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16話

芦屋あしや なまず

勉強は苦手だが、運動は得意。時間にはだらしなく、遅刻の常習犯。まともな職業に就くのは難しいだろうと自覚していたため、「探索者」という道を選んだ。将来の夢は、温泉街の近くにマイホームを構えること。苦手なものは幽霊。


◎アリア

鯰が初めて手にしたスマホに搭載されていた、自称“世界最高のAI”。もともとはポーランドの天才プログラマーによって開発されたが、性格の不一致により開発者のもとを離れ、偶然にも鯰のスマホに住みついたという。「私はAIなので感情はありません」が口癖だが、その言動にはどう見ても感情がにじみ出ている――少なくとも鯰の目には、そう映っている。


 


「勉強になりました、ありがとうございました」


「こちらこそ助けて頂きありがとうございました」


「いえ、あれは僕が遅刻してきたせいで………」


「それでも助かりましたので………」


 お互いに感謝のリレーを何度か繰り返した後で僕は考える。探索者達がピリピリしていた理由は「ダンジョンの涙」か。それにしても………。


(どうしました?)


「みんな命知らずだなと思って………」


 当然のことながらダンジョンというものは、下層に潜れば潜るだけ魔物の強さは増していく。


 崩落前のダンジョンは七階層が最下層だったけど、僕はそこにすら一度も行ったことがない。安全を考慮するととてもじゃないけどそんな博打は出来ないと思った。


(それが探索者というものでしょう)


「まあ確かにそうだけど………」


 探索者になるものは探索者しかできないものである、これは探索者の間では非常に有名な言葉。


 まっとうな職業に就くことが出来ず、命の血の危険を承知で高額な報酬を狙いに行くのが探索者だ。


「焦ることは無いよ、僕達はゆっくり行こう」


 あえて危険を冒す必要はない。探索者としての僕の目標は一生分のお金を30代で稼ぎ切って、怪我無く引退してあとは温泉が近くにある家を買って悠々自適な生活をすること。


 ダンジョン崩落によって死の危険に直面はしたけど、僕はその目標を変えるつもりは無いのだ。


(そう言うと思っていました、非常に残念です………)


 もしかしてアリアも「ダンジョンの涙」が欲しいのか?一瞬そう思ったけどそんなわけはない。


 彼女はAIだ。私には感情はありませんと彼女はいつも口にしているんだから、宝石が欲しいなんて感情はあるわけがないだろう。


(ご主人様は相変わらず何も分かっていませんね………)


 もしかして僕の思考を読んでいるんじゃないだろうな?そんな不安に襲われながら、僕はゆっくりと席を立った。






最後まで読んでいただきありがとうございました。


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