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世界を変える力でダンジョン攻略

 今、俺はダンジョンでセナを担ぎながら全力疾走している、なぜこんなことになっているかというと説明するとしばしさかのぼる。

 俺たちは村を出て2日ほど歩いたが草原も終わらないしいっこうに次の村が見えてくるわけでもない。

「セナ、このまま歩いても村が見えないってことはないよな」

「多分大丈夫だと思うわよ、多分」

 馬鹿な俺でもその台詞を聞けばすべて理解出来た、つまり迷子というわけだ。

 そのあともしばらく歩いてみるものの見渡す限りの草原、草原、ダンジョンの入り口である。

「え? ダンジョンの入り口」

 俺の前には洞窟の入り口のようなところにダンジョンの入り口と書かれた看板が置いてあるのが見える。

「セナ、あれってダンジョンなの?」

 俺は目の前の状況がわからずセナに尋ねてみたがセナはなぜか目を輝かせていた

「(とっても嫌な予感がする)」

「冬夜! ダンジョンよ! 冒険と言ったらダンジョンよね!」

 お見事なぐらい嫌な予感が的中した。

「セナ、俺たちまだ装備とかあんまりだし行くのやめない?」

 今現在の装備はセナは軽装に剣が二本、そして俺は学生衣服である。

 だがセナはそんな問いかけを無視してダンジョンの目の前まで行っていた。

「(ダメだ、全く聞いてない)」

「冬夜! どうやらすごいお宝があるらしいわよ」

 俺は仕方なくセナの方に向かう。

「冬夜、これを見て」

 セナは看板の裏を指さしている。

「なになに、このダンジョンには持っている者とその者がいる場所が映し出される魔法の地図が隠されています」

「冬夜、この地図を手に入れ際すれば私たちの迷子も解消されると思うんだけど」

 確かいこんな地図があれば次の町までは苦労しないで行けるだろうけど、てか迷子の自覚あったのか、でもどう考えても怪しい。

 だがセナがここまで行きたがってるし、セナには借りもあるから俺は仕方なくダンジョン攻略を了承する。

「ありがとう冬夜、さあ早く早く」

 セナはとても楽しそうな顔をしてダンジョンに入っていく、俺はその顔を見て砂月の面影を感じ何故だか少しさみしい気持ちになる。

「冬夜! 早く来ないと置いていっちゃうわよ」

「いや置いてくのは勘弁してくれ」

 こうして俺の初めてのダンジョン攻略が始まった、そして俺は後悔する、なぜこんなことに気づかなかったのかと。



 俺たちはしばらく歩いてみたが、特にトラップや魔物がいるわけでもなくすんなりと進んでいく、だがなぜかセナは少し不満そうである。

「セナ、なんか不満そうだがどうかしたのか?」

「なんでダンジョンなのに魔物がいないのよ!」

「いや、別にいないならいないでいいだろ」

「せっかくライズさんから貰った剣を試せると思ったのに」

 そう言ってライズさんから貰った剣を素振りしていると、セナにとっては待ちに待った咆哮がダンジョン内に響いた。

「この咆哮はミノタウロスじゃねえのか」

 俺はそうでない事を祈りながら咆哮がした後ろを振り向く。

「ミノタウロスが1、2、3」

 俺の願いは叶う事なく目の前には絶望が広がっていた。

「セナ! 全力で逃げるぞ!」

「大丈夫よ冬夜! 私に任せて」

 そう言ってセナはミノタウロスの前に立ち剣を構える。

「魔剣の力を見せてあげる」

 その言葉と共にセナが持っている剣が光りだし、光り輝く剣が3本セナの周りを回りだす。

「魔剣よ我が敵を切り裂け!」

 セナの号令で光り輝く剣はミノタウルスを攻撃し、

 あっというまにミノタウロスを倒してしまった。

「何だ、、、いまのは」

 俺は目の前で起こった事が凄すぎて感動していた。

「これが魔剣の力、魔剣って言うのは魔法を柄に付いてるこの石に記憶させる事で魔力さいあれば誰でもつかえるのよ」

「誰でもできるの? 俺でも」

「えっと、、、冬夜は魔力がないから無理」

「根本的にダメなのか」

 俺は落ち込みながらも流石にここに居ても仕方ないので前に進もうとする、だがセナは地面に座って動こうとしない。

「何やってるんだ、早く行くぞ」

「えっとね、、、魔力が尽きて動けません、いや初めて使ったからどれ位使えるかわからなくて、、、」

「えっと、じゃあ、おんぶでいいかな」

「え、おんぶ、おんぶなの」

 セナはもじもじしている、俺はこういう時どうしていいかなど分かるはずもなく。

「え、えっと、抱っこのほうがよかった」

「だだだ抱っこ!」

 セナは顔を覆いもじもじし始める、俺はどうしたらいいのかと考えながら、ふとセナの後に目をやる、そこで俺は今置かれてる状況を理解した。

「セナ! 後ろにミノタウロスがいるぞ、しかもまた3体もだ!」

「え、え、え、ミノタウロス、まだ動けないんだけど」

 セナはおどおどしている、俺はもはや目の前のミノタウロスと動けないセナで完全にパニックになっていた。

「すまないセナ! とりあえず逃げるぞ」

