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2話目です。

ファンタジー設定の難しさ…実感しました。

では2話目、お楽しみください。

「異世界ね…」


幼馴染の二人が言うことを僕は一度呑み込んでもう一度周りを確認する。


確かに雰囲気だけではそう言える気がする。

この部屋の造りといい、照明がロウソクであることといい中世の時代を感じさせるような風貌だ。しかし、それだけでは異世界とは言い切れない。もしかしたら僕達が突然謎の組織に拉致されて、ここはヨーロッパあたりの古いお城の地下にいるのかもしれない。他にもタイムスリップだったりドッキリだったり案外夢で終わったり…


けれどそんなのは()()を目の当たりにしたら何も間違いだと気付くだろう。


「ねぇアレって…」


「うん、多分本物だな」


「まあ、特殊メイクにしては出来過ぎよねー…」


そう言って向けた視線の先には…背中に炎を纏ったライオンがいた。

そこだけ異様な明るさと熱を感じる。ライオンは威嚇するように低い声をうならせギラギラとした瞳を僕達に向けながらじっと佇んでいる。


「ようこそ!勇者様方、我が名はハジート、姓はカルルトと申します。此度の召喚に応じてくださり誠にありがとうございます」


僕達がライオンに気を取られているとその影から一人の男が現れた。小太りで金髪、清潔を装っていてもどこか不潔さがにじみ出るような口元は申し訳ないが直視したくない。


「勇者?なにそれ…」


「なにこれドッキリ?ドッキリの時ってドッキリって言っていいのか?」


「あのライオンすげー…あのおっさんも特殊メイク?すごく汚い…」


そんな声が周りからざわざわと聞こえた。気がつくとクラスのみんなもここにいたらしい。そんななか僕は床に描かれていた陣より少し外にある一山の灰に目を引かれた。

この時、何故この灰に目を引かれたかはわからないが、まあ運命だということにしておこうと思う。


その灰に少し触れようとするとたちまち灰が僕の腕に絡みついてきた。


「うわぁ!?」


「ん?どうした?」


「変な声上げないでよ…」


二人は突然声を上げた僕にうるさいと言いたげな目を向けてきた。


「い、いや灰が…」


僕が慌ててそう言うと二人は訝しげに僕を見つめる。


「灰?んなもんどこにあるんだよ」


「へ?」


自分の腕を再度見ると先程植物のように絡まってきた灰はその姿を消し、僕の間抜けな格好だけが残っていた。


「…お前が混乱するのは珍しいけど話は聞いとけ?あのおっさんなんか話してるし」


「話ならもう終わったよお馬鹿さん」


虎之助がそう言うと燕が呆れたように話に入ってきた。燕が指指した先には部屋から出ていくように誘導されるクラスメイト達がいた。


「あれは?」


「とりあえず、異世界ってのは本当みたい。詳しい話はこんなジメジメ薄暗いところじゃなくて王様直々に話すそうよ?」


僕が聞くと燕がそう答えてくれた。流石は学年一の秀才だ。こんな時でも話は全部聞いていたらしい。


「こんな状況でも混乱せずに王の間に直行とか…ウチのクラスって順応性高すぎない?」


「元々そういうクラスでしょ?特クラスなんだから」


そう。僕らのクラスは学校の建立当初からある一つ、周りの学校と比べ変わった点があった。「特殊可能クラス」、通称"特クラス"。それぞれ秀でた才能や周りとは違いすぎる点を持った生徒が集まるクラスだ。


そんなクラスの連中でまともなやつなんてそう多くいるはずがなく…


「まあ…そうだよね…」


僕は苦笑いしながらゆっくりとその場で立った。二人はそれを確認するとさっさと前を歩いていく。


「ほれ、とっとと行くぞ」


「早くしなよ」


「「界斗」」


そんな中でもある程度まともな僕、変乃木界斗はクラスの中でそこそこまともな親友二人とその部屋を出た。


『早く、気づいて…』


「え?」


部屋を出るときそんな弱々しくも綺麗な女の子の声が聞こえた気がした。












それに気を取られて僕はもう先程までの奇妙な灰のことは忘れてしまっていた。



最後まで読んでくださりありがとうございます。

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