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黒低村  作者: アレテマス
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11.ID:KokT_6mR 01:53


スレは物凄く過疎っていた。ほんの少ししか書かれて無かったし、それも全部スレ主のものだったと思う。誰にも反応されず下に埋もれたから諦めたのかもしれない。だけど、そのたったほんの少しの情報に俺はとても興味がそそられたんだ。



12.ID:Qwe1xP9A 01:55


黒低村ってなんだよ。調べても全く出てこねえぞ



13.ID:Vp9eY1mT 01:56


あー、名前は聞いたことあるかも?



14.ID:KokT_6mR 01:57


そのスレを見たのはだいぶ前だから曖昧だけど、全体の内容を纏めるとこんなものだった。



【N県N市W山の奥にて、地図にも載っていない村がある。それが黒低村(こくていむら)。かつて人々が住んでいた地図にも載っていない忘れられた場所だ】



【その村に行くには車で〇〇号線でI市に向かう途中にあるIトンネルを通る。トンネルの出口に出ればそこで車を停めて左のガードレールを乗り越える。一見森に見えるが、よく見ると切り開かれた獣道があるのでそれに従い10分-20分歩き続けると、黒低村へと到着する】



【黒低村は既に廃村となっていて人は居ない。だが、何故か村の建物の原型は綺麗に残ったままで朽ちてはいない。人の手で管理もされてもいないのに、ちゃんと昔ながらの家が見る事が出来る】



15.ID:KokT_6mR 01:59


と、まぁ大体察してくれてると思うが、所謂【都市伝説】って奴だな。普通なら盛り上がってもなくこんな人もいないスレなんて回れ右して帰るんだけど…偶然にもこのN県は俺が住んでる県でさ。地元と分かったならそりゃあ興味がもっと湧くだろ?俺は残りの書き残されたコメを引き続き読んだ。



【しかし黒低村には時間は『午前2時から午前4時まで』の間にしか行けない。あくまで推定なので、この時間に行っても見れない時は見れない。少なくとも深夜以外で行っても見れた事はない。それどころか印となる獣道すら昼間には何故か見当たらないのだ】



【何故ここまで詳しいかと言うと、私はこの黒低村を何度も通っているからだ。オカルト好きな人間として、これほど奇妙な場所はとても興味があり楽しく思っている。この書き込みを見て興味が湧いたのなら、是非とも黒低村に行ってその目で見て欲しい】








【但し、今から書く内容には必ず従うこと】



16.ID:KokT_6mR 02:01


先程までの説明口調とは違い、その一文にゾッとするものを感じたよ。なんて言うかさ、よくホラーで『これだけはやってはいけない!』っていう定番ネタってあるじゃん?それに今直面しているわけだから、まだ行ってもないのに一気に緊張感が増したんだ。


このスレに瞬きせず目に焼き付けて数分間。俺はいつの間にか噴き出ていた冷や汗を流し、ごくりと唾を飲んでその文章の続きを読む。



【その前に何故私が何度も黒低村に行くのか、気になってはないだろうか?ただの村が見えるだけだというのにそこまで魅力を感じるものなのかと疑問に思っているであろう】



次の文章を見た時さ、説明ではなく、今の俺の内心を当ててきた。正直ドキッとした。このスレッドは過去のもののはずなのに、まるで今このスレ主と対話をしている気分だった。恐る恐る次の文章へと読み進める。



【この質問の答えは簡単な事である。黒低村に行くと必ず】







【"幽霊"と出会えるからだ】



17.ID:KokT_6mR 02:04


「…はぁ?」


俺は思わずパソコンの前で声が出た。心霊現象に対して、こんなに濁さず直球で言うものなのだろうかと不審に感じた。


でも、その理由を益々知りたくて俺はどんどんとスクロールして彼が書き残した内容を読んでいく。



【それが幽霊だと誰かが言ったわけではない。だが、長年オカルト板居座った人間の直感から、あれは幽霊なのだと嫌でもわかる】



【先程も記した通り、黒低村には2時から4時の間にしか立ち入る事が出来ない。常識的に考えれば、この時間帯は人間が就寝している時間なのだ】



【だが、村に行けば人間が見えるのである。彼等は深夜であろうと何事もなく平然と村で暮らし、そして肌色は遠目でも見てくっきりと分かる程、真っ白なのだ。これを幽霊と呼ばずに何と呼べばいい】



【私が黒低村に何度も行く理由。それはこの幽霊の正体を調査しているからである。遠くから双眼鏡で覗き、昼間のように過ごす彼等の様子を観察している。スマホで証明を撮りたいところだが、欲を出してしまうと祟られそうなのでまだ出来ていない】



【以下、私が調べて現段階分かっている幽霊の特徴である】



①彼等の肌は真っ白だが、露出している肌のどこかに必ず【大きな黒いホクロ】のようなものが付いている。


②幽霊は一体ではない。当時の村の暮らしを再現しているかのように、集団で楽しそうにしている。服装から見ると、戦後辺りの日本を思い出すような格好だ。


③時々何かを喋っているかのように口を動かしているのも確認できた。しかし、遠くにいるので会話内容は謎のまま。



【もしも黒低村に行って、上記の条件に当てはまる人間を見れば、それは間違いなく"幽霊"である】



【話が脱線してしまったが、ここからが従ってほしい内容である】



①村には近付きすぎない。見るとしても茂みに隠れて遠くから観察する事。


②必ず4時までには村から離れること。それ以上残ると何が起きるか分からない。


③スマホやカメラなどで撮影を試みない。遊びの感覚で行くと必ず祟られる。



【簡単なことだと思うが人間の好奇心は、時々残酷な結末を迎える事となる】



【私が上記の内容を記したのは、オカルト板で仲間になった人間を連れて行った際、彼は村の中まで行くと言い出したのだ。何度も止めたが彼は言う事を聞かず行ってしまい、怖くなった私は先に帰る決断をした】








【後日、行方不明のニュースにて彼の本名が記載されていた】



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