プロローグ
そんなに長い話ではありませんが、投稿練習も兼ねて連載形式で投稿してみます。
ここでは初めての投稿なので、作品設定に問題があればご指摘ください。
背中を撫でられているのを感じて、俺は目を覚ました。
薄目を開けると、いつもの人間だ。人間たちは、俺が寝ているのを見るとつい触りたくなるらしい。ま、別にいいけどな。食べ物やあたたかい寝床と引き替えなら、時々起こされるくらいは我慢しよう。眠ければ、またいつでも好きなときに寝ればいい。どうしても今寝ておかなければならない理由も特にないしな。
んーっと、めいっぱい体を伸ばす。目覚めた直後の伸びは、何とも気持ちいい。しかし、そろそろ……。
ほら来た。俺が伸びをしていると、人間がおもしろがってお腹を撫でてくるのは、いつものお約束だ。そして、俺が体を丸めて、人間の手に爪を立てつつ指に噛み付いて反撃するのもお約束。もちろん、俺も本気で攻撃しているわけではないが、ちょっと痛かったのか、人間は俺で遊ぶのを諦めたようだ。ちなみに、俺が反撃しないで我慢していると、さらに胸のあたりからお腹まで両手で力一杯撫で回されることになる。
さて、とりあえず毛繕いでもするか。前脚を舐めて、それを顔に擦りつける。ついでに耳のあたりにも擦りつけ、それから全身を丁寧に舐めていく。
この人間は、俺の飼い主……ということになるんだろう。でも、俺はあまり意識していない。同じ家で暮らしているから顔を合わせる機会は多いが、それだけだ。食べ物をくれるから、悪い相手じゃないとは思うけどな。ちなみに人間は、俺たちのことを猫と呼んでいる。どういう意味があるのかは知らないが、俺たちにも特に拒否する理由はないし。正直、どう呼ばれてようが興味はないというのが本音だ。
人間は今、テレビを見ているようだ。テレビというのは、どういう仕組みなのかは俺にはわからないが、いろいろな情報が表示される装置らしい。自分で見に行かなくても遠くの情報がわかるというのは、確かに便利だな。
今日はどんな情報が出てるんだ?毛繕いをしながらちらっと画面を見ると、何やら灰色の肌で、真っ黒で巨大な目の人間のようなものが映っていた。何だあれ?説明を聞いてみると、あれはどうやら宇宙人とかいうものの姿らしい。宇宙人というのは、えー、つまり、別の世界からやって来た人間ということのようだ。そんなものの情報を集めて、人間は何をする気なんだろう?
ま、何でもいいや。どっちにしても、俺にはあまり関係なさそうだ。毛繕いも終わったし、夜の散歩にでも行くとするか。俺は、部屋を横切ってベランダに出るドアのところまで行くと、ドアの横の壁を軽く引っ掻いた。人間が部屋にいるときは、こうやってドアの横を引っ掻けばドアを開けてくれることになっている。
開けてもらったドアを出て、ベランダから手すりの隙間を抜けて屋根に降りる。さらに塀を踏み台にして地面に降りると、俺は夜の道をのんびりと歩き出した。