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無題
老人が花束を持っている
亡くした者へ手向けるため?
若い男が持っていると 若い女へのプレゼント?
幼い子が握りしめる一輪は 母への感謝だろうか
僕は毎日こんな荷物を持ち歩いている
履き潰した靴の中にガラスの破片
擦り切れた笑顔の奥に蝉の抜け殻
知識を詰め込むことに嫌になって
嫌になることにも疲れてしまった
人間が賢くなりすぎた弊害だ
愛を求めているくせに
存在しない相手と戦わなくちゃ怒られる
丁字の角で待つ少女
あの子はきっと別世界の僕だったかもしれない
だから誰も気に留めないような人になりたい
あのとき泣いていれば
綺麗な人生が僕にもあった?
人間が賢くなりすぎた弊害だ
自分を大事にすることにも疲れてしまった




