7.サイバーパンクとネットの裏組織
RPGのジャンルの中にサイバーパンクというものがあります
このジャンルの舞台背景は主にネットやITの発達した近未来であり、魔法こそ有りませんがサイバネティックフレームを身体に埋め込み銃火器を装備した戦闘職や、電脳空間を自在に渡り歩きシステムに干渉してセキュリティの解除や戦闘の補助を行う支援職が存在しています
ゲームに於いて彼らはプレイヤー人数の制約から、主に性質の異なる異職種の少人数チームを編成し、それぞれが持つ異なる技能でお互いを補完しながら請け負ったミッションの達成を目指すのです
あれ?
コレって、ファンタジーRPGのパーティ編成と良く似ていませんか?
まあ、似ているのも当然でしょう
サイバーパンクRPGはファンタジーRPGから派生した亜種見たいなものですから
背景設定が変わったとしてもその本質は変わりません
でも、例えその本質は変わらなくとも背景設定が変われば変わるモノもあるのです
例えば、PCのパーティ編成の方法とかね?
普通、ネットウィザードの様な電脳職は引きこもりになりがちです
広大な電脳空間を自在に渡る彼等も電脳空間にアクセスする機器が無ければ唯の人だからです
そんな彼等が、旅先の安宿で偶然出会った素性も知れない傭兵崩れと即興のパーティを組んで命懸けのミッションに挑むというシュチュエーションは、可能性がゼロでは無いにしてもかなり無理があります
一方でネットの裏組織がコーポの非合法活動を請け負い、プロフィールを登録している傭兵崩れやクラッカーに報酬を餌に依頼を出して臨時編成のチームでミッションを遂行させるというシュチュエーションは、荒廃感漂うサイバーパンクの世界観としては違和感がないどころか寧ろ自然ですらあります
そして何より重要な事は、この"ネットの裏組織"の存在によって本来接点を見出せ無い様な職種の全く異なるほぼ初対面のPCのパーティ編成がスムーズに行われるという事です
この"ネットの裏組織"がどの様に発生したかは私にも判りませんが、恐らくプレイ進行をスムーズにする為に誰かが発案したのでしょう
サイバーパンクという世界観からもこの"ネットの裏組織"を発想する事はそれほどハードルが高いとは思えません
そしてこの"ネットの裏組織"こそが冒険者ギルドの原型なのです
実際、冒険者ギルドとこの"ネットの裏組織"には極めて多くの共通した特徴を見出す事が出来ます
例えば
・組織内に複数の異種職が存在している
・組織に所属する構成員の身元を組織がある程度保証している
・依頼と報酬の一元管理
等です
そして何より重要なのは、コレら全ての要素がPCのパーティ編成を容易にしてシナリオの導入を簡略化しているという事です
この事実は"ネットの裏組織"にはこれまでこのエッセイで書いて来た問題点を一気に解決する可能性がある事を意味しています
しかし、だからと言ってこの"ネットの裏組織"がすぐさま冒険者ギルドになった訳ではありません
何故ならそこには"世界観"という超えられない壁が存在していたからです