66.やつがゴブリン獣キング。
残すところ敵の総数は
各種ゴブリン獣が30。ゴブリン獣チーフが3。
ゴブリン獣メイジが3。ゴブリン獣ヒーラーが2。
ゴブリン獣キングが1となっていた。
地下3階。最後の大部屋を前にして、ニャン太郎とニャン子も合流。全員でもって突入する。
広間中央の玉座に座る大柄なゴブリン。
やつがゴブリン獣キング。
品川ダンジョン地下3階には存在しなかった存在。
キング1人が混じるだけで、ゴブリン獣の戦闘力が1段跳ね上がるという。
玉座周囲に組まれた矢倉。
陣取るアーチャーとメイジから矢が、魔法の炎が放たれる。
暗黒の霧にあって、この部屋のゴブリン獣たちは行動できるのか?
見ればゴブリン獣キングの身体から、部屋全体に白いオーラが立ち昇っていた。
オーラ系スキルか。
一般的には防御力や魔法抵抗、弱体耐性などを上げるスキルで、代表的なスキルに聖騎士の聖なる気がある。
ゴブリン獣キングのオーラがどの程度かは不明だが、動けるゴブリン獣が居ることから、デバフへの耐性は上昇しているように見える。
くわえて、傍らのゴブリン獣ヒーラー2体が何やら必死に回復魔法を唱え続ける。周辺のゴブリン獣がオーラを抜けてデバフを受ける度に、2体がかりで回復させているようだ。
しかしまあ……無駄な努力である。
デバフを、弱体効果を回復するといっても無理がある。
暗黒の霧が与える弱体効果は、視覚異常、聴覚異常、嗅覚異常、味覚異常、触覚異常、攻撃減少、防御減少、敏捷減少、魔攻減少、魔防減少、毒、腐食、魔力減少、魔力蒸発、恐怖、麻痺、睡眠、混乱、放心、封印、闇耐性減少、光耐性減少、火耐性減少、水耐性減少、風耐性減少とあるのだ。
全部のデバフを一括で回復する魔法もあるのだろうが、ゴブリン獣ヒーラーごときが使えるものではない。1つづつ回復したところで焼け石に水というもの。先に自身の魔力が尽きるか、自身がデバフを受けて動けなくなるのが落ちである。
そして
ゴブリン獣アーチャーから放たれた矢は狙いを外れ床に突き立ち、メイジから放たれた火球も同様。あらぬ方角へ飛んで行った。
ゴブリン獣キングのオーラで麻痺や封印といった致命的なデバフは防いでいるようだが、全部のデバフは防げない。
五感阻害や能力減少など、弱体効果の残った状態で遠距離の敵をまともに狙えようはずがない。
反面。レーダー測定したイモの電撃は正確無比。
「はい。マルチロックでドーン」
イモの両手指を発した合計10本のチェインライトニングが、全てのゴブリン獣を貫通連鎖。貫き打ち倒した。
「キングゴブー!」
いや。1体だけ。イモの電撃に耐えた者がいる。
ゴブリン獣キング。盾でもって電撃を防いだか。
キングというだけあって、なかなかやるようだ。
すでにデバフを回復するヒーラーもいない。
弱体効果の残る身体に華美な剣と盾を構え持ち、ドスドス駆け寄るキングに対して
「にゃん」「にゃー」「なー」「なおー」
ニャンちゃん軍団4匹が駆け出し衝突する。
ズンバラリン
無情にも4対1。ゴブリン獣キングは四肢を断たれ消滅した。
「お? 剣と盾が残ってるよー?」
キングというだけあって良いドロップ。
「イモが使うか?」
「いいの? それじゃこれだー!」
イモは嬉々として華美な剣を拾い上げていた。
いや。後衛の魔法使い。
身を守るのに盾でも選ぶと思ったのだが……なぜに剣を選ぶのか?
いや。基本イモと2人の場合は俺がタンクを務めるわけだからして、この方が良いか。
俺は残された華美な盾を拾い上げる。
正面にレリーフのある盾。イモの電撃にも耐えたことから、かなりの性能が予想される。
「凱旋だ! 無敵要塞へ引き上げるぞ」
「凱旋だー!」
地下2階。意気揚々と草原広場に戻る俺たちが見たのは、無敵要塞の中で平和に交尾するハト2羽の姿であった。
■SSR+ 暗黒魔導士改 LV28 1↑UP
・スキル:暗黒の霧+(五感異常、全能力減少、毒、腐食、魔力減少蒸発、恐怖、麻痺、睡眠、混乱、放心、封印、闇光火水風土耐性減少、猛毒)
猛毒(New)猛毒により体力減少。
・スキル:暗黒抵抗:暗黒強化:暗黒打撃:暗黒熟練
・EXスキル:プリンボディ:鋭利歯:偽装:牛パワー:赤外線感知




