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第73話 【大蟻戦争】変化

——カノーラ村のとある民家にて—————————————————


 時は少々遡り、リリヴィアとギオウが地上で戦い出した頃。

 アルフレッドは部屋でストレッチをしながらリリヴィアのことを考えていた。

 床に座って背筋を伸ばし、両足の裏を合わせて膝をゆっくり下に下げていく。

 膝を床にぴったりつけて数秒間そのまま。


 「結局、リリはまだ帰ってこないか……」


 ひょっとすると朝になったら帰ってきているかもしれない、と思って目が覚めた時に〖気配察知〗や〖魔力探知〗を発動してリリヴィアを探してみたものの、やはり帰ってきていなかった。

 今度は膝をゆっくり上げていき、ある程度上げたら再び下げる。


 (……あいつは夢中になったら周りが見えなくなるところあるし、ただ狩りに夢中になっているだけかもなんだが……やっぱ1人で敵の巣穴に突撃させたのは失敗だったかもしれん。まあ、俺が居たとしてもリリが苦戦するような状況で何が出来るか怪しいけどさ……)


 膝の上げ下げを数回繰り返した後、今度は片足を斜め前に伸ばして両手を伸ばした足の太ももに添えてゆっくり体を倒す。

 胴体と足がぴったりくっつくと数秒間そのまま。


 (とにかく朝のうちにメノアさんと相談して、リリを探しに行こう。護衛の仕事がほったらかしになっちまうんだが……探すのは朝だけで昼には戻る、とか言えば許してもらえるかな……)


 メノアの性格なら商売に悪影響さえなければある程度は許してもらえそうな感じであるのだが、それでもやっぱり不安になるもの。


 体を起こすと今度は逆の足を伸ばし、同じように体を倒す。


 (何か、嫌な予感がするんだよな……単にリリが居なくて不安になっているだけかもしれんが……)


 さらに首や肩、腰などのストレッチを行い、それが終わったアルフレッドが一息ついていると———


 (あれ? 揺れた?)


 ———ほんの少しだけ、揺れたかな、と感じる程度に小さく揺れた。

 その揺れは本当に小さなものでせいぜい、普通の人は地震かな、と思う程度だろう。

 しかし、アルフレッドは違う。


 (リリが暴れているのかな?)


