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57.リラクゼーションハウス

5/1(水)祝日


■SSR+ 暗黒魔導士改 LV25 2↑UP


・スキル:暗黒の霧+(五感異常、全能力減少、毒、腐食、魔力減少蒸発、恐怖、麻痺、睡眠、混乱、放心、封印、闇耐性減少、光耐性減少、火耐性減少、水耐性減少)


火耐性減少(New)火属性の攻撃に弱くなる

水耐性減少(New)水属性の攻撃に弱くなる


・スキル:暗黒抵抗:暗黒強化:暗黒打撃:暗黒熟練

・EXスキル:プリンボディ:鋭利歯:偽装:牛パワー:超音波



「クルッポー」「クゥックゥッ」


どうやら無事に朝を迎えたようで、ハトさん2羽は朝から元気に草原を歩き回っていた。ハトは草食。草の種子でも探しているのだろう。


しかしお腹が重い。

見ればニャンちゃんが1匹。俺のお腹の上で丸くなっていた。


少しは俺にもなついて来たということか?


そっと背中を撫でてやる。

怪我をしているのか、その毛に少し血が滲んていた。


俺が寝ている間にモンスターと戦っていたのだろう。

今も黒い霧を通して俺は何者かの近づく気配を感知していた。


モンスター……この大きさならイノシシ獣が1頭か?


まだハトさんだけで戦うのは無理。

枕元の包丁を手に起き上がろうとしたところで、お腹のニャンちゃんが先に飛び出して行った。


「なー!」


ズンバラリン


包丁を手に追いつく前、すでにモンスターは紫煙と消える。


デバフがあるとはいえ一瞬で倒したのか……

ニャン子かニャン美かどちらか分からないが、ずいぶん強くなったものだ。


そういえば他のニャンちゃんたちの姿を見ないが、無事だろうか?


ニャンちゃんハウスを見れば、残るニャンちゃん3匹が1階と2階に寝転がりくつろいでいた。ニャンちゃんハウス。好評のようで喜ばしい限りである。


ニャンちゃんハウス前に俺が腰を下ろすと、その膝の上に再びニャンちゃんが座り込む。


「なー」


どうやらニャンちゃんのうち1匹が外で見張り。残る3匹がハウス内で休息するフォーメーション。なぜ見張りニャンちゃんの定位置が俺の上なのか?


5月とはいえまだ朝晩は肌寒い。それが原因か……


ツンツン


背中をつつく感触に振り返れば、ハトさんがくちばしで俺をつついていた。


こいつは白色ではない普通のハトさん。

俺がポーションで治療したからだろうか。頭を俺の膝にこすりつけ、まるで甘えているように見える。


「よーしよしよしよし」

「クゥックゥッ」


首の辺りをなでてやると嬉しそうである。


そういえば、こいつも治療魔法が使えるのだろうか?


「ハトさん。ニャンちゃんが怪我しているので治してもらえいないだろうか?」


「クゥックゥッ」


俺の頼みにも、残念ながら嬉しそうに鳴くばかりである。


うーむ。ハトさんの方は治療魔法は無理なのだろうか?


……分からない。しょせんは人と動物。そうそうコミュニケーションがとれるものではない。

いくら白ハト様が治療魔法を使えるからといって、望んだ時に使ってくれないのでは意味はない。


その白ハト様はといえば、散歩に飽きたのかニャンちゃんハウス3階に戻っていた。


時おり羽をバタバタさせて休む位置を決めているようだが……白ハト様が羽をバタつかせるそのたび、羽毛ならぬ治療魔法の光がニャンちゃんハウスに降り積もっていく。


マジかよ! これか? これが原因なのか?


言っては何だが俺とイモとで自作したニャンちゃんハウス。決してその出来はよろしくない。イモのイラストは最高に可愛いが、ただそれだけである。


それにもかかわらずニャンちゃんが休憩に入り込む。

ハウス内に白ハト様の治療魔法が充満しているのが原因だ。


俺は急いで膝に座るニャンちゃん。少し怪我しているニャンちゃんを抱き上げハウスの中へ突っ込んだ。


「にゃん?!」「なー」


寝ているニャンちゃんを起こしてしまったようだが気にしない。


ニャンちゃんハウス内は不思議な暖かさがあり、怪我を癒すだけでない。何だか疲れまで癒されるような。そんな不思議空間となっていた。


「凄い……凄いぞ……」


もはやこれはショボイだけのニャンちゃんハウスでない。


寝泊りするものの怪我を癒し、疲れを癒す。治療魔法によるリラクゼーションハウス。このハウスある限り、ニャンちゃんたちは怪我も疲れも知らずに戦い続ける戦士となるだろう。


モンスターを迎撃するための拠点。要塞。

ニャンちゃんハウスあらため、無敵要塞へと変貌したのだ!


