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ユートピアモノローグ  作者: りゅりゅりゅ
1/1

労働社会人

興味を持って観ていただき誠にありがとうございます。


この短編連続モノローグを読むにあたって、決して他人事ではないということを理解しながら読んで頂きたい。これは私たちのモノローグだから。

我々の国は発展途上であり、物資が豊富にあります。

国民の多くはSNSとAIに接続できる小型デバイスを携帯しています。デバイスは連絡だけでなく、音楽や電子書籍などあらゆる娯楽を提供してくれます。しかし時には悲しい事もあるでしょう。そんな時でも私たちはデバイスによるサービスのおかげで笑うことが出来ます。

何より、私たちはデバイスさえあればその日の予定の把握ができます。

なぜなら、デバイスには独立したAIがいるからです。そして、AIが全ての予定から推定してあなたに最適な娯楽を提供するのです。

なので、我々の国では皆幸せです。


以上がこの国と大多数が所持する「デバイス」の説明だ。もうすぐ様々な人間に焦点を当てたモノローグの第一章が始まる。念を押すが、これは他人事ではない。

私は労働社会人。34歳男性。

月曜から金曜まで働き、土日は家で寝ている。

収入は平均より若干低い。だが養う人がいなければ十分貯金もできる。

私の一日は、デバイスAIが計算した最適なアラームによって唐突に始まる。デバイスは仕事に遅れないように叩き起こしてくれるヤカマシイ機械である。この国の労働力と技術の結晶である。

太陽も昇らないうちに私は家を出て、仕事場への電車へ乗る。朝の電車は常に腹八分目ぐらいの人を乗せていることが多い。この国の朝はとても早い。多くの人は早く仕事を始めて良い評価を貰いたいからだろう。もちろんのこと、私もそうだ。それは社会全体の空気がそうさせている。

空気とは、大気とか風とかではない。

この場合の空気とは、自分を中心とした周りの雰囲気の事である。または他人を中心とした、周りの雰囲気の事である。これらの空気は割合でいえば当然、大多数は他人が占めている。

なので自分の空気なんて大したことは無くて、他人の空気こそ社会全体という事だ。これを私は他人尊重社会と呼んでいる。

ピロリン。

しまった。今朝は忙しくてデバイスの通知音を切り忘れていた。

こういう所はデバイスの悪い所だ。電車に乗ったら全自動で通知を切ってもらいたい。当然私は乗客に白い目で見られた。だが乗客はすぐに興味をなくした。なぜなら毎朝恒例のあの時間になったからだ。

車窓が一瞬真っ黒になった。次の瞬間、車窓全面に出勤中の社会人を励ます国営のビデオが映った。自動的に全員のデバイスにも同じビデオが映った。


「おはようございます!本日の天気は ハレ です」

「今日も健やかに働きましょう!」


この国のマスコットキャラクターが甲高い声で読み上げた。いつ見ても滑稽なビデオだ。

なぜなら、これは毎朝撮っている訳ではなく、天気の部分だけをその日ごとに編集した天気予報だったからだ。なので、天気を読み上げる部分はやや違和感がある。そして滑稽なのはビデオだけではない。

車内は社会人による滑稽な罵詈雑言で溢れかえった。

「金があるんだから毎朝撮れよ」

「朝からやかましんだよ。この〇〇〇が!」

「あんたらは楽な仕事でいいねぇ。」

しかし、中には愚痴なんてない人もいるだろう。私がそうであるように。しかし全員が愚痴を言ってるのだ。なぜなら、少なくともこの時間だけは社会人がひとつになるからだ。なので愚痴を吐かなければ社会から逸脱してしまう。ビデオが終わり、再び車窓に景色が戻った。愚痴もすぐに止んでいった。

そして計算されていたかのように電車は仕事場に着いた。

今日も麻痺した私は健やかに働く。

ご閲覧頂き誠にありがとうございました。

初投稿、初執筆ということもあり、見にくい文章であったとは思いますが、コメント等で応援アドバイス等頂けたら幸いです。今後のやる気にも繋がりますので、よろしくお願いいたします。

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