エピローグ
そのころ、ここは地球から遠ざかりつつある宇宙船の中。
大きなメインモニタには、現在位置やこれからの飛行予定コース、自動操縦装置の作動状況などが表示されているが、今は誰も見ていない。左右のサブモニタには機体各部の状態やだんだん小さくなっていく地球の姿などが表示されているが、やはり誰も見ていない。
4人の乗組員の目は、操縦席横の小さなモニタに集まっていた。表示されているのは、地球人が猫と呼んでいる地球生物を抱いて笑っている写真。
「まったく、お前らが地球に立ち寄って猫を見てみたいなんて言い出すから、予定がずいぶん遅れてしまったじゃないか」
「そんなこと言ったって……」
1人がモニタの画面を別の写真に切り替えた。
「ほら、船長だってノリノリだったくせに」
「い、いや、それはっ」
船内に笑い声が広がる。
「しかし、噂通り、かわいい動物だな」
「さすがに、萌え宇宙生物ランキングで常にトップ3入りは伊達ではありませんね」
「でも、猫って遊ぶのが大好きなんですね」
1人が、5匹の猫が並んでいる写真を見ながら言った。
「1匹と遊んでると、他の猫も次々と集まってきて」
「ああ、そうらしいな」
みんなで顔を見合わせて笑い合う。
「中には、頭に跳び掛かってくるやつまでいたからな」
「もらった餌を独占されるのがいやだからとか?」
「あ、そうなのかも」
モニターに、全員で猫を抱えて並んでいる写真が表示された。
「まあ、おかげで予定以上にたくさんの猫と写真が撮れてラッキーだったけど」
「帰ったら、みんなに自慢できますね」
「しかも」
モニタが切り替わり、猫たちが皿の周りに集まっている写真が表示された。
「あり合わせの宇宙食だけど、わりと好評だったみたいですよ」
「ああ、それは予想外の大発見だな。って、いや、そんなことはどうでもいい!予定が遅れとるんだ。急いでワープに入るぞ。早く配置につけ」
「へーい」
乗組員たちが、それぞれ担当の装置の前へ散っていく。モニタの中の猫たちが、その様子を見つめていた。
思いついてぱっと書いたものなので、煮詰め切れていない点や読みにくい点も多いかもしれませんが、お付き合いありがとうございました。