁんが言う。
「つまりだな、そう、『異世神』は異世界を実際に創るゲームで、スマホとそのゲームが現実と異世界を繋ぐ役割をしているのだ!」
「そんなファンタジーなことあるぅ?」
「姉ちゃん、現実見な」
「そうよね、あるはずが__」
「実際に起きているんだから現実だよ」
「チクショウ!」
……んまあつまり、そう、あれは現実に起きた出来事で、そして『異世界』を俺は創ってしまったわけでして、そう、つまり我々「異世神」のユーザーは知らず知らずのうちに神様となってしまった、そういうこった。
「じゃあ私が貢げものを貰えば……」
「影響を及ぼしてないから無理」
「いやーっ!」
「ははは……じゃあ僕も始めてみるかな」
「それがいいよ……あ、通知」
『創造神を信仰している国が侵攻されています!』
ダジャレみてぇな通知だな。聖女ちゃんたちのため、いっちょやってやるか。
「あーえーっと、この『天候』使うか」
「それするとどうなるん」
「まず奴らの目の前を『天候:雷雨』にするだろ?」
「「ほんほん」」
「そしたらそれをススイーっと動かす。」
_____
「うっうわーなんだ!?」
「雷雨だ!」
「た、退避ーっ!」
雷雨によって侵攻を妨げられた彼らは、賢いのか知らぬが足元がぬかるみになる前に退避し、松明に光のない夜の中、元の国へ逃げていった。
「た、助かったのか?」
「あ、あぁそうみたいだ」
「きっと創造神様のお力さ」
「ああ、聖女ちゃんがそうだったみたいに、この国を視てくださっているのかも……」
「「「「「創造神様ー!」」」」」
_____
『信仰心が上がりました!(+1293)』
「……ほらな?」
「スッゲー!それあたしもやろ!」
「うん、勉強になるよ」
「だろ?」
まあそういうわけで、我が家「鷹羽家」は、全員「異世神」ユーザーとなったわけさ。




