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18話

芦屋あしや なまず

勉強は苦手だが、運動は得意。時間にはだらしなく、遅刻の常習犯。まともな職業に就くのは難しいだろうと自覚していたため、「探索者」という道を選んだ。将来の夢は、温泉街の近くにマイホームを構えること。苦手なものは幽霊。


◎アリア

鯰が初めて手にしたスマホに搭載されていた、自称“世界最高のAI”。もともとはポーランドの天才プログラマーによって開発されたが、性格の不一致により開発者のもとを離れ、偶然にも鯰のスマホに住みついたという。「私はAIなので感情はありません」が口癖だが、その言動にはどう見ても感情がにじみ出ている――少なくとも鯰の目には、そう映っている。


 


「今日も今日とてダンジョン探査~」


 巨体の男がオリジナルソングを口ずさみながら、探索者協会東京営業所の窓口へとやって来ると、そこは修羅場の様相を呈していた。


 電話が鳴り止まず、窓口には怒号まじりの苦情の列。職員たちは汗だくで書類を運び、端末を叩き、走り回っている。まるで年度末直前の市役所だ。空気には焦燥と緊迫が渦巻き、ただ立っているだけで胸がざわつく。


 ダンジョンでしか入手できない「ダンジョン肉」。その需要が爆発的に高まり、価格は僕が活動していた三年前の2〜3倍に跳ね上がっている。初心者講習会でそう聞かされたばかりだ。


 当然、ダンジョンに関わる手続きを担うこの協会も、未曾有の混雑に見舞われていた。


(しかし……いつにも増して異様な空気だな)


 芦屋鯰という男は、もともと状況を見極めるために周囲をよく観察するタイプだ。しかし、こうしてただ見ているだけでは何もわからない。


 彼は思い切って、混乱する窓口へ歩み寄った。


「あ!」


 そんな彼に気づいたのは、ウサギ耳のカチューシャをつけた若い女性職員だった。パチッと目があた瞬間、彼女は早足で鯰に近づくと、まっすぐな瞳で叫んだ。


「鯰さん、いま手が空いてますか!?」


「もちろんです」


 すぐに応じた鯰の答えに、彼女は顔を輝かせた。


「実は今……大変な事態が起きてるんです。協力、お願いできますか?」


「できる限り力になります」


「ありがとうございます!」


 女性はホッとしたほっとした表情をしたあとで、状況を説明し始めた。


「探索者専門学校の生徒が、ダンジョンから戻ってこないんです!」





最後まで読んでいただきありがとうございました。


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