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34.イモの部屋


俺が暗黒の霧をばらまく中、イモとニャンちゃんがモンスターを倒しまくったおかげでLVは2上昇。



■ギフト:暗黒魔導士 LV20 2↑UP


・スキル:暗黒の霧(五感異常、攻撃減少、防御減少、敏捷減少、魔攻減少、魔防減少、毒、腐食、魔力減少、魔力蒸発、恐怖、麻痺、睡眠、混乱、放心、封印)


放心(New)ぼんやりして何もしなくなる。

封印(New)スキルが活動を停止する。


・スキル:暗黒抵抗:暗黒強化:暗黒打撃

・スキル:暗黒熟練(New)暗黒スキルの消費MP減少

・EXスキル:プリンボディ:鋭利歯



「おーい。イモ。そろそろ帰ろうか」


「えー? おにいちゃん早くない?」


失礼な。全く早くはない。


「もうリュックが一杯だ」


LVの上昇による身体能力の向上。

ダンジョン内では俺の体力も大きく上がっているため、重くなろうが運ぶのに支障はない。


とはいっても、魔石の他に肉や皮を詰め込んだリュックはパンパンに膨れており、これ以上は物理的に無理である。


今後を考えると大きい物に買い替えた方が良さそうだ。


ニャンちゃん2匹と合流。ダンジョンを出るその前に地下1階。モンスターゲートの部屋へ移動する。


室内には暗黒の霧が充満したまま。

モンスターゲートを出たモンスターが死んだのだろう。

床には多数の魔石と肉が落ちていた。


今日は地下2階を探索。

けっこうな距離が離れたにもかかわらず、暗黒の霧は問題なく維持できていた。


暗黒の霧による、全自動モンスター狩場のテストは順調というわけだ。


リュックに入らないため、イモと2人。両手に持てるだけ魔石を持ってダンジョンを後にする。


梯子を上がりイモの部屋へ。ドアを開けて廊下に出た途端、背中のリュックが一段と重みを増し、ダンジョンに設置した暗黒の霧が消失するのを感じた。


ダンジョンの外では超常能力。スキルはその力を失うためである。


となると、暗黒の霧による全自動狩場が機能するのは、俺が自宅ダンジョンに入っている間だけというわけか……


自宅で寝ている間に、睡眠学習ならぬ睡眠狩猟できると思ったが……そう上手くはいかないわけだ。


ダンジョンを出れば能力を失うのは俺たち探索者だけではない。それはモンスターも同様で、凶暴なモンスターもダンジョンを連れ出せばその力を失い無害となる。


モンスターがダンジョンの外に出ないのは、そのためである。魚が水から出ないように。外に出ても殺されるだけだとモンスターも理解している。


しかし、待てよ……?


今、俺がギフトの力を失ったのは、イモの部屋を出た時。

ということは……イモの部屋はすでにダンジョンの一部になっている。そういうことなのか?!


ダンジョンの特徴。それは大気中に魔素が含まれることにある。


イモの部屋とダンジョンはつながっており、その入口は常に開放状態。ダンジョンの魔素は部屋に流れ込み放題となっている。


俺がイモの部屋のダンジョンに気づいたのも、部屋に魔素を感じたのが原因。すでにあの時から、イモの部屋はダンジョンの一部になっていたというわけか……


ということはだ。試しにイモの部屋の窓を、ドアを開け放しにしておけば、魔素はさらに拡散。自宅、庭あたりまでダンジョン化するのではないだろうか?


はたしてそれは……大丈夫なのだろうか?


世界には無数のダンジョンが存在する。

品川ダンジョンのように外壁で隔離、管理されていれば魔素の拡散はないが、野ざらしのダンジョンであれば魔素は垂れ流し放題である。


さらには魔石は魔素の塊。魔石の需要が増すということは、世界に魔素が拡散することでもあるわけで……


……まあ素人の俺が気づくようなこと。

世界中の研究者は、ダンジョン協会はとうに気づいている。


それでも、魔力発電、魔力家電、魔力自動車などなど。気づいた上で魔石の流通を増やそうというのだから……そういうことなのだろう。



「じゃーん。これが黄金ウシ肉だよー」


俺がホットプレートの準備を終えるころ、イモは黄金ウシ肉を食べやすいサイズに切り分け持って来た。


「見るからに旨そうだな……いや。イモ。油断するな? 美味しそうに見えても未知のモンスター肉。何があるか分からない。まずはお兄ちゃんが毒見するからちょっと待ってろ」


「はーい。残念。もうイモ食べましたー。切り分ける時にちょっと食べたもんねー。美味しかったよー」


なんだと?! 俺が一番で食べるはずが……

いや。違う。まさか生で食べるとは……危険すぎるだろう。イモに何かあったなら俺は死んでしまう。


「じゃあ、お肉を焼く間、おにいちゃんにはこれの毒見をお任せだよー」


イモが取り出したのは、体長50センチはあるバッタ獣の丸ごと唐揚げ。


いやいや……なぜにそのまま揚げたのか?

せめて元が何か分からないよう、形を崩してくれれば……


「イモ……これを食べるのは無理じゃないだろうか?」


「これ黄金バッタ獣だよー。食べないともったいないもん」


これは本当に黄金バッタ獣のドロップ品なのか?

ただの死骸のように思えるが……死骸であれば紫煙になり消えるはずであり、やはりドロップ品なのだろう……


「食べないならイモが食べるよー」


尻ごむ俺をよそに、黄金バッタ獣にハシを伸ばすイモだが。


「いや……俺が先に食べる」


イモは我が家の天使。万が一毒でもあれば、イモがお腹を壊すようなことがあっては、俺は悲しみから死んでしまう。


聞くところによると、昭和の時代はイナゴは普通に食卓にあったと聞く。バッタもイナゴも似たようなもの。食べるに支障はない。はず。


目を閉じ思い切って頭から噛り付いた。


パクリ


むっ? このパリッとした触感。ベタつきなくカラリと揚がった歯ごたえは上質のうんぬんかんぬん。


「どう? おにいちゃん」


パクパクパクパク


塩味だけの単純な味付けが逆に素材の味をどうたらこうたら。


「あー。食べすぎー。もう。イモも食べるー」


俺が噛る反対側。バッタ獣のお尻からイモが噛り付いた。


「おー。スナックみたいで美味しいー」


【EXスキル「擬態」を習得した】


擬態:昆虫の有するカモフラージュ能力でギフトを擬態する。


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