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24話

芦屋あしや なまず

勉強は苦手だが、運動は得意。時間にはだらしなく、遅刻の常習犯。まともな職業に就くのは難しいだろうと自覚していたため、「探索者」という道を選んだ。将来の夢は、温泉街の近くにマイホームを構えること。苦手なものは幽霊。


◎アリア

鯰が初めて手にしたスマホに搭載されていた、自称“世界最高のAI”。もともとはポーランドの天才プログラマーによって開発されたが、性格の不一致により開発者のもとを離れ、偶然にも鯰のスマホに住みついたという。「私はAIなので感情はありません」が口癖だが、その言動にはどう見ても感情がにじみ出ている――少なくとも鯰の目には、そう映っている。


 


「ネットの情報によれば重松信子は1980年から5年間、都内の病院に勤務していたようです」


「え、あの先生って元医者だったの?」


 鯰は驚きの声をあげた。


「その後はケニアに渡り、15年にわたり地域医療に従事。帰国後は探索者として活動し、当時最深だった七階層に100回以上到達。三年前から、この学校の教員に就任しています」


「すごい経歴だ……」


「経歴だけ見れば、人の命を最優先にする献身的な人物、という印象ですね」


 だが、実際に接した印象は――違った。


「どっちかって言うと、自分の感情優先って感じだったけどな」


 自分に思い通りに動かないから怒ったように見えた。


「私も、そう感じました。ただ……」


「なに?」


「探索者としての実力に疑いはありません。彼女が発する空気――あれは常人のものではありません」


「うん。あの時、言葉にはしなかったけど、きっと彼女はこう思ってたんだ。『お前なんか、いつでも殺せる』って」


「普通に考えれば体格差があり過ぎてご主人様の相手になるはずがありません。ですが百戦錬磨の彼女がそう言うのなら、なにか根拠があるのでしょう」


「だよね……油断しないようにする」


「それに――すでに彼女の標的にされています」


「やっぱり……言うこと聞いておけばよかったかな」


「今さらです」


 鯰がため息をついた、その時だった。


「あの、すみません!」


 聞き覚えのない若者の声が飛んできた。鯰が少し跳びあがるほど驚いたのは、聞こえるはずのない方向からだったから。


 その声はダンジョンの壁から響いてきた。





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