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77.根本的原則。ダンジョン外でギフトは効果を発揮しない。

「イモさん」


「はい?」


「アナタ……URギフトを保持してるでしょ?」


いやいや……いったいぜんたい何がどうしてそのような話に飛躍するのか? 確かにイモの銃の腕前には俺も驚いたが。


「ダンジョー。アンタ。アタシの銃は特別なのかって聞いたでしょ?」


それはまあ普通はそう思うだろう。防弾車を貫通するなど普通の拳銃に出来ようはずがないのだから。


「でもね。ほら。アンタの持ってる銃とアタシの銃。全く一緒でしょ?」


うむ……確かに。だとするなら不思議である。俺の銃弾は防弾車に弾かれ、ハンナさんの銃弾だけが貫通する……


そういえば、ハンナさんとダンジョンに潜った時も似たようなことがあった。ハンナさんの銃弾はゴブリン獣チーフの魔法バリアをあっさり貫通していた。あれは銃弾に魔力を付与するというハンナさんのスキルが影響していたわけだが……


まさか?!

防弾車を貫通したのも同じ理屈とでもいうのだろうか?

銃弾に魔力を付与したため防弾車を貫通したと。


いや。確かにそれなら可能かもしれないが……そもそもが根本的な間違いがある。


根本的原則。ダンジョン外でギフトは効果を発揮しない。


現にダンジョンを出た今の俺は暗黒の霧を出すことなど不可能であり、LVアップによって得た超人的身体能力の面影もない。イケメンである以外は全くの凡人へと成り下がっている。


「それってアンタのギフトがSSRだからよ」


いや。SSRだからよと言われましても……

最高レアであるSSRに無理であるなら誰にも無理では……いや。SSRのさらに上。まさか……URギフトなら別だとでもいうのか?


「別よ。そうでしょ? イモさん」


……思い返してみれば、以前にハトを蹴とばしたヤンキー連中をイモはあっさりのしていた。そしてつい先ほどの出来事。カーチェイスで揺れる車内。初めての射撃にも正確に相手を狙い撃つ。いずれもギフトの力、身体能力の向上が影響していたというのか?


「あーあ……ハンナさん……どうしてお兄様にバラスのでしょう? 私に何か恨みでもお持ちなのですか?」


「えっ?! あの……ソーリー……アタシ何か悪いことした?」


「はい。考えてもみてください。お兄様の好みは何かあれば、うわーん怖いよーとすぐに泣き出し庇護欲をくすぐるお間抜けロリっ子なのですよ? それが実は私は守る必要もないムキムキマッチョな筋肉ゴリラだと知られたならどうなります? もしもお兄様に嫌われたら、どう責任をとるつもりです?」


……誤解である。別に俺はロリコンでもペドフィリアでもなく、ただ少女が好きなだけの健全な男子高校生である。


そもそもが、おっさんが中学生を好きだというならロリコンで激烈マズイが、高校生が中学生を好きだというならほとんど同年代。何の問題もない。はず。


「本当ですか? お兄様は私を危ない女だと嫌わないですか?」


嫌うはずがない。妹の成長を喜ばない兄がどこにいようか。イモがムキムキたくましく育ってくれるなら兄としてこれ以上の幸せはない。


「おにいちゃん!」

「イモ!」


がっしり抱き合う俺とイモ。


ぐえー。痛い痛い痛い。


「ごめんなさいおにいちゃん。イモ。嬉しくて力を入れすぎちゃった。てへ」


凄まじい筋力……どうやらURギフトが外でも能力をつかえるというのは本当のようである。


「だが……URギフト持ちは日本にもいるが、ダンジョン外でも能力を使えるなど初耳だぞ?」


「そんなの公表するわけないでしょ? 知っているのは本人とその周囲極一部だけでしょうね」


銃も効かない、スキルを使い放題の歩く人間兵器。危険すぎて野放しにできようはずもない。一生涯監視下におかれ、下手すれば人体実験の餌食となるのだから明かそうはずもないか……


俺をURと誤解したアメフト親父が接触してきたのも、そのためか。


ただダンジョン内で無類の強さを誇るだけでない。ダンジョン外においても歩く人間兵器なのだから、何としても協力関係を築きたいわけだ。


「ハンナさんのギフト……オリジン国政府は知っているのか?」


「政府の上層部は知っているわ。でも、URギフトが外でも使えると知っているのは……パパと大統領だけよ」


たかが、といっては失礼だが、大使の娘というにはVIP待遇が過ぎるように思えたが……VIP待遇も当然。逆によく海外への渡航許可が下りたものだ。


「それだけ日本との交渉に力を入れていたってわけ。交渉を行うパパに何かあってはマズイからね。パパの護衛もかねてアタシが同行していたのよ」


すでに交渉のなった今さらアメフト親父を襲う奴もいないってわけか。


「それにしても、まさかイモさんがURなんてね……パパからアンタを見張るよう言われていたけど……もうアンタいらないわね。アンタだけ帰る?」


俺のギフトだけが目当てだったとはなんとヒドイ……とんだヤリマン女であった。


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