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〇第三話『種族』


 パチパチと燃える薪の音。

 火の粉を宙に散らし、周囲を明るく照らす焚火。

 荷物の中にあった食糧でひとまずリーシャと夕飯をとることにした。

 荷物の中には色々とあった。

 食糧や飲料はもちろん、雑貨や着替え、生活に必要な消耗品など数週間分ストックされていた。

 俺はその食糧を使ってリーシャに簡単な料理を作った。

 生肉を鉄串に刺して焚火でこんがりと焼き、パンと色々あった具材でサンドイッチを作ってあげた。

 パンは少しパサパサだけど、まぁ味は不味くはない。


 にしてもスッゲー満月だな……いや、土星かあれ?

 満点の星空に夜の暗闇を照らす大きな満月。

 ただその満月が俺の知る満月よりはるかに大きい。

 三倍……いや五倍はあるで大きさでさらには何か輪っかのようなものに囲まれている。

 しかも周囲は平原だから見渡しも良く、光源が焚火しかないため夜空が一段と綺麗に映る。

 これが異世界の夜の風景か……。

 夜空を見て物ふけってる俺を後目に空腹を満たすように食べ物を口に入れていくリーシャ。

 よっぽどお腹減ってたんだろうな……。


「そんなに急いで食わんでもご飯は逃げないって」


 久しぶりの食事なのかリーシャは夢中になって食べていた。

 サンドイッチを五個もお代わりし、焼いた串肉も十本ぐらい食べて満面の笑顔。

 食事が落ち着いた頃合いを見て、俺はリーシャに色々と自らの正体を打ち明けた。

 自分がこの世界の住人ではなく他の世界の住人であること。元は人間であること。

 そして、この世界がどういう世界なのか全く分からず困っていること。

 ただ、前の世界で自殺したことに関しては言わなかった。

 深い理由はない。言ったら空気が気まずくなりそうな気がして嫌な空気にしたくなかったからだ。


「つまりユウヤはこの世界とは違うまったく別の世界から来たってこと?」

「信じられないと思うだろ? でも実際、俺が一番困惑してるんだよ。人間だった俺がなんで唐突にこの身体一つでここにいるのか、何にも分かっちゃいないんだ」


「そもそもユウヤが元人間って言うのが信じられないよ。どう見ても魔族なのに」

「魔族? さっきの男も俺の事を魔族って言ってたけどこの世界にはやっぱり魔族がいるのか?」


 リーシャに聞くとこの世界には人間以外にも多くの種族がいるらしい。

 

 種族だけじゃない。

 魔法や魔術、またはそれとはまったく異なる『異能』や『能力(スキル)』などいう力も存在するらしく、俺のオタ心を存分にくすぐってくる。

 リーシャとの会話の中で続々と出てくるファンタジーな単語に俺は内心ワクワクしていた。

 子供の頃、幻想物語(ファンタジー)な世界にワクワクドキドキしていたあの頃を取り戻したかのように俺の今の心は期待と興奮に満ち溢れていた。

 そんな心情を内に秘め、俺はリーシャの説明に耳を傾けていく。


 まず、この世界には大きく分けて人間と十種の異種族たちが存在している。


・高い身体能力を持ち野生の力を有する獣の種族『霊獣族(れいじゅうぞく)

 

・自然を愛し個の魔力値が高く魔法による技術に秀でた『妖精族(ようせいぞく)


・海や水辺を住処とし泳ぎに関しては全種族トップを誇る『魚流族(ぎょりゅうぞく)


・大自然の化身、神との親交もあると言われている『精霊族(せいれいぞく)


妖力(ようりょく)と呼ばれる独自の魔力を持つ『物怪族(もののけぞく)


・禁忌に触れ過ちを犯した不死者(アンデット)の種族『幻魔族(げんまぞく)

 

・力を重んじ、その身体には魔物の血が流れる魔の種族『魔牢族(まろうぞく)


・空を愛し空中での戦闘はどの種族にも引けを取らない『鳥人族(ちょうじんぞく)