 これまで幾度となくリリヴィアが起こす災難に巻き込まれてきたアルフレッドは、彼女が原因で引き起こされた災難についてはかなりの精度で察知できるのだった。

 ちなみに大正解である。

 この時、リリヴィアはギオウとの戦いで大火力の攻撃を連発していたのだ。


 「……とりあえず、水汲みに行くか」


 アルフレッドは家の近くにある井戸へ水汲みに向かうことにした。

 非常時に備えて鎧と兜を装備し、部屋を出る。

 リリヴィアの状況について気になるものの、考えて分かることでもないので一旦保留する。


——井戸の側にて————————————————————————


 「あ、メノアさん! おはようございます」

 「おはようアル。早いのね」


 アルフレッドが井戸で水汲みをしていると、メノアがやってきた。


 「今日使う分の水って、このくらいで足りますか?」


 アルフレッドはそう言って汲んだ水を入れた水がめをメノアに見せる。

 ちなみにアルフレッドが水を貯めていた水がめは借りている家の台所に置いてあったものだ。


 「十分だと思うわ。ありがとう」

 「ところで、今日の予定ですけど……昨日言っていた通りに朝はこの村で商売して、昼になったらアルタへ向けて出発、で変わりないですか?」

 「まあ、そうね。午前中の内にリリが戻ってくれたらそうするつもり。もし戻らなかったら、その時はまた考えるわ」

 「すみません。ご迷惑をおかけします」


 頭を下げるアルフレッド。

 そもそも今回のアルフレッドとリリヴィアの仕事はメノアの護衛であって、村の警護でも魔物の討伐でもない。


 いまカノーラ村に協力しているのは蟻系魔物の群れによる襲撃で大被害を被った村からの依頼であり、メノアも了承済みのこと。

 とはいえ本来の任務に支障をきたしてしまっていることには違いないのだ。


 依頼された際の村側との話し合いでは、アルフレッド達が村に協力するのは1日だけ。

 理屈の上では日を跨いだ時点で村からの依頼は既に終了しており、アルフレッド達はメノアの行商の護衛に戻るべきなのだ。


 「重ねて申し訳ないんですけど、朝の間だけリリを探しに行ってもいいですか? 昼には絶対に戻りますんで」


 しかしまだリリヴィアが戻ってきていない。

 彼女を置いたまま次の街へ出発するという選択肢はアルフレッドには取れない。

 リリヴィアを探しに行けば護衛対象であるメノアを放置してしまうことになり、護衛任務の放棄と言われてもしょうがないのだが……それでもやっぱりリリヴィアを置いていけない。

 そんなわけでアルフレッドはメノアに頼み込む。


 「ふふっ。もちろんいいわよ」

 「ありがとうございます!」

 「でも、闇雲に探しても見つかるとは思えないわよ? なにかアテはあるの?」


 アルフレッドの頼みをあっさり了承するメノア。

 探し方についてどうするつもりか確認するが、それも別に止めようという感じではなくただ単純な疑問をぶつけてみた、という感じだ。


 「アテというか……さっきからリリの奴、かなり暴れているみたいなんで〖気配察知〗を発動しながら山の方に行けばたぶん見つかるんじゃないかなと思っています」

 「え、分かるの?」

 「半分以上勘ですけど、さっき小さな地震があったの気付きました? あれ、自然な揺れ方じゃなかったんで、たぶんリリが戦った余波だと思っています。あいつが全力で大規模な魔法使うとあんな感じに揺れるんですよ」

