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米沢派のスパイとその息子

(15)米沢派のスパイとその息子


猫は気になることを言った。

主税ちからは米沢派とシン米沢派の抗争に巻き込まれて殺されたのだろうか?

武は猫に真相を聞くことにした。


「殺された僕の同級生って、主税のことか?」武は猫に聞いた。


「ああ。お前は知らなかっただろうけど、アイツの父親がシン米沢派のリーダーなんだ」


「え?主税の親父がリーダー?」


猫は、主税は抗争に巻き込まれて殺された、と言っているらしい。

いくら抗争が起こっているとしても、小学生を殺害する必要があるんだろうか?


武が戸惑っていると、猫は説明を続けた。


「強盗に扮した米沢派のスパイは、主税の家に侵入してシン米沢派の情報を入手しようとしたんだろう。でも、小学生が振り回した火かき棒に当たって死んでしまった」


あきらが米沢派のスパイを殺害した。でも、あれは手違いだ。不可抗力だよ」


「どういう理由であれ、スパイは主税の家で死んだ。シン米沢派に米沢派のスパイの死体を発見されたら、まずいよな?」


「そうだね」と武は言った。


「焦った米沢派はスパイが主税の家に侵入した事実を消すために、死体を燃やしたんだろう」


「え?待てよ。お前は『主税の家を放火したのは僕の同級生だ』って言ったじゃないか。米沢派とどう関係あるんだ?」


「鈍いなー。お前の同級生は米沢派ってことだよ」


「つまり・・・スパイってことか?」


「そう、スパイだ。正確にはスパイの息子だな」


「スパイの息子もスパイか」武は小さくつぶやいた。


「米沢派は情報を得るためにスパイをシン米沢派のテリトリーに送り込んだ。そのスパイの息子はシン米沢派の情報を探るために、リーダーの息子と友達になった。息子の友達だったら、シン米沢派の情報を入手しやすくなるだろ」


「あの強盗が米沢派のスパイで、その息子が主税の友達?」


「そうだ」


「じゃあ、息子の目の前で父親が殺されたのか?」


「そういうことだ。ここまで言えば、犯人は誰か分かるだろ?」と猫は言った。


「ちょっと整理させてくれ・・・」と武は言った・


「いいぞ。時間はいくらでもある」


「まず、スパイが扮した強盗を殺害したのは昭だ。スパイの息子は、スパイが主税の家に来ることは事前に知っていたはずだから、火かき棒で殴ったりしない。それに、実の父親を殺すはずがない。だから昭は米沢派ではない」


「いいぞ。それで?」


「次に、強盗を殺したことを黙っているように言ったのはさとしだ。あの事件の時、直ぐに通報すると米沢派が到着する前に、シン米沢派の警察官が来てしまう。だから、米沢派が来るまでの時間稼ぎをしようとしたんだ。スパイの死体は後で回収するか処分しようとしたんだろう。そう考えると・・・、犯人は聡か?」


「ご名答。正解だ」


「よし!」武はガッツポーズした。


「お前、頭いいなー」


「そんなことないって・・・」武は猫に謙遜した。


「普通の小学生は分からないぞ」


武は事件当日の状況を思い出しながら言った。


「それにしても、目の前で父親が殺されたのに、聡は少しも動揺してなかった。普通だったら動揺するよな。どういう神経をしてるんだ?」


「それが米沢派だ。聡は小さいころから、スパイとしての教育を受けてきたんだろう。スパイは人の命よりも任務を優先する、と父親から教えられてきたんだ。動揺を隠したのは、スパイの父親の教えを守ったんだよ」と猫は言った。


「父の教えを守った・・・。鉄の掟だな」


「全くだ」猫は同意した。


「今思い返せば、男の友情どころの話じゃなかったんだな。すっかり騙されたよ」


「男の友情なんて信用しちゃいけない。あれは少年マンガにのみ存在する概念だ」と猫は言った。


「男の友情は、子供のスパイが相手を信用させるために使う言葉か・・・」


「そうだな」


武は事件の犯人が分かったことで、少し楽になったような気がした。

まだ命の危険は去ってはいないのだが、真実に近づいたことは良いことだろうから。



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