16/32
蝶は自分の影に気付くのか?
幼い頃、絶え間なくついてくる影に怖さを覚えた。
正体もわからないまま恐れた。
自然の成り行きで芋虫は蝶になれる。
けれど私は足元ばかり見て変わらない。
飛び立てない。
きっと火に群がったら上手く行くはずだ。
そうと分かっていても私は上手に生きられない。
みんなみたいに羽ばたけない。
何をするにも遅れていて、
これといった美しさもない。
泣いてばかりで、
萎れた羽の存在さえ背にあることに気づけなかった。
でも乾かしてくれた。あの子が。
私の影を作ったあの子が。
そうだそうだ。
初めはみんな地を這っているんだから、
きっとあの子も気付いたはずだ。
それでもあの子は飛んだんだ。
恐れを知って飛んだんだ。
影すらできない大空に。
そして太陽になったんだ。




