4.出会いのジレンマ
海賊王に俺はなる!
という漫画がありますが、あの作品のエピソードの中でも印象的で人気の高いものに仲間達との出会いの物語があります
実際、様々な作品に於いて主人公と仲間達の出会いは極めて重要視されており、それなりの話数を使って語られる事も珍しくありません
RPGに於いてもそれは同じで、キャンペーンゲームを行うマスターの中にはキャンペーンを始める前にプレイヤーとPCの背景について調整し、それぞれのPCに付いて個別のシナリオを用意する場合もある程です
しかし、オープンコンベンションでは事情が異なります
何故ならオープンコンベンションでは基本的にマスターもプレイヤーも毎回入れ替わるからです
それはつまり、毎回PCの出会いとパーティ編成が必要になる事を意味します
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前回触れましたがオープンコンベンションでゲームを行う場合、会場の制約等によりプレイ時間には絶対的な制限があります
そして、初対面のPC達が出会いパーティを編成するやりとりもこの時間の中に含まれます
これはつまり実際のシナリオのプレイ時間は、ゲームプレイ時間からパーティ編成の時間を差し引いたモノになると言う事です
ですのでマスターの立場から言わせて貰えれば、パーティ編成の時間は出来るだけ減らしたいのです
ところでRPGにはプレロールドキャラクターというものがあります
これは、事前にマスターがシナリオに合わせて作成したキャラクターの事で、この場合シナリオに於いてプレイヤーはマスターによって予め用意されたキャラクターをロールプレイする事になります
プレイヤーは予めPCを用意する必要がなく、また用意されたPCには予めある程度のバックボーンが設定されている為、パーティ編成等の手間がなく、極めてスムースにシナリオへ導入出来ます
しかし、このプレロールドキャラクターは日本ではメジャーなものにはなりませんでした
理由は簡単で、プレロールドキャラクターはプレイヤー自身のキャラクターでは無かったからです
RPGに於ける醍醐味の一つに、PCの成長と言うモノがあります
自分のロールするキャラクターがシナリオを経る毎に強力になって行く姿は、プレイヤーとしても嬉しく時には感動的ですらあります
コレが単に数値的な話で有れば、プレロールドキャラクターが得た経験値を各プレイヤーのPCに振り分けても良いよと言うだけで良いのですが、プレイヤーが自分のPCに思い入れが有る場合、キャラクターの成長はロールプレイと直結していると言ってプレロールドキャラクターを受け入れ無いのです
プレイヤーのその気持ちも理解できるのですが、それは時間制限の有るオープンコンベンションに於いて極めて大きな問題になるのです