 「そうなのね……リリって本気を出すと地震を引き起こせるのね……」


 「リリってホントに人間なの?」という質問が喉まで出かかったメノアだが、さすがに口に出すのは失礼なので、とりあえずアルフレッドの言葉通りに受け取っておく。

 リリヴィアが本気出すと地面が揺れるんだ、と。


 なんとなくメノアは上を見る。

 すると大きな鳥がキーツ山の方から飛んできていた。

 空を飛んでいるので推測だが、体長1メートルくらいはありそうである。


 「あら? 鳥?」

 「あ、本当ですね。Eランクのホロホロ鳥か」

 「ひょっとしたらあの鳥も、リリが戦っている影響で逃げていたりするのかしら?」

 「……かもしれないです」


 その鳥は特に村に降り立つわけでもなく、ただ上空を飛んでキーツ山とは反対の方向に飛んで行った。

 見方によれば山から逃げていると見れなくもない。

 それを見てメノアが冗談交じりに言ったことをアルフレッドが割と真面目に答えたので、彼女もひょっとしたらマジかも、と思い始める。


 「とりあえず、家に戻りましょう」

 「そうね」


 アルフレッドは水がめを抱えて、メノアと一緒に家の中に戻る。

 そして水がめを台所に置いたとき———


 カンカンカンカン、カンカンカンカン


 ———村の門の方から鐘の音が聞こえてきた。

 鐘は緊急事態のときに鳴らすもので、だいたい災害発生時か敵襲の時に鳴るものである。


 「すみません、緊急事態みたいなんで行ってきます。メノアさんはとりあえず、集会所の方へ避難していてください!」

 「分かったわ。気を付けて! それと、場合によってはリリのところに向かってもいいから!」

 「ありがとうございます」


 アルフレッドは急いで剣を持って門の方へ走った。


——カノーラ村の門にて—————————————————————


 「大丈夫ですか!?」

 「あー、その、ごめんアル君。鐘を叩く必要はなかったかも……」

 「? ニールさん、どういうことです?」


 しっかりと閉ざされた門の側に見張り台があり、見張り台の上には門番をしていたニールがいた。

 そこに走ってきたアルフレッドが声をかけるが、ニールはバツが悪そうに返事を返す。

 彼が緊急事態を知らせる鐘を鳴らしたらしいのだが、パッと見た感じ何か危険な目に遭っているようには見えない上に、失敗したみたいな言い方だ。


 「とりあえず、見てもらった方が早い。説明するからここに来てくれ」


 ニールの言葉を受けてアルフレッドは見張り台の上に跳び乗る。

 見張り台の高さは3メートルくらいなので、アルフレッドであれば梯子を使わずともジャンプすればあっという間に乗れるのだ。


 「おい! 無事かニール!」

 「エルまで来ちゃったか。ああ、俺は無事だ。状況を説明するからお前も来てくれ」


 そこにエルも駆け付けてきたので、3人で見張り台の上に立つ。


 「魔獣がこっちに向かって……移動してるだけっぽいですね?」

 「こっちにやって来るのかと思ったら、そのまま柵に沿って走り去っていってるな」

 「そうなんだよ。最初は熊の魔物がこっちに向かって走ってきてな。それで、村が襲われると思って、俺は慌てて鐘を鳴らしたんだが……」

 「その魔物は村を襲うことなく走り去っていったと」


 今も村のすぐ近くをローグチトラルという鹿の魔物(Eランク)の親子が走っている。

 ただ走っていっているだけで、村の中に入ろうとか柵を攻撃したりなどということはせずにそのままどこかへ走り去っていく。

 とにかく必死に走っているような感じがするが、それだけだ。


 「うん。そういうこと。それから他の魔物も断続的にやってきては同じようにそのまま走って行っているんだ。朝早くから騒がせてすまん」

 「いや、謝らなくていい。むしろ良く知らせてくれた。これは明らかに異常だ。何かの予兆かもしれん」


 謝るニールに対しエルはそれを責めることなく指示を出す。


 「自分はこのことを村長に知らせてくる。2人はこのままここに居ていざというときに備えていてくれ」

 「分かった」

 「了解です。あと1つ気付いたことがあるのでそれも一緒に報告をお願いします」

 「気付き?」


 アルフレッドは魔物がやってきていた方向を指差して続きを言う。

 彼はニールとエルの話を聞きながら、同時に異変の原因を探っていたのだ。


 「ええ。魔物がやってきているあの方向を〖気配察知〗や〖魔力探知〗で探ったんですが、どうも戦闘が起きているみたいです。」

 「何? ……言われてみると確かに。距離がありすぎて俺の〖気配察知〗にはかからないが、〖魔力探知〗の方には恐ろしく強い魔力が2つあるな」

 「まじ? 気配を掴めないくらい離れてるのに魔力を感じるって……」

 「要するに、戦っている奴はそれだけ強いってことです。地形の関係でここからは見えませんが、戦場は約2キロ先。魔物達はその戦いに巻き込まれることを恐れて逃げているんだと思います」

 「戦っている存在に心当たりは?」

 「片方はリリです。もう片方は分かりませんが、リリが蟻の討伐に行っていることを踏まえると蟻達のボスか何かって可能性が高いと思います。それと、これだけ離れていても魔力を感じることや魔物達の行動から察するに、脅威度はAランク級かと」

 「分かった。そのことも村長に報告する。アル君、君は一刻も早く駆け付けたいと思うかもしれないが、せめて人が集まるまではここにいてくれないか? 出来るだけ急いで警戒態勢を整えるから」

 「分かりました」


 エルは村長の家に向かい、アルフレッドとニールがそのまま見張り台の上に残る。

 ニールは不安げに村の外とアルフレッドの顔を交互に見ながらアルフレッドに話しかける。

 ちなみに村の外ではほとんどの魔物は逃げ出したらしく姿が見えなくなり、その代わり不規則な地響きなんかが聞こえてくる。


 「君は良く落ち着いていられるね。さすが冒険者」

 「ははは、こういうのは慣れですよ。慣れ」

 「慣れって言われてもね。冒険者は何度もこういう状況を経験したりするの?」

 「もちろん程度の大小はあると思いますが、皆それなりに経験してるんじゃないですかね。俺はまだ冒険者になったばかりですが、一週間くらい前にオーク討伐のレイドクエストがありまして、他の冒険者達と一緒に臨時の拠点に立て籠もってオークの群れを迎撃したりなんかしましたね」

