嘆きの願い星
嘆きの願い星
願いの園に、溢れる願いの渦……
もしも、叶わぬ願いが叶うのなら……
願わぬモノなど、あろうものか……
ズズ〜ン……ズズ〜ン……
ズズズズズ……
ズズ〜ン……ズズ〜ン……
ズズズズズ……
ズズ〜ン、ズズ〜ン……
ズズズズズ……
グヴォ〜〜〜〜……
雲を貫き、嘆きの壱つ目
陸つの、厄災と……
壱つの、嘆きの祝砲携えて……
ラッキ〜モンスタ〜……漆哭
嘆きの空を見つめて、何思う……
グヴォ〜〜〜〜……
漆哭の祝砲は、天おも貫きて……
漆哭は、漆度なくから……漆哭……
ズンズンズン……
嘆きの碧星……
ズンズンズン……
見上げる空に……
ズンズンズン……
誰が呼んだか、名付けたか……
ズンズンズン……
願い願われ、願い星……
ズンズンズン……
誰が語りて、誰が願うか、願い星……
ズンズンズン……
巡り巡りて、ぐるぐるぐるぐる……
ズンズンズン……
願い願われ、願い星……
ズンズンズン……
煌めく、ぐるぐる渦巻き銀河に……
ズンズンズン……
流るる星……壱つ……
ズンズンズン……
輝かぬ陸等星、壱つありました。
ズンズンズン……
満天の星屑の中……言靈の残滓に包まれし妖星……
ズンズンズン……
無限軌道の、定められし廻廊より、自ら外れして……
ズンズンズン……
目指すは、願いの園……碧星……
ズンズンズン……
嘆きの願い望むモノにしか……見えぬ
ズンズンズン……
気付けぬ壱つ星
ズンズンズン……
壱つ、ありました。
「ん〜ん……あ〜あ、よく寝たな〜? ん……!」
御目々、パチパチパチパチ……?
「此処……何処だろう? ん〜……真っ暗なのかな? 真っ白なのかな〜……? ん〜……どっちでもあるようで……? どっちでも無いよな〜……何だろな? ココ……? 変な処来ちゃったな? 多分……? わたし、やらかしちゃってるの……かな?」
「う〜ん……(ポンポン!)な〜んにも、思い出せないや? あたしって、存在してるのかな? 何かな〜……? 頭の中、全てが朧げで……覚えているんだけど……? 思い出そうとすると……ぼやぼやぼんやり、ぼやけちゃうんだよな〜……何でだろ……?」
「わたしの感覚的には、歩いてるんだけどな? ふわふわしてて、飛んでるようでも……ある様な……不思議な感じ何だよな〜! ふ〜む……? そうだな! 分からないんだから、考えても仕方無いか? でも、名前は覚えてる? クララベル? でもこれって、そもそも名前なのかな? ん〜……怪しいな? でも、今わかる事は、この、クララベルだけ出し! クララベルって思う事で、今のわたしの寄り所にもなるしね! オッケイ、オ〜ライ! おいおいに、思い出すかも知れなないしね! よ〜し! わたしはわたし、わたしなんだし! わたしらしく、胸を張って歩こう! (ふみふみ)地面を踏み締めて、歩いてる感覚はあるんだけどな〜? 何だろな? 胸を張りきれ無いやっ? アレレ! 突き抜けちゃうよ? 御祖母様なら、だらしないね〜クララベルって! あははははって、高笑いするんだろ〜な? んっ? 御祖母様? 誰? 御祖母様だから、わたしの御祖母様だよね? やっぱりわたしの名は……クララベル何だね? よ〜し! 壱つ確定、よしよしだね! ん〜ん? もしかして……寝ぼけてる? もしかしてもしかして……わたし、起きて無くて、夢の中なのかも……? ありがちだよね!」
御目々、パチパチパチ……キョロキョロキョロキョロ。
「夢の中……何じゃ? 無いかな? 多分だけど……? 何の確信も、もてないや……? う〜ん……なんでわたし、意味も分からず、とことこ歩いてんだろ? んんん? 何? 処向かってるの……わたし? アッチに、何があるってゆうの……かな?」
ずっと……お花畑のビジョンは、あるんだけど……? 何にも無いよね? 辺り一面? どっちが本当なのかな……現実……夢の中……わたし……わたしじゃ無い?
「考えてるんだか? 喋べってんだか……? 廻りと自分の境界線すらも、混じり合ってる感じがして、何だか曖昧で……訳分かんないよ〜? 誰か〜っ、何とか言ってよ〜! 教えてよ〜?」
ふふふふふ……。
「誰? いるんじゃん? 誰が笑ってるの? 誰よ〜? 姿表しなさいよ〜!」
ふふふふふ……此処は、わたしの世界。
ここには……古より、願い願われて来た、切なる願いの言靈が溢れておるわ!
