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東京Re-survive  作者: 櫻木 いづる
終章 彼方からの文
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第6章 黄昏刻の邂逅

「見てご覧、秋葉。珍しい物が売っているよ」

「あっ! 本当です! 色んな物がありますね、零ちゃん」

「これなんか秋葉でも使いやすい道具だと思う」

「へぇ……初めて見るです。零ちゃんは物知りですね!」

 女の子が好きなものを前にしてはしゃぐ様子。

 それは正直、見ていて微笑ましいものがある。

 問題があるとするならば、手にしているそれらはすべて何かしらの呪術的効果のある呪具であるということ――。

「……。暇だな」

「僕も自分の買い物が終わった後だと、何をすればいいか分からないや」

 一方、僕らは出店から少し離れた場所から、彼女達の邪魔をしないようその様子を眺めている。時折交わす会話も、ポツリポツリとまばらで長くは続かない。

 時間を遡ること一時間前。僕らは寮監である老翁のもとに行くと、

「日暮、秋葉原、千石の以下三名、外出します」

「神式以下一名、外出するよ」

 僕らは前もって記入を終えていた外出許可願いを提出し、学園の外へと出た。

 別にカフェテリアに行くわけでも、学校の授業で必要な筆記具を買いに行くわけでもない。

 それらすべては学食や、購買で事足りてしまう。

 今日、外出しようという話になったのは他でもない。

 ある商人の集まる特別な市が催されるのを耳に挟んだからだった。

「久々ですね、授業以外でこうやって学園から出るの」

「そうか。秋葉さん達は入学以来なのか」

「えへへ、そうなんです。学園の中で色々と事足りてしまうから、つい……」

「私は気まぐれに外出するよ。世俗に疎くなるといけないからね」

「世俗って……」

 零の言葉に苦笑しながら、僕は会話に参加しようとしない夏生をチラリと一瞥した。

(嫌がるのを無理やり連れ出して来ちゃったからな……)

【だが、女子に紛れて一緒に行くのは気まずかったのだろう? 着いてきたのなら、良かったのではないのか】

(それは、そうだけど……)

 やはり、後ろめたさに似た感情が勝ってしまう。

 だからつい夏生の様子を窺っていたその時だった。

「……なんだよ」

「い、いや。無理やり連れ出して悪いなぁとか思って」

「なら連れ出すな。……まあ、外出は嫌ェだけど市自体には興味があったし別にいいよ」

「まあ、今日みたいな大規模な市は滅多に開かれないって訊くよね」

 そういう意味では今日外出する意義は大いにある。

――呪術市。それが今日僕らが外出する目的だった。

 本来、呪術系の道具などは寮を通じて実家から送られてきたりすることが多い。

 理由は明白――その家に縁のある呪術商という者が必ず存在する。

 その人物を通じて仕入れた物を送ってくるのがほとんどだが……生憎、僕はそういった供給が皆無だった。もとより期待していたかと言えば望み薄程度ではあったが……。

【呪具類の補助もなしに兄を捜せというのは、些か矛盾した行いよな】

(仕方ないよ……色々、事情があるんだろうし)

 実の両親とはいえ、どう擁護したらいいか言葉を選んでしまう。

(最低限の呪具類は学園の購買である程度は揃えることもできるけど……)

 僕の場合は、日暮家縁の商人を含め、直接『買い付け』を行う必要性が出てくる。

 そんな事情をチームメイトの二人に話したところ、

『是非、一緒に行かせて下さいです!』

 とお願いされたのだった。

 正直、向上心豊富な秋葉さんの行動力には目を見張るものがある。

 共感力も高く、僕の家庭の事情を話した時も泣いてくれたほどだ。

 そんな彼女の頼みを無碍に断る理由なんて皆無だ。

 一人前の退禍師になるのならなおのこと、刀だけではなく道具類の知識も持っている必要がある。そして商人との人脈も……だ。

『呪術市』は普段縁のある商人だけではなく、新米から玄人まで様々な品を出品する。

 特別な道具類を買い付ける目利き。そして新たな人脈作りにいそしむ退禍師は少なくない。

「……。俺は別に買い付けに出る必要はねぇんだけど」

「なら、寮の中で一人で腐っているかね」

「零ちゃんの言うとおりです。外出許可が下りたんですし、せっかくだから出ましょうよ」

【クカカッ。人付き合いが下手という意味では、れんと小僧はどっこいどっこいだのう】

(リツは黙って……。いや、事実だけれど……)

 酷く億劫そうな表情を浮かべている夏生を一瞥する。

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