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4.品川ダンジョン、地下1階

ダンジョン入口の階段を降りた先。

地下1階層に降りた瞬間。


「っ……」


軽い酔いにも似た感覚がじょうの身体に襲いくる。


これが魔素酔いというやつか……


頭に手をやり、軽く目をつぶる。


ダンジョン内部の空気には、魔素と呼ばれる物質が含まれる。軽微であれば人体に害はなく、徐々に身体を慣らしていけば活動するに支障はなくなるというが……


しばらくのち。頭痛のおさまりと共に目を開ける俺の前に、地下1階の景色が見えてきた。


階段を降りてすぐの場所は、縦横30メートルもある大きなホールとなっていた。コンクリートを思わせる壁面には、灯りである電球がズラリ敷き詰められている。


その灯りの元で多くの探索者や職員の人が集まり、探索で

得た魔石や素材の買い取りなどが行われていた。


なるほど。攻略読本のとおりである。


ダンジョン。

未知の遺跡とはいえ、これまでの探索により各処に人の手が入り込んでいる。


探索者が踏破。安全の確認された階層には、電気、ガス、水道などのインフラ整備が進められており、ここ品川ダンジョンにおいては、地下2階層までのフロアの占拠、安全が確保されている。


ホールの隅には魔石を地上まで搬送するための大型貨物エレベーター。そして、地下3階層まで降りる探索者用エレベータまでもが設置されていた。


まあ、今の俺が利用することはない。


一般的にダンジョンの階層が深くなれば深くなるほど、魔素の濃度が濃くなるとされており、慣れない者が短時間に大量摂取すれば死につながるという。


今日の探索は地下1階のみ。いきなり地下3階に降りようものなら、それだけで危険である。


攻略読本を手にホールを通り抜ける。その先、幅5メートルはあるだろう広々とした通路を、壁に等間隔で取り付けられた電球を追いかけ歩き続ける。


道中。ダンジョン各処を巡回輸送するトラックとすれ違う。

入口ホールから狩場となる奥地まで探索者やその戦利品を乗せて走り回っているわけだが、そのマフラーから排気ガスの類は一切排出されていない。


魔石から得られるエネルギーを利用した魔導エンジン。

まだ一般販売されていないはずが、先行して配備しているとはさすがダンジョンである。


そのような景観を眺めながら攻略読本を手に10分ほど歩き続けたころ、前方に1軒のプレハブ小屋が見えてきた。


プレハブ小屋の脇、ダンジョンの壁に入口が1つ開いており、その出入り口を狙うよう大型の銃火器が設置されていた。


「どうも。こんにちは」


プレハブ小屋の窓口、暇そうに座るダンジョン協会職員に挨拶する。


「お。いらっしゃい」


職員の差し出す手に探索者カードを差し出すと、カードリーダーに通した職員が心配そうに声かけた。


「ふーん……はじめてか。今なら空いているから丁度良いぞ。ちゃんと武器は準備しているか? なんならレンタルもあるぞ?」


「いえ。用意してきましたので大丈夫です」


右手の包丁付きバットを持ち上げて見せる。


「まあ、それなら大丈夫か。怪我しないよう頑張れよ」


職員からカードを受け取り軽く頭を下げると、入口の看板をチラリ見上げ部屋に入って行った。


【モンスター養殖場】


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