 俺はセナを抱えて走る、多分これはお姫様抱っこという奴なのだろう。

「冬夜、何してるの」

「全力で逃げてるんだよ!」

 俺はダンジョンでセナを抱えながら全力で駆ける、運動神経平凡の俺だが何故か今なら走り続けられる気がした。

「(このまま走り続けてもらちが明かない、ここは力に頼るか)」

「セナ! しばらく俺の首をつかんでてくれ」

「わ、分かった」

 セナは思いっきり首を絞めてくる。

「ち、違う首を絞めるんじゃない、死んじゃうから」

「ご、ごめんパニックで」

 セナは首に腕を組みなおす、俺は学生服ポケットから石を取り出す、思えば今なをなぜ俺は学生服なのか。

「アクセス」

「変更できる箇所は一か所です」

「(2回目からは問題なしで行けるのか)」

「名称をフラッシュストーンに変更」

 右手が光り握っていた石はフラッシュストーンに代わる、フラッシュストーンはいわば目くらましができる石だ。

「冬夜もうそろそろ限界」

「もうすこしの我慢だ」

 俺はそのまま走り続る、狙いの場所が来たので後ろに向かってフラッシュストーンを投げる、地面に接触した瞬間フラッシュストーンは強い光を放つ、俺はそのすきに横道に入り込みひたすら走る

「冬夜どうするの、一時的にまいただけじゃまた追いつかれる」

「大丈夫だこの道は一回通ってる、だとするとこっちが出口だ」



 ダンジョンから出ると外はすでに夜になっていた、俺は疲労からかその場に座り込んでしまったセナもまた魔力が回復してないのか立てずに座り込んでいる。

「つ、疲れた」

「冬夜、ごめんね」

「何故謝る、ダンジョンに入ると決めたのはお互いの了承の元、それにダンジョンなんだからこれくらいのハプニングがなきゃな」

 俺はこんな時気の利いた言葉をかけてやれるタイプではないのでとりあえず思いついた言葉を言ってみたりする、セナは俺の返事を聞いて少しうれしそうにしていた。

「あのさ、一緒に皇帝討伐なんて無謀な旅についてきてくれたセナには話しておきたいんだ、この右手のこと」

 そう俺が切り出すとセナは興味があるのかこちらをじっと見つめる

「この右手には世界を変える力があるんだ、俺が石をボムストーンやフラッシュストーンに変えたのも、ミノタウロスとの戦いのときにスライムのステータスを書き換えたのもこの力なんだ、ただ条件があって書き換えるには問題を解かなきゃいけないんだよ」

「そういうことだったのね、今のでかなりスッキリした」

 セナは納得のいく表情をすると、こちらを見て話を切り出す。

「ねえ冬夜、その力私に使ってみてくれない」

「構わないけど、どうもこの力は人間には厳しくて問題が難しいんだ」

「もし難しかったら一緒に考えようよ」

 セナはにっこりと笑いながら返してくる、だが俺にはそれがどうしても砂月の面影が見えてしまう

「そうだな、それじゃあ行くぞ」

 俺はセナの右手を握る

「アクセス」

「問題、彼女の名前は?」

「(自分の問題はなぞなぞみたいなのにただの名前?)」

 俺は少し疑問に思いながらも、ライズさんの苗字を思い出しそのまま答える。

「セナ=アングレイ」

「不正解です、この体へのアクセス権を一日剥奪します」

 俺は問題の答えが違うのに少し疑問に思ったが、割とすぐに理解できた。

 俺は聞いていいことなのか少し悩んだが、今うやむやにすると今後聞けない気がして思い切って聞いてみた。

「セナ、お前の本当の名前ってなんだ?」

 それを聞くとセナは黙り込んでしまった、やはり地雷だったのか、だがセナはしばらくして口を開いた。

「私捨て子だから、もし本当の名前が別にあるのならそれはわからないの」

「え、あ、そうなんだ」

 なんだか空気が重くなりお互いに話しずらい状態になってしまった、ここは俺が気の利いた言葉をかけてあげなければならないのかもしれない、だが先に話しかけてきたのはセナだった。

「あのね、実は私、本当の名前を知りたくて冬夜と旅に出たの、でもね、、、」

 セナはそういった後に何故か俺に抱き着いてきた。

「冬夜が最初言ってた私に似てる子がいるって言ってたでしょ、別に冬夜が呼びたければ私のことは砂月って呼んでくれてもいいのよ」

 この時俺は急に抱き着かれもちろんパニックになっていたがセナも内心はパニックだった。

「(なんで私は冬夜に抱き着いてるの、ど、どうしよう)」

「(え、え? 何で抱き着かれてるの、もしかしてそういう流れだった?)」

 お互いこんな感じになっているためよく理解できないままその状態からしばらく動けなかった。

「いや、流石その呼び方はできないかな、俺が今一緒にいるのはセナ=アングレイだから」

「ありがとう冬夜」

 この日を境に俺はセナに砂月の面影を見ることはなくなった、これでよかったのだセナは砂月ではないのだから、俺は誓った必ず名前を見つけて見せると、そして思った結局ダンジョンは一階以上奥に進んでいないと。
























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