あなたが見る世界を、いつか私も見たいから
”鏡”を見る。
じっと見つめて、見つめて。
でも鏡なのに、今日は目が合っていない。
あぁでもそれもいつも通りねなんて納得して。そっぽを向いている鏡を見つめた。
そうして、しばらく。
「なに」
少し冷たい、声。それに笑って。
「なにも。見つめてるだけよ」
「視線が気になるんだよ」
ようやっとこっちを向いた鏡に、自然とさっきより笑みがこぼれた。
そうして、見つめあって。
「――ねぇ」
鏡よ、鏡。
「最近の話を聞かせて」
外のお話を。
なんて言えば、仕方ないなと言うように笑う鏡。
そうして、穏やかな声で紡ぐ。
「キレイな花があったよ」
「そう」
「空も」
ほかのいろんな景色も、キレイだった。
頷いていったら、「ねぇ」と今度は鏡から声をかけてくる。
「なぁに」
「今度一緒に行こっか」
なんて言うから、少しきょとんとして。
「一緒に?」
「一緒に」
「一緒に……」
反復して、飲み込む。
あなたと、いっしょに行けたなら。
「……それはきっと、幸せなことなのかもね」
どちらかしか世界を見れない、報告をしあうんじゃなくて。
共に。
そう考えたら、自然と笑えて。
「……いつかね」
鏡に、一つだけ約束を増えして。
ありがとうと、鏡のはずなのにあたたかい頬を撫でた。
『あなたが見る世界を、いつか私も見たいから』/カリナ