 「うわあ……俺には耐えられそうにないな」


 そんな話をしていると次第に他の村人達が駆けつけてくる。


 「おおーい! 無事か?」

 「ああ、よく来てくれた。今の状況は———」


 そうして駆けつけてきた村人達に対するニールの状況説明を聞きながら、アルフレッドはリリヴィアが戦っているであろう方向を見つめるのだった。


——キーツ山の山中にて—————————————————————


 「はあ、はあ、もうダメだ……俺達みんな死ぬんだ……」

 「まったく、根性ないわね」

 「この悪魔ぁぁぁーーー! なんで俺達がこんな目に!?」


 その頃、盗賊達はリリヴィアとギオウの戦いに巻き込まれて散々な目に遭っていた。

 リリヴィアから無謀な突撃命令を出された彼等だが、もちろんそんな理不尽な命令に従う者は1人もいない。

 当然、皆一斉に逃げようとした……のだが、リリヴィアはそれを許さない。

 彼女は【煙玉】を追加でばら撒いて視界を奪いつつ、逃げ惑う盗賊達を盾にするように動き回ったのだ。


 その結果、急に視界が悪くなったことで転んだり、リリヴィア目掛けて振るわれたギオウの脚の一撃が盗賊達に当たりそうになったり、リリヴィアが放った魔法攻撃が盗賊達の近くを通って余波で吹っ飛んだり……

 さらにはリリヴィアが近くの盗賊を掴んで、投擲物としてギオウ目掛けて投げつけたり……

 だいたいリリヴィアのせいで盗賊達は心が折れかけていた。


 「つべこべ言わずに戦いなさい! まだまだ動けるでしょ!」

 「おい、てめえ! いい加減にしやがれ! このままじゃ全滅するだろうが!」


 そんなリリヴィアに対してリオーネが文句を言う。

 幸運なことに、今のところ盗賊達は誰も死んでいない。


 ギオウやリリヴィアの攻撃は盗賊達には直撃せず、投げつけられた盗賊もギオウが避けたため、そのまま数十メートル程飛んで行って落下するだけで済んでいる。(結構な高さから落ちたが、木の枝などがクッションになったため死なずに済んだ)

 しかし彼の目から見るともはや全滅は時間の問題だ。


 「せめて、なにか勝ち筋を示せ! 逃げずに戦い続けてるってことは何かあるんだろ! 仮にも一緒に戦ってほしいんだったらそれを吐きやがれクソ女!」

 「分かったわよ! 仕方ないわね。ん!? 神聖魔法〖神壁結界〗!」


 ガガーーー!!!


