プロローグ"おはよう"
異世界モノも書いてみました。
暇であれば是非読んでコメント、評価をくださると嬉しいです
ー白い光が教室を包み込んだあの日、何を思ったのだろうか。
ある者は恐怖を抱き、ある者は期待を抱き、またある者は平穏を抱いた。
その中で僕もー
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「…き…!…い!」
誰かの声が聞こえる。必死そうに何かに呼びかけているようだ。
「…きろっ……だこの………!」
真っ白だ。一寸先も見えないほどに真っ白、自分の足元すら見えやしない。
「………の…おい…起き…るだろ……」
いや、違う。正確には足元を見ることすらできない。首が動かず下を向けない。ただ、身体が金縛りにあっている。
「………うら……よ…せーの」
人は身体が動かないと分かると案外冷静ではいられない。身体が動かない恐怖は僕の手足の先まで温度を奪い固まっていく。
そんな中で真っ白で殺風景な景色に薄っすらと黒い影がさした。なにかと目を凝らしてみたがその影は認識されるよりも早く僕の顔面に届いた。
そして、影が僕の右頰にミリ単位で食い込んだ時に気づいた。目を凝らしたはずなのに瞼が動いていなかった。そう、僕は目を閉じていたんだ。と…
「いったぁ!」
右の頰に鋭い痛みが走り、僕は目を開いた。先程まで言うことを聞かなかった身体は嘘のように素直に動いてくれた。
「おはよう寝坊助、まだ目が覚めてねぇようならもう一発いっとくか?」
その声がした方向をみるとやけに爽やかな顔をしているくせに、目だけは野生の獣のように鋭い男がいた。
「おはようロリ之介、今日もその危ない目で子供を愛でていたの?」
「誰がロリコンだ!俺はボン、キュ、ボンしか興味はねぇへべ!?」
僕の幼馴染の一人、真円寺虎之助。無駄にイケメンで無駄にスペックが高く、無駄にモテている無駄の多い女好きだ。
そんな彼はたった今僕の目の前で腹を抱えて土下座の体勢になっている。
彼をそんな状態にした者がその横でゴミを見るような目を向けている。
「ボン、キュ、ボン、ねぇ…ね?虎之助、女の子の価値ってそこだけなのかな?ね?」
こちらの女王様らしき女子が川崎燕。幼馴染の一人にしてかれこれ6年間虎之助に想いを寄せている「実は乙女系女子」だ。
「それにしても…あんたもよくこんな状況で寝てられるわね…」
「こんな状況?」
僕は燕に言われて再度周りの様子を確認する。すると少し、どころか全然僕の知っている光景とは違った。
先程まではいたって普通のコンクリート造りの教室だった。しかしそこはそんな近代的な光景ではなく壁は石積みされて作られたおり、照明は明るい蛍光灯から薄暗い灯りを灯すだけのロウソクに変わっていた。
僕が座っていた数年にわたって先輩達に使われていた机と椅子は消え去って、代わりに冷たい石の床に赤の絵の具のようなもので陣が描かれていた。
「…………何これ?」
僕がそう聞くと二人はきょとんと目を合わせあってその質問に答えた。
「まあ…」
「多分…」
「「異世界」」
この日、僕達はクラス単位で異世界に来てしまったらしい。
最後まで読んでくださりありがとうございます