灰の夢
みんなすごいなぁ…ランキング頑張って入りたい…
今日も元気に書きましした!ではお楽しみ下さい!
私はこの国が大好きだ。
私達に豊かな水を運んでくらるこの川が好きだ。
私達に豊かな作物を恵んでくれるこの土が好きだ。
私達が楽しく暮らしていけるこの街が好きだ。
城を何度も抜け出して暖かくもてなしてくれたあのパン屋さんも、私の身分を知っていながらも一緒に飲もうと誘ってくれる居酒屋さんも、私の事を「お姉ちゃん」と呼び、遊んでとせがんでくる子供達がいるあの広場も。
だから奪わせない…あんな奴にこの国は奪わせない。
けど今の私にできることは少ない…守りたい…私の大好きなこの国を…
そんな時にあなた達が現れてくれた。あなた達が私の願いに応えてくれた。私はそれだけで充分報われた。それでもあなたは私に気づいてくれた。あのまま消えていくはずの私に手を伸ばしてくれた。
だから私はそれに応えてましょう。あなたにこれから寄り添っていきましょう。それがこの国のために私に出来る最後の恩返しだから…
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奇妙な夢を見た。
一人の女の子の姿があった。風になびくその髪は太陽の光に照らされ黄金色に反射していた。
空に伸ばした腕は力を込めればすぐに折れてしまいそうな程細いのに、その腕で多く大切なものを抱えていた。
何かを問おうとすると、振り向いた彼女は静かにサラサラと音を立てて灰となった。
そこで夢から覚めた。昨日の手に絡みついた灰のせいだと思った。手を見つめると王国より配布されたシルク製のガウンの袖からチラリと白い影が見えた。
「お前のせいなのかな…」
彼女はいったい誰なのか、彼女が渡したくない奴とは誰なのか、異世界に来て早速それらしい面倒ごとに直面してしまったようだ。
「…ま、これは追い追いだな。今日は王様からお話があったはず」
僕は今まで寝たこともなかった天蓋付きのベッドから飛び起きてさっさと外に出る支度をした。
異世界"デオン"に来て5日目、僕達は初日を除いたこの4日間で僕達を召喚した王国"カンドレア"の常識的な知識について勉強していた。
この国はかなり恵まれた環境で、四季がはっきりとしており僕達がいた世界と時間の感覚が一緒なのだ。
現在は5月上旬、花々が咲き、温かくなり始めた季節だ。
この世界での生活では魔法が主に使われているらしい。この城のいたるところにも魔法陣や魔法具がたくさんあり、それらが作用することによって人々は暮らしが成り立っているらしい。
正直、居心地は想像していたよりもずっといい。生活に不便はなく、このままではぐうたらしてダメ人間になってしまいそうなぐらいだ。
しかし、そういうわけにもいかない。僕達には一応この世界を救うという役割がある。
2年後に訪れる災いに備えるために呼ばれは僕達にやれる事は今のところないが、いづれ面倒ごとが舞い落ちてくるのは目に見えたいた。
そして今日、この国"カンドレア"の国王であるアル王にみんな呼ばれていた。
「おはようさん!」
王の間に向かっている途中、廊下で虎之助と鉢合わせした。
「おはよう虎之助、今日も朝からギラギラと目を光らせて…年中発情期のレッテルが貼られるよ?」
「俺を産んだ両親に謝れ、そして両親にはこんな目で産んだ俺に詫びてほしいもんだ…」
「きっとお腹の子を取り間違えたとか何か不慮な事故とかで親が間違えたんじゃない?じゃなきゃあのご両親から虎之助みたいな危険人物が生まれるわけないよ」
「あんま言いすぎると泣きそうになるからやめてくれ…」
虎之助は目を抑え天を仰ぐ身振りを見せた。それでかわいそうと思えるのは50を越えたバーコードおじさんぐらいだ。
「朝から何バカなコントを見せてんのよ…」
声がした後ろの方を見ると燕がいた。
「さっさと行くわよ、みんなもう着いてる」
燕が指差した先には王の間の扉の前にクラスメイト達が立っていた。どうやら僕達待ちのようだ。
僕らは急いで走って扉の前に向かった。
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「今日はよく集まってくれた勇者達よ」
アル王はそういうと自らの玉座に座った。
「主らには今日からあるところで魔法を学んでもらう、生活の方は国の方から援助をだしておくから心配するな」
アル王がそういうと王の間の端に立っていた衛兵達が荷車に何かを乗せて持ってきた。
「これから主らに行ってもらうのは"アルグレド"、国立魔法学園じゃ」
魔法学園というワードにみんながガヤガヤと反応した。それもそうだ。魔法学園なんて異世界らしくて実に楽しみだ。
みんなそれぞれが特有の魔法を持っている分早く試したくてしょうがないとソワソワしていたのだから。
「出立は今日より一年間、魔法を学び力をつけて来てもらいたい。この国のため、世界のため、その力をふるってほしい」
こうして異世界生活5日目、僕達"特クラス"28名は魔法学園への入学が決まった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。