18.品川地下1階 狩場
掲示板 【ダンジョン】探索者初心者スレpart220
102:名無しの探索者さん
はえーやっとLV2なったわ
103:名無しの探索者さん
おめ! はよLV5なって初心者脱出したいね
104:名無しの探索者さん
もう養殖場でアメーバつんつんするの飽きた……
105:名無しの探索者さん
えー? 俺さあLV9あるんやけど?
これって高いの? きょとん
106:名無しの探索者さん
LV2あれば狩場行けるだろ
養殖場なんてギフト取ったら行く必要ないぞ
107:名無しの探索者さん
すみません
俺は明日初めて狩場行こうと思うのですが
狩場での注意点とかありますか?
108:名無しの探索者さん
いがいに何とかなるよ
やばければ回りの人が助けてくれるし
110:名無しの探索者さん
他人の獲物の横取りだけはやめとけよ
もめてもろくなことならん
111:名無しの探索者さん
>>105
LV9ってwスレタイ読めよ
112:名無しの探索者さん
横取りとかw取られるほうが悪いっての
んなもんまとめて倒せばええやろw
113:名無しの探索者さん
えー? だって俺まだダンジョン入って1日やから初心者やん? LV9やけどwww
114:名無しの探索者さん
うぜーどうせどっかのボンボンやろ
パーティに寄生してLV上げただけのカスがえらそうに
115:名無しの探索者さん
は? 自分で倒したってのwww
はー(クソデカためいき
情報見に来ただけなのに役立たんなーつっかえ
116:名無しの探索者さん
>>105>>112>>113>>115
荒らしは帰れカスが
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4/22(月)
月曜日。1週間の始まりである。
玄関でイモと待ち合わせ、俺は高校イモは中学へ途中まで一緒に通学する。
「おにいちゃん。今日は品川ダンジョンに行くの?」
「ああ。帰りは遅くなるから先に食べて良いぞ」
「あーい。なんか狩場では横取り? それが駄目らしいよ?」
「ん? イモ詳しいな。だが心配は不要だぞ。お兄ちゃんは攻略読本で予習済みだから任せておけ」
授業が終わり放課後。部活のない俺はジャージに着替えたあと電車に乗り、品川ダンジョンへ向かう。
今日の目的は自宅ダンジョンで回収した魔石の売却。
そのまま持ち込んだのでは何処で手に入れたか疑われるおそれがあるため、まずは品川ダンジョンでモンスターを退治。実際の魔石を手に入れ混ぜ合わせる形で売却するとしよう。
品川駅を降りてダンジョン入口のロビーへ入る。
すでに初回登録は済ませているため受付に立ち寄る必要はない。カードをタッチしてゲートを通り抜け、地下1階へと降りた。
学校帰りのためバットはないが、俺のLVは6もあるのだから何とでもなるだろう。リュックから包丁だけを取り出し俺はダンジョン奥へと進んでいく。
すでにギフトを獲得。実戦を経験した今、モンスター養殖場に用はない。
さらにダンジョンの奥。
看板の案内に従いドアを開け入った先。大きな広間に渦巻く2つのモンスターゲート。その周囲に集まる多くの探索者。
ここがモンスター狩場。
品川ダンジョン地下2階までのモンスターゲートは、全てダンジョン協会が制圧済みである。
しかし、モンスターゲートの全てを檻で封鎖したのでは、探索者が実戦を経験する場が、魔石を得る場が存在しなくなる。
そのため、あえて探索者相手にモンスターゲートを開放しているのがここ、モンスター狩場。ゲートからモンスターが現れるたび、探索者が我先に駆け寄り退治する。
俺は狩場内の空いている場所に陣取り、包丁を構え直した。
攻略読本にも地下1階の狩場は混雑すると書かれていたが……ざっと見たところ狩場の探索者は30人を超えていた。なかなかの繁盛ぶりである。
そうこうするうち2つのモンスターゲートからポヨーンと飛び出したのは、合計12匹のアメーバ獣。
しめた! 雑魚である。
暗黒魔導士は肉体能力に劣るとあるが、アメーバ獣ごとき包丁1本あれば十分である。
近くで跳ね飛ぶアメーバ獣へ包丁片手に駆け寄る俺の目の前で。
グサリ。アメーバ獣にボルトが突き刺さる。
基本的にモンスターは自分を攻撃した相手を狙うもの。
ボルトを受けたアメーバ獣は俺を無視して、クロスボウを持つ男の元へ跳ね飛んで行ってしまった。
「悪い悪い。でも早い者勝ちだからさあ」
無念……
一見、無秩序に見えるモンスター狩場だが、探索者の間には暗黙のルールが存在する。それは、一番早くモンスターにダメージを与えた者が討伐の権利を得るということ。
クロスボウから警棒に持ち替えた男がアメーバ獣を叩くのを見ながら、俺は元いた位置へすごすご退散する。
あくまで探索者間のルールであるが……守らなければ自分が不利となる。
なぜなら、ダンジョンにおける絶対のルール。
探索者間のトラブルはご法度である。に反する行為となるからだ。
ダンジョンは命を賭けた戦場。1つのミスが生死を分けるだけに、トラブルを起こす者がいたのでは探索者全体の危険となる。
そのため、トラブルを起こす探索者はダンジョン協会の調査が入り、最悪、探索者証を剥奪されることもある。トラブルメーカーにはそれだけ重い処罰が下されるわけだ。
しかし……周りを見ればクロスボウや弓矢を構える者。ナイフや石を投げる者。多くの探索者が遠距離から攻撃できる手段を備えていた。
対する俺の武器は右手の包丁1本のみ。
獲物は早い者勝ちとなれば、遠距離から攻撃できる者が有利であり俺の不利は否めない。
そんな探索者のなかでも注目すべきはそのうちの1人。
ボカーン。
アメーバ獣に火球が爆発。その1撃でモンスターは紫煙となり消えていく。
あれは攻撃魔法か。
遠距離攻撃でターゲットを取り近接攻撃で仕留める者が多いなか、魔法の一撃でモンスターを仕留めていく。
攻撃魔法を操るギフトとなれば、Rの魔法使いかSRの黒魔法使い。SSRの黒魔導士などあるが……いずれにしてもなかなかに希少なギフト持ち。
「おめーすげーな。俺とパーティ組まね?」
「いやいや。ワイとパーティを組むべきぞ」
「うーん。パーティか。どうすっぺかな」
魔法に目を止めたのは俺だけではないようで、パーティ勧誘がはじまっていた。
ま、俺には関係のない話。魔法使いが美少女であるならともかく、ただの少年では興味はない。
俺の興味は、魔法で狩りをするという点にある。