10.暗黒魔導士
4/21(日)
翌。日曜日。
予定では品川ダンジョンにこもりギフトを獲得する予定であったが……昨日。俺は自宅ダンジョンでギフトを獲得していた。
獲得したギフトは【SSR 暗黒魔導士】
俺にふさわしく、いかにも強そうな名前である。
探索者人生は、ギフトによって決まるといっても過言ではない。
いくら現実で大成功をおさめる社長であっても、得られるギフトがカスであれば探索者としてカスである。反面、現実がゴミハゲデブニートであっても、得られるギフトが当たりであれば探索者として英雄になれる。
どのようなギフトが得られるかは、獲得するまで誰にも分からない。そのような運否天賦で探索者人生が決まるのは、いささか理不尽と思わないでもないが……現実も似たようなものか。
先進国の富豪に生まれれば、それだけで人生イージーモード。
途上国の貧民に生まれれば、人生ハードモードとなる。そもそもが物心のつく前。赤子のうちに死ぬことだってある。
それを考えれば、日本に生まれ、優しい母に育てられた俺は運が良いといえる。親父はクソだったが。その運の良さがギフトにも現れていれば良いが……
俺は100パーセント攻略読本からギフト評価一覧のページを開いた。
これまでにダンジョン協会が調査、判明したギフトが網羅されているだけでなく、LV20までの成長を加味した評価を点数で紹介する素晴らしいページである。
100パーセント攻略読本の主観評価ではあるが、参考になるのは間違いない。
はたして、暗黒魔導士は載っているのか……あった!
■【暗黒魔導士】
希少評価:SSR
個人評価: 4/10点
集団評価:10/10点
総合評価:9.5/10点
■概要
相手の行動を阻害するデバフ魔法を得意とするギフト。
なかでも暗黒魔導士は、能力を減少する弱体魔法。状態異常を付与する異常魔法。どちらも使えるハイブリッドギフトである。
■強い点
暗黒の霧は、他のデバフ魔法と異なり複数の弱体、状態異常をまとめて付与する強力無比なスキル。確認できる使い手は暗黒魔導士のみである。
■苦手な点
弱体、異常のどちらも使える反面、その威力は控えめとなる。
他の魔法使い系ギフトと同様に身体能力は低い。
■習得スキル
・LV1 :暗黒の霧:デバフ効果を与える暗黒の霧を発生させる。
・LV5 :暗黒抵抗:暗黒、弱体、状態異常に対する抵抗力上昇。
・LV10:暗黒強化:暗黒の霧の範囲拡大。暗黒の霧の威力上昇。
希少評価は、ギフトの希少性を示すもの。
探索者協会が独自に調査、集計したところ、ギフトを獲得できる確率はおおよそ下記のとおりである。
UR: 不明 SSR:1% SR:10%
R: 30% N: 59%
探索者が100人いれば、SSRのギフトを持つ者は1人というわけだ。もちろんSSRギフトにも種類があるわけで、俺と同じギフトを持つ者と出会うことは稀だろう。
総合評価とは、ギフトの有用性を示すもの。
100パーセント攻略読本編集部が独自に採点した評価で、個人評価はソロでの有用性。集団評価はパーティでの有用性となる。
いくら希少なギフトであっても、それが役立つかどうかは別問題。ありふれたギフトであっても、役立つのであれば評価は高くなる。
これもあくまで攻略読本編集部が各ギフトのLV20時点の能力を独断で評価した点数となり、今後の成長により変化は十二分にありえる数値となっている。
うんこ評価の下されたギフトが、LV21で突然チートスキルを手に入れる。そういったことも十分ありえるわけだ。
俺の獲得したギフトはといえば……希少評価SSR。総合評価9.5点とは、また凄いギフトが当たったものだ……
ここで気になるのは他のギフト。
特に同じデバフ魔法を使う、ライバルとなる他ギフトの評価はどうなのかだが……
【弱体魔法使い】
希少評価: R
個人評価: 4/10点
集団評価: 7/10点
総合評価: 7/10点
・概要
相手の能力を減少する弱体魔法を得意とするギフト。
攻撃減少、防御減少など、ピンポイントで相手の能力を減少させる。
【弱体魔導士】
希少評価: SR
個人評価: 4/10点
集団評価: 8/10点
総合評価: 8/10点
・概要
相手の能力を減少する弱体魔法を得意とするギフト。
攻撃減少、防御減少など、ピンポイントで相手の能力を減少させる。弱体魔法使いの上位互換と呼べるギフトである。
【異常魔導士】
希少評価:SR
個人評価: 4/10点
集団評価: 8/10点
総合評価: 8/10点
・概要
相手に状態異常を付与する異常魔法を得意とするギフト。
盲目、毒などの異常により相手の行動を阻害する。異常魔法使いの上位互換と呼べるギフトである。
なるほど。
暗黒魔導士は弱体、異常のどちらも使えるハイブリッドギフト。ことデバフにおいては、最上位ギフトであるといえよう。
早くも俺の探索者人生、成功が約束されたようなものだ。