「凄すぎではないか……ばんざーい!」


ひとしきり万歳三唱したところで……ふう。俺としたことが叫びすぎて少し疲れた。どれ。俺も無敵要塞に入らせてもらい休むとするか。


「シャー!」


バリバリ


むねん。無敵要塞に入ろうとした俺はニャンちゃんに引っかかれ、追い出されてしまった。


いや。そもそもが猫サイズのハウスに俺が、人間が入ることに無理があった。

だとしてもニャンちゃんハトさんだけが休んで俺が休めないのはよろしくない。差別というもの。


ニャンちゃんハウス、ではない。無敵要塞を少し増築するか。


具体的には俺が寝泊りできるだけのダンボールハウスを隣に建てる。隣とはいえ治療魔法のおこぼれ位はもらえるだろう。


「おにいちゃん。さっきからなに叫んでるのー?」


「イモか。これを見ろ! この無敵要塞を!」


「? ニャンちゃんハウスがどーしたの?」


「ニャンちゃんハウスではない。改名したのだ。無敵要塞と。ちょっとイモの腕だけでも入れてみてくれ」


「んー?」


ニャンちゃんハウス2階。ニャンちゃんが寝転がるところへイモが腕を突っ込んだ。


「あれ?! なにこれー? なんか腕がスッとするー」


そうだろうそうだろう。


「それでだな。無敵要塞を増築。俺たちも入れるハウスを隣に建てようと思うのだが、どうだ?」


「おもしろそうー。やろうやろう」


話は決まった。


イモの持って来た朝ご飯を食べた俺は、後をイモに任せてダンジョンを出て地上へ。ダンボール調達へと向かう。


近場のコンビニで貰えれば良いのだが……まあ無理だろうな。

仕方がない。ホームセンターへ行くか。


品川ダンジョンで魔石を換金した後、俺はホームセンターのDIYコーナーへやって来た。


ダンボールを買うとして、後は何を買うべきか?


無敵要塞に不足しているもの……それは強度。


外壁がダンボール作りでは、モンスターに体当たりされでもすれば吹き飛びかねない。というか吹き飛ぶ。


……冷静に考えれば、ダンボールを組み立てただけで無敵要塞を名乗るのに無理があるのではないだろうか?


今にして思えば、白ハト様の治療魔法に浮かれてアホなことを口走ったものだ……


だが、地下2階に無敵要塞を建造する方針に間違いはない。ニャンちゃんハトさんをダンジョンに住まわせることで、俺たちが何もせずとも経験と魔石、お肉を稼ぎ続けてくれるのだ。


そして、住むにあたって草原広場は絶好の環境。

となると、やはり改善すべきは無敵要塞の強度にある。


いっそのこと鉄板で組み立てるのもありだが……ダンボールに比べ鉄板のお値段は高い。薄い物ならそうでもないが、それではモンスターの攻撃に対してダンボールと大差はない。


それに何より総鉄板作りは暑さ寒さがダイレクトに伝わり、防音効果も皆無。ニャンちゃん、ハトさんが住みづらいと感じ、出て行ってしまっては本末転倒である。


やはり資金、工作難度、住環境のコストパフォーマンスを考えれば、総ダンボール作りに勝るものはないのだが……そうだな。


現在のダンボールハウスはそのまま。

外敵からの脅威に不足する強度を補うべく、外壁にタイルを張るように何か固いものを張り付けるか。


となれば何を張り付けるかだが……タイルでは強度不足。鉄板を貼り付けるのも良いが……自宅ダンジョンにもっと良い素材があるではないか!


「ダンボールと接着剤の購入っすね? まいどありー」


そうと決まれば俺はホームセンターを後にする。


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