世界で一番きれいなもの
紅を見る。
じっと見つめたら、こっちを向いて。
「どうした」
やさしく声をかけてくれる。
それに、手を伸ばして。
「あか見てた」
そう、言えば。
「そうか」
笑って、ほっぺに伸ばした手をゆるしてくれる。
――あたたかい。
この中にも、紅がある。
あなただけの紅。
めったに見れない紅。
――あぁ。
「…」
欲しいな。
ぜんぶ、ぜんぶ。
ちょーだい、って言ったらくれるんだろう。
きっと、わたしの中にあるあなたの紅を足してくれる。
けど、違うの。
「…」
”これ”が欲しい。
思わず、あなたを抱きしめる。
リアスは何も言わず、抱きしめ返してくれた。
それに口角をあげて、そっと目を閉じて。あなたを感じる。
紅に包まれて。心を満たしていく。
とく、とく。あなたの紅を巡る音をきいてたら。
「やろうか、紅」
大好きな声が、みりょく的な提案をしてくれた。けど、すぐ首は横に振る。
欲しくないわけじゃない。
すごく欲しいよ。
でも。
「いい」
やっぱり、答えはNO。
だって、
「あなたの中にあるのが一番キレイだから」
すりよりながら言えば、リアスは「そうか」とだけ言って。
また強く強く、抱きしめてくれた。
『世界で一番きれいなもの』/クリスティア




