表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/94

002おとぎの国とMMO

「シェルハ、待たせてすまない。話の続きを聞かせてく……れ?」


いや、変に思わないでほしい。俺の言葉が妙に尻すぼみになったのは、先ほどまでの神性などかけらもないほど子供っぽい仕草で、シェルハが小さくガッツポーズをしていたのが見えたからだ。


俺たちがまじまじとその姿を見つめているのをみて、ごまかすようにスカートをぱんぱんとたたき、姿勢を正す。

「コホン!……すみません、あなた方のようなまともな対応は久しぶりだったので、つい嬉しくて……。」

耳まで真っ赤にしながらシェルハが弁明を始める。


……どういうことだ?

俺たちの目がさらに疑問の色を深めた。


「いえ、古来より多くの少年少女が本や絵画、船の模型や衣装ダンスなど様々なものを媒介にここを訪れ、素直に冒険に胸を躍らせてくれていたのです。……ところが最近は携帯電話やPCゲームを媒介に来る子ばかり。

みんな開口一番『俺のステータスは?』、『ジョブは?』、『スキルは?』、『チートくれよ!』と連呼してきて、正直辟易していたのです。」


あ~なるほど、確かに異世界といわれれば数十年前までは児童文学でふれるようなおとぎの国のイメージだっただろうが、最近ではすっかりMMOとかゲームの世界だものな。そうした異世界に転生する話も多いようだし、素直にファンタジーの世界に感動するより異世界MMOで活躍したい!と燃える輩は多いのかもしれない……。


「しかも説明も最後まで聞かず、『もういい、あとでHELP読むから説明スキップ!』とか『必要になったらGMコールするからとっととマップに案内しろ』とか……。ひどい人になると、いきなり『レベル99にしろ!』、『最強のジョブにしろ!』、『ハーレム作らせろ!』とか言ってきて……、もう泣きそうでした。」


あ~、うん。それはなんというかアレだな。さすがに夢がなさすぎるな。

いや、ある意味ハーレムとか言ってる奴は夢があるのかもしれないが。

シェルハもずいぶん苦