表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特務部隊<キズ>  作者: 中尾リン
一章
7/7

6話

 予告しましたが、遅くなってしまい申し訳ありません。やはり時間が無くて…。


 再び読んでいただきありがとうございます。

それではどうぞ。




 教室に戻ると、そこにはおそらく今日提出の課題に、夢中になって取り組んでいるソウと、その隣に呆れた様子のリュウしかいなかった。

 戻って来た俺にリュウが気づく。


「…思ったよりも早かったな」

「授業の事で話しただけだからな」


 そのやり取りの中、ソウがいきなり立ち上がり、ガッツポーズを決める。


「よっしゃ!完成!」


 その反応に対して、俺とリュウは冷めた対応をする。


「…やっとか」

「さっき先生から聞いたぞ、提出してない奴ソウだけだってよ」

「マジで!みんな真面目だな~」


 ……お前が不真面目なのだよ。そろそろ気づけ…。


「よし!じゃあこれ出して、帰るわ!」


 筆記用具などを雑に鞄の中に突っ込み、ソウが帰る支度をする。


「何か用事でもあるのか?」

「これからバイト!んじゃまた明日!」


 そう言い残して、教室の扉を乱暴に開け、瞬く間に去って行った。


 俺は、廊下へと逃げる冷気を留めるために、開け放たれ扉を閉めに行く。廊下からは夏の空気が、流れ込んで、少しばかり生温くなった。

 ガラガラと音を立て閉め、暑く湿った空気を断つ。


「…お前のアレ、整備終わったぞ」

 俺達しかいない教室でリュウが話しを切り出す。話し出したリュウはいつもの呆けた表情ではなく、真面目な話をする時の表情になっている。

 だいたい、リュウがこの表情をする時は仕事の話だ。


「アレって、HSM?」

「…あぁ、今日の朝の3時くらいに終わった」

「状態はどんな感じだった?」

「…酷過ぎだ……」


 その言葉を言ったリュウの疲れ切った感じから、ホントに酷かったのだろう。おそらく今、リュウの頭の中には、まだボロボロの状態の俺のHSMがまだこびりついているのだろう。工業油みたいにベッタリと。


「…傷だらけの装甲を全部換装して、切れ掛かっているワイヤー張り替えて、そしてその後姉貴の試作したOS 組み込んで、その後バグばっかりだったから書き直して、んで……」


  言葉は次第に小さくなっていき俺に伝わらなくなっても、何やらブツブツと呟いている。おそらく、今後どうしたら良いか、改善点や工夫を考えているのだろう。それが疲労で口から漏れている。


「ありがとう、これで安心して戦える」

「…そりゃよかった……頑張った甲斐がある」


 リュウが大きなあくびをする。よほど疲れていたのだろう。それなのに俺と違って眠らずに、全部の授業を起きていたのは、こいつが真面目な奴だからだと思う。そしてふと思い出したかの用に呟いくのをやめ、話を再開する。


「…そう言えば、オヤジがお前のヤツ用に飛行ユニットを開発してた、姉貴と一緒に」

「万能機にでもする気かな……、開発者とはいえ少し自重してほしいな…」


 フゥ……溜息をこぼし、眠気と戦いながらリュウは話し続ける。


「…人支援魔術装置、Human Support Magic device、略してHSM。オヤジが俺ぐらいの年には、既にコレを考えてたんだよなぁ。魔法と機械の親和性とその利用方法を……授業の合間に」

 としみじみと噛み締めるように言うか。


「すげぇよなぁ お前のオヤジさん、授業の合間じゃなかったら、もっと尊敬してた」

「…ホントな……」


 なんだか同じ所で共感できた事が、なんだかおかしくって、俺達二人は笑ってしまった。


***************************



 ひとしきり、笑ったあと、リュウから俺の機体の状態の説明を受けた後、

「装甲の傷が他の隊よりも多い」とか

「なんでもっと早く不調のことを相談しない?」とか

思い付いたものを全て言っているのでは?と思えるほど小言を言われた。最後の方、同じ小言が二回くらい出たからネタギレなのだろう。


「…小言はこれぐらいにして行くか」

「行くって?」

「…昼、姉貴にクレハ先輩の妹さんの義手のメンテナンスをするって……、どうせお前も来るだろ?」

「あぁ、連絡行ってたのね、もちろん行くよ」


 鞄を整理し、支度をする。教科書を机の中から取り出し、鞄に詰め、ファスナーに手を掛けた時に…。


 

 悲鳴が聞こえた。声は同じ階の離れたクラスから聞こえた。

 何を言っているかわからないが叫んでいる。

 何かを訴えるかのように、助けを乞うかのように、自分を哀れむかのように、子供のように駄々をこねるかのように。



「まさか……!」

「…そのまさかだろ……コレは!」


 俺は扉をさっきのソウよりも勢いよく、扉を開け放ち、声の聞こえた教室へと走る。


「コウ!」


 後ろから聞こえたリュウの制止の声を振り切り、悲鳴の聞こえた教室の扉の前へと着く。


「うちの学校、外から中見えなくてよかった…」


 扉へと手を掛ける。その手は少し震えてる。


「そうでなかったら、ビビってこの扉開けれないな」


 開けようと指に力を込めたその時。


「ウアアァァァァァァァァァァァ‼︎」


 ひときわ大きな悲鳴と、ドンと建物が揺れるくらいの振動が、この教室から出てきた。


「ッ‼︎クソ‼︎」


 意を決して扉を開いたそこには、普段の面影を残さないほどに壊された教室だった。

 黒板は縦に亀裂が入り、机はあちらこちらに残骸となって転がっている。

 極め付けは床だ。床一面、人の腰くらいまである棘が教室を埋め尽くしている。棘がタイルを割り、机を壊し、教室という日常的な空間を非日常にしている。


 その棘の草原の中一人の女子がいる。身体中を擦り傷だらけにして、叫んでいる。


 そして俺はこのような光景を何度か見たことがある。そしてこの現象の名前を呟いやいた。


「<キズ>………‼︎」


 



 


 再び読んでいただきありがとうございます。


 次回!いよいよ と言うよりも、やっと と言った方が良いと思うのですが、バトル回です!

 この作品の始めてのバトルです!


 が‼︎、いかんせん始めての試みなので、たぶん、と言うか、おそらく時間が掛かります。

 気長にお待ちください。


 ではまた!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