「誰? 古よりの願い……言靈? 溢れてるの? 此処に……?」
ふふふふふ……。
お前さんも、願ったんじゃないのかね?
クララベル! クララベル!
ああ……クララベル!
言ってやろうか? ええ! クララベル!
とっても身勝手な、願いばかりしよって?
忌々しい……
それに飽き足らずに……真逆な!
此処まで、乗り込んでくるとは……?
見下げたものだよ! クララベル!
「何故? わたしを知ってるの? わたし……何も知りません? 気が付いたら、ここにいたんです……? 本当です! 教えて、誰かさん?」
ふふふふふ……あはははは……???
何故! 問い掛ける?
何故! 迷っておるのだ! クララベル!
なぜ笑わぬ?
願って! 願って! 願った!
お前が、願っていた……。
此処へと、来たのだぞ!
笑え! 笑え! 笑え! クララベル
嗚呼……忌まわしき、クララベルよ!
「五月蝿い五月蝿い、うるさ〜い! 何なのよ! 藪から棒に、知らないわたしに頭ごなしなんて? 酷くないですか? わたし、願ってませんし? この状況で、笑えるもんですか! 笑える筈ないでしょ! いったい貴方は、何者何ですか? 何故、わたしを知ってるの? 教えて下さい? 小五月蝿い、誰かさん……?」
クララベルよ? ガチャガチャした、その心の耳を済まして見ればよかろう!
「心の耳? ガチャガチャしたって……?」
帰りたい…… 帰りたい…… 返して……
たすけて〜…… お救い下さいまし……
おたすけを〜…… 富を築きたい……
栄誉を与え給え…… 子宝が授かりまそように…… 何故わたしの才能に、皆は気付かぬのだ…… 美しくなりたい…… 良き縁に巡りあわさしめ給え…… 失敗しろ…… わたしを有利に導きたまえ…… われこそが、王たらしめたれ…… 貧乏何てクソ喰らえ……
この言靈が聞こえるか? クララベル? 感じるか、クララベル?
どうか、お母様に永遠の命を与え給え……
「何なんですか? 此処へと貴方が捕らえた者たちの、叫びなのでしょうか?」
あはははは……笑え! 笑え! 笑え!
まだ分からぬのか? まだ解らぬのか……?
クララベル! クララベル!
嗚呼……忌まわしき、クララベルよ!
何故? 何故? 何故?
願い星等と……ワシに名付けだ?
何故? 何故? 何故?
何故? 皆は、ワシに願うのだ?
何故? お前は、ワシに願ったのだ?
永遠とも思える……永い時の彼方……
途方もない無限とも思える程の、願いの言靈様々な感情が、クララベルの中へと容赦なく入っていきました。
永い時の中に、言の葉を失うクララベル……ポトリポトリ……ポトリ……あふるるものがありました。
さあ! 笑え! 笑え! 笑え!
クララベルよ!
「貴方の愁い、貴方の嘆きは……さっぱり何の事だか、わたしには分かりません……ここが何処かも? わたしが本当は誰かも? 苦しまれてる、言靈の方々も? 貴方が誰なのかもです? 貴方の背負われているものは、見せて頂きました」
お前は幾度も幾度も、生まれ代わり、生まれ代わる度に……幾度も幾度も、その又継の世でも、幾度も幾度も……場所を変え、姿を変え、時空を超え、勝手にこのワシに! 願い星等と、名を付けおってからに? 願うだけ願って、何時も消え去り! 現れてはまた、ワシに願う……お前だけでは無い、多くの者たちがワシに……何故願う……? 逆に、ワシに名を付けた、お前に聞きたい! クララベルよ? 何故! 願うのだ? 何故だ? 何故だ? 何故だ……?
「わたしが、名付け親だ何て……そう言われましても、俄には……信じられません? 貴方は、願い星なのですね」
お前が何を言おうが白を切ろうがな? 真実は曲げられん! 変えられんのだよ! 忌まわしきクララベルよ!
ワシは尋ねておるのだ! 答えよ、クララベル?
「今のわたしに……全てを受け止めろと、仰るのでしょうか……何も分からない、このわたしに?」
そんな些末な事など、知らん!
ワシは尋ねておるのだ!
答えろ! クララベルよ?
何故だ? 何故だ? 何故だ?
「何故って? 私に聞かれても……昔々のわたしの事なんて、わたしは知りません? 今のわたしの中には、御祖母様の言われた、クララベルの名だけです!」
ふん……忌々しきは、クララベル!
都合良く、全てを隠して、此処へと来たと申すのか?
答えよ! クララベル! 何故! ワシに、願い星等と名付け! 時を超えてまで、願い続けたのだ? 答えよ! クララベル! 今のお前が、忘れていようが、ワシには関係無い! 答えよ! 忌まわしきクララベルよ!