・全種族最強、一個体(いちこたい)だけで国をも滅ぼすことが出来る『竜鱗族(りゅうりんぞく)


・強固な鎧を身に纏い、その正体は謎に包まれている種族『鎧妖族(がいようぞく)


 そしてこの地上でもっとも多く生息し今の文明を築き上げた『人間(にんげん)


 この世界での人間は『猿人族(えんじんぞく)』と言うらしいがこの名称は古く、今はもうほとんど使われていないらしい。

 基本は『人間』で称されるそうだ。

 まだ確認されていない未知の種族などもいて異種族の種類の正確な数は誰も知らない。

 

「なるほどね。ちなみにこの世界での魔族ってどういう存在なんだ? まさか出会っていきなり討伐される危険な種族……じゃないよな?」


「見方は種族によって違うけど危ない種族ではないと思うよ。確かにあんまり良いイメージはないけど、それは各種族によって違うと思うし危ない種族じゃないと思う」


 それを聞いてとりあえずはホッと一安心。

 にしても、魔物の血が流れる種族か……。


 この世界において、魔物は人間と全種族に害する魔法生物。

 基本害悪なものが多いが、それと同時に魔物は各種族の貴重な資源物資にもなる。

 魔物の各種部位は武器や薬の材料、食糧、加工して雑貨品にもできるためその用途は幅広い。

 中には飼い慣らせる魔物もいるらしく、騎乗用の乗り物としても用いられることも多い。

 希少な魔物は各種部位が高価な値で取引され、血の一滴が希少な薬の材料になることもある。

 しかし高価になる分、その討伐の危険度は高くなる。

 希少な魔物は強力な個体が多く、一個体で災害を(もたら)す程の危険の魔物も存在する。

 魔物の種類はある程度把握はされているが、未だに正体を知らない魔物もいるため、その種類の全貌は未知数とされている。

 そして魔族はとある専門家の一説では人型の魔物が突然変異で生まれた種族らしい。

 魔族は完全な実力主義社会で武闘派や魔法に長けた者など戦闘に長けた者が多く、歴史に名を刻んだ英雄や偉人といった魔族もいるらしい。魔物の知識にも博識で、高い文明力を築く魔族の国もあるんだとか。


「もしかしたら(この)身体を知ってる魔族(どうぞく)がいるかもしれないな」


 まず知っておきたい、この身体の正体を。

 魔族ならこの身体の正体が分るかも、と期待を膨らませる。


「ちなみにこれから向かうその街には魔族はいるか?」

「多分いると思う。ここら辺だと一番大きな冒険者ギルドのある街だし、そこを活動拠点にする異種族

や人間の冒険者も多いから『冒険者の街』って呼ばれてる」


 冒険者の街か。今から楽しみで待ちきれないな。

 どんな街並みなのか、冒険者がどんな格好なのかと色々考えてると期待と興奮で胸が膨らむ。

 でも冒険者って職業があるならこの世界の文明や文化はある程度盛んなんだろうか?

 その辺も街についたら要確認だな。


「フフッ。ユウヤ、何か楽しそう」

「え? そ、そうかな? まぁ正直ワクワクしてるってのはあるかな」


 正直、明日が楽しみではある。どんな街なのかというのもあるが、やっぱり人間以外の異種族たちに出会ってみたいという期待が何よりも大きい。

 やっぱり異世界の住人と言えば異種族って印象(イメージ)は強い。

 コスプレでも仮装でもない。

 正真正銘、本物の異種族を見てみたいという欲求が何よりも強い。

 その興奮のせいで今日はなんだか眠れそうにないな……。

 そんな思いと興奮が膨らみながら、夜は過ぎていった。

 

ご観覧ありがとうございました。


今回、小説自体が初めての作品になりますので文章の違和感や誤字脱字等、ありましたら指摘のほどよろしくお願いします。

また、高評価や文章改善のアドバイス等いただけたら喜びます。

更新頻度は今のところ未定ですが、早め早めに更新していければと思ってますので今後もお楽しみに!

それではここまで愛読、ありがとうございます!!

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