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第19話 プロジェクションマッピングとベレー帽

護衛の遠江鈴木4兄弟のうち3人が討ち死にする。恵を護るのは、槍を捨て手綱を引く青年武将と、ゴルティクス製のキャリーバッグを抱える末弟の四郎のみとなる。「槍の又左」前田利家の馬が迫る。恵、最大の危機!

 桶狭間の最前線から離れた大高城へと続く道を、(めぐみ)たち2騎が疾走する。だが、前田利家の馬がすぐに追いつき、恵と青年武将の馬に並ぶ。


 利家は「白き妖女(ようじょ)、美しい! だが死ね!」と恵を狙って槍を突き出す。青年武将はタイミングを見計らい、手綱をクイクイッと操り、馬ごと利家の突きを(かわ)す。


 利家は「ふーん、そういうことか。まずは馬の()()()から仕留めましょうかね」と、馬を背後にピッタリとつける。


 青年武将の腹巻草摺(はらまきくさずり)は、先程の信長の射撃で背板が吹き飛び、ぱっくりと水色の直垂(ひたたれ)が見えている。利家は「今度は外さねぇ」と槍を振り上げる。


 その時、恵は「よいしょ」と右足を鞍に持ち上げ、立ちあがろうとする。青年武将が「ひ、姫! 何を?」と聞くと、恵は「デロ・フィナーレよ」と答える。


 青年武将は「デロ? はっ、そうか! 四郎! 観音様の光だ!」と叫ぶ。四郎はコクリと頷く。


 恵は鞍の上に立ち上がると、後ろ向きになって、利家と対峙(たいじ)する。青年武将はガシッと恵の両足首を支える。


 スッと立つ恵に、利家は「潔さも美しさのうち。安心しな、日ノ本一の美しい串刺しにしてやるぜ」と振り上げた槍で突き刺そうとする。


 その刹那、恵は素早くスマートチョーカーを「トントンツー、トントンツー!」と操作。「ウィーン!」とLEDが出てくる機械音がすると、青年武将は「四郎、来るぞ!」と告げ、目を(つぶ)る。四郎も歯を食いしばり、目を閉じる。


 2028年の「無駄機能」ランク不動の第1位のプロジェクションマッピングが炸裂する。今回は、ゴールドとプラチナのゴージャスバージョンの15秒間プログラムだ。とりわけ初動の3秒が強すぎて、“眼球が焼けるみたいだ”と、とにかく悪評が高いことで知られている。


 360度に広がる金色と銀色の強烈な光の束に、利家が「ちっ、目が見えねぇ!」と顔を覆う。10秒後、利家は目を強く擦り、「ふざけやがって」と強引に目を見開き、「おりゃ! 気合いで目が慣れてきたぜ!」と言った瞬間、その顔にパサッと白い布がかぶさる。


 「な、なんだ今度は、えっ? いい匂い?」と利家はバランスを崩し、「わー、ちくしょう! 白き妖女め!」と(わめ)きながら、道の脇の草むらにドサッと落ちる。


 馬の鞍では恵が何かを投げたポーズを決めている。頭の上には白いベレー帽がない。


 恵は「お気に入りのベレー帽なんだからね、あとで取りに行くから。ついでにユノロクのリュックも。汚さないでね!」と言い放つ。


 青年武将は「姫、もう大丈夫だ、座って」と促し、馬を急がせる。四郎は無言でキャリーバッグを後方の信長たちに見せつけるように掲げ、疾走する。


 藤吉郎は「な、な、なんですか? あの妖術は?」とあたふたする。信長は馬上で腕を組み、「ちっ」と舌を鳴らす。


 その横で狩野永徳は「あんな光と色、見たことない」と狩衣(かりぎぬ)の懐から携帯用の筆を取り出し、半紙に凄まじい勢いでスケッチをする。

次回、第1章最終回!第20話「バトルのあとの空騒ぎ」5月2日夜公開します。第2章も書き進めていますので、お楽しみに!

言葉自体には意味のない「デロ・フィナーレ」は、第14話スキル「鳥の目」発動!で初登場!

利家の「運転手」は第11話「狩野永徳とオーパーツ火縄銃」からの伏線回収です。

ぜひこちらも読んでください!

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