「貴方が何と言おうが、知らない物は答えられません! アレ? 何だろう、アッチから懐かしい温もりを感じる……?」
ふふふふふ……アッチか? そうかアッチだな! 答えはアッチに、あるんだな? クララベル!
行こう、アッチへと……。
「貴方に答えた訳ではありません! アッチに何があるって言うの……?」
帰りたい! 返して! お願い!
クララベルの内なる内に、どっと願い星が抱えている、行き場を無くした全ての願い達ちの潮流が、亡者の如く流れ込んできました。
溢れいでる悪しき願いの洪水に、クララベルは為す術もありません。
暫くは、願い星の嘆きすら、届かないでしょう。
クララベルの心から、溢れ出す涙の様な感情が……。
「御免なさい御免なさい御免なさい……願い星さん……貴方の苦しみを知らずに、何度も何度も生まれ変わってはお願いをして……貴方は多くの方々の想いを、ずっと背負って来られたんですね……すみませんでした」
さあ語りあおうぞ、クララベルよ!
時は幾らでもあるからな!
「みんな碧球に、還りたがっています? 願い星さん?」
アッチだったな? ふふふふふ……お前が此処へと来る、ずっと前から向かっておるわ……ただ、目指す先が分からず、彷徨っておっただけ……この忌々しきモノから、開放されるのであらばな? 碧球であろう? お前もか? 開放されたいのか、クララベルよ!
「わたしも……碧球から、来たのでしょうか? 願い星さん?」
そうであろう……あそこから、ずっと願っておったではないか?
「なら、わたしも帰りたい?」
ではゆこう、碧球へと……忌まわしきクララベルよ!
「さあ! みんなも一緒に還りましょう! 願った、貴方達ちの御主人様たちは、もうおられないかもしれませんが?」
ふん! 重ね重ねられてきた願い諸共、ワシが自ら送り返してやるわ!
あははははは……。
ズンズン ズン!
ズンズン ズン!
ズンズン ズン!
瞬く星は、過ぎ去り……
無限軌道を進み行く……目指すは願いの園、碧球!
長い長い年月を突き進み、流星とかした願い星は碧球を目指して長く長く尾を数千光年に渡って伸ばしてまいります。
やっとだ! あはははは……!
直ぐだ! もう直ぐに到着だ!
「えっ? 誰……? 漆哭? 来ては駄目って? 壊す! 壊す! 壊す! 貴方が助けてくれるの……? わたしたちが、星を壊すって? 泣いているんだね……漆哭」
グヴォ〜〜〜〜……!
哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭哭……!
あはははは……………………碧球、美しき星……ワシもあのように、産まれたかった……碧球よ! わしを、開放してくれるのか……。
願い星は、漆哭の慟哭に当てられ、パッカ〜ン! パカン! パカン! パンパン! パンパン! パリパリパリパリ! プチプチプチプチ……半分半分半分半分……無限半分を、繰り返し繰り返して細分化してゆきました。
散り散り粉々となり、碧球様にキラキラキラキラと、無数に輝く夥しい、光りの筋を描き出しました。
そして、古よりの願いたちと共に、流星群の様に降り注ぎました。
勿論! わたしも壱緒ですよ!
時は流れて……わたしはこの星に、また生まれました……善きかな善きかな。
小さな小さな透明色の、一つ目のカメレオンみたな、漆哭の雌に生まれました。
漆哭は厄災です!
壱つ哭いて、壱つの厄災巻き起こし、陸つ哭いて、陸つの厄災巻き起こす。
端から見れば、悪い子ちゃんです。
漆つ目は、この星を護る為に、自らの存在全てをかけて、持てる力を全部出し切って、漆哭は哭くのです。
漆哭な、星の怒り。
漆哭は、星の哀しみ。
漆哭は、星の苦しみ。
漆哭は、星の愁い。
漆哭は星の嘆き。
漆哭は、星の怒濤。
漆哭は、星の希望。
漆哭は、星の護り。
漆哭は、ラッキ〜モンスタ〜。
漆哭は、漆度泣くから漆哭。
わたしに与えられた役目は、次の漆哭を探し出して、慰め見守ること……それが、わたしの犯した、罪と罰なのですから。
決して、許され事は無いのかもしれませんが……。
あははは…… えへへへへ…… うふふふふ……
あの願い星に乗って帰って来た、願い達ちは愉しげに今も、グルグルグルグル碧球を、駆け巡っているんですよ。
たまに、お話しを聞いて貰たり、漆哭の情報を教えて貰っています!
ペチペチ弱っち〜わたしは、何度も何度ペチッと潰されて、産まれてをペチッを、繰り返して世界中を旅して歩いて、新たに産まれる漆哭を探しています。
嗚呼! 願い星さんは、散り散りバラバラになっても……今も、わたしに付き纏って、ウダウダ愚痴を零していますよ!
うふふふふふ……。