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第3話 信長奇襲の予告

地味なサラリーマンのけいは、新幹線で着替えて女装してめぐみとなるのが趣味。もう一つの趣味は「戦国オタク」。東京発の新幹線が名古屋に着く直前、桶狭間古戦場を通過したときにセーラー服女装のまま、1560年の今川義元の本陣に転生してしまい…

 大嘘つき呼ばわりされためぐみは少しむくれる。それをなだめるように、義元は説明する。


 「信長がここに来ることはありえん。来るなら鳴海城方面からだが、もちろん別働隊が清須からの援軍が来ないかを監視しておる」


 小幡が口を挟んで「それに清須城には今川に内通してるものがおって、そいつ曰く『昨日の軍議で信長に出陣を勧めたが、それに答えず席を立って自室に籠もってしまった』とのことだ」と自慢げに言うと、義元が「小幡、お前喋りすぎだ」と叱責され、慌てて口を塞ぐ。


 恵は「でも、信長はここに来ます!」ともう一度言うと、小幡は「それは願望だろう? 18歳の小娘は妄想が甚だしい」とまた馬鹿にしたように言う。


 そのとき、「大変です!大変です!」と汗だくの伝令役の侍が駆けてきて、義元の前に跪き、報告をする。


 「鳴海方面を監視していた近江の佐々木隊との連絡が急に途絶えました」


 義元は「なに?!」と驚いて立ち上がると、恵を見下ろしてワナワナと震える。


 一方の恵は戦国オタク脳センサーが過剰な反応をしてしまう。

 「近江の佐々木って、観音寺城の六角承禎ろっかくじょうていのこと? 桶狭間の戦いで、今川が近江の六角氏と美濃の斎藤氏と三国同盟を結んでたって最近、歴史クラスタで話題の新説じゃん!」と興奮して言う。

 2人からのただならぬ視線を感じて、恵は「あっ」と言って、可愛らしく舌をテヘペロっと出して、「あくまで諸説の一つです」とニッコリ微笑む。


 この言葉と態度に小幡は顔をさらに赤くして茹で蛸のようになり、「き、き、き、貴様!!!六角氏、美濃の斎藤氏を加えた三国同盟は秘中の秘ぞ!なぜ知ってる!」と声を大きくする。


 義元は「おい、お前がバラしてどうする」と突っ込んでから、腕を組み、うーむと唸り、降り出した雨がパラパラっと音を立てる大きな和傘の下をぐるぐるとしばらく歩き回る。


 義元は「よし!退却するぞ、沓掛くつかけ城へ」と決断する。だが、すぐさま恵は「その退却は悪手です」と言う。


 義元は苦虫を潰したように、「ここに留まるのも駄目、退却するのも駄目。一体なにを考えておる?」

次回、東奔西走なんのその!目指すは東か西か?

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