 話の最中に何かに気付いたリリヴィアが急いで障壁を張ると、直後に赤熱した鋼鉄みたいな物体が猛スピードで障壁に突っ込む。

 ギオウがリリヴィアを攻撃するために自分の脚を振るったのだ。

 その攻撃はまるでガラスを引っ搔いたような大きな音を出しながら神聖魔法の障壁を削るが、しかし障壁を破壊するには至らず軌道が逸れて空振りに終わる。


 『チッ。防ガレタカ。〖隠密〗デ気配ヲ隠シテミタノダガ、儘ナラヌモノダ』


 リリヴィアもリオーネも、また他の盗賊達も攻撃を防いだ次の瞬間には【煙玉】の煙に紛れて既に姿を消している。

 ギオウはやや苛立ちながら独り言ちる。


 「時間を稼いで! あと約15分! そうすれば私はギオウを超える! あいつを倒せるわ!」

 「よし! 野郎共! 陽動だ! これから15分、奴の気を引き続けるぞ!」


 ギオウから隠れつつリリヴィアがリオーネに自分の勝ち筋を伝えると、リオーネは間髪入れずに大声で手下達に指示を出す。


 「えええ!? あのお頭、さすがに無茶ですよ! 俺達なんかじゃ一瞬で皆殺しにされちまいます」

 「そうですよぉー! だいたい俺達はただ巻き込まれただけだってのに何でそんな真似しなきゃいけねえんですか!」

 「黙れっ!!!」


 手下達は口々に反対する。

 それも当然で、圧倒的な強さを誇るギオウに対し、その矢面に立つなど自殺行為もいいところ。

 しかも彼らは無理やり巻き込まれたのであって、自分の意志で戦いに参加したわけではないのだから。


 そんな彼らをリオーネは一喝。

 リオーネ自身彼らと同じ目に遭っており、手下達の気持ちも十分理解している。

 だがしかし、ここは敢えて厳しい言葉を口にする。


 「ちょっと追い詰められたからって、甘ったれたことぬかしてんじゃねえ! 逃げられねえのは嫌というほど思い知っただろ! ここで文句を垂れ流してるだけじゃ、ただ死ぬだけだ!」

 「うぅ……それはそうなんですが……」

 「俺達は泣く子も黙る【赤獅子盗賊団】! クソガキや虫けらなんぞに舐められたまま終われるか! 一発くらいかまして見せろ!!」

 『フン!』

 ドン!


 大声を張り上げて叱咤激励していたリオーネの頭上からギオウが脚を振り下ろす。

 その脚はリオーネに直撃して彼の身体を地面にめり込ませた。


 「「「お頭ぁーーー!!!」」」

 『コノ状況デ、ナカナカ悪クナイ檄デアッタ。シカシ、ダカラコソ早急ニ対処スベキト判断シタ』


 辺りには煙が蔓延しており視界は極端に悪い。

 だが大声を出していたリオーネの居場所は当然敵からも捕捉されているわけで、盗賊達の士気が上がって戦況が不利になることを嫌ったギオウが彼を攻撃したのだ。


 「火魔法〖ファイアボール〗!」

 『ム、仕留メ損ネタダト!?』


 しかしリオーネは生きていた。

 ギオウがリオーネを踏みつけていた足を動かした途端、血塗れになったリオーネから火の玉が放たれギオウの顎の辺りに当たる。

 ギオウにダメージは全くないのだが、確実に殺せたはずの敵が生きていて反撃までしてきたことに戸惑いを隠せない。


 「はっはー! まずは1発かましてやったぜ! いいかお前ら、バケモノ相手だからって泣き寝入りすることはねえ! やられたらやり返せ!!!」


 <特性スキル>である〖往生際の悪さ〗の食い縛りが運よく発動して生き延びたリオーネは、そのスキルによって致命傷を受けてもしばらくは動けるのだ。


 『……止メ———』

 「「「させんなぁー!!!」」」

 「〖衝撃波〗!」

 『———チッ』


 止めを刺そうとしたギオウを盗賊達が妨害する。

 それは離れたところから石などを投げつけての攻撃であり、ギオウからすれば無視しても問題ないものだ。

 だがその中に紛れて放たれたリリヴィアの攻撃だけはギオウにとっても無視できない。

 そのため、ギオウは攻撃を中断して飛んできた斬撃を避ける。


 「お頭を連れてきたぞ! 回復を頼む!」

 「光輝魔法〖グレーターヒール〗!」


 そしてその隙をついて手下の1人、ザンがリオーネを担いでギオウから離れ、リリヴィアが回復する。


 「俺達もやってやるぞ! 目に物にせてやれーー!!!」

 「「「おおおーーー!!!」」」

 (おお! リオーネのおかげで盗賊達に火が付いた! 正直ちょっと見くびってたかも)

 (大シタ脅威デハ無イト見テイタガ、認識ヲ改メル必要ガアルナ!)


 戦況が変わり出したのを感じながらリリヴィアとギオウは彼らの評価を改めていた。

 戦いは二転三転しながらなおも続く。


 物語世界の小ネタ:


 この世界の人々は基本的に早寝早起きです。

 夜はあまりやることが無いので、さっさと寝てしまい、その分だけ朝早く起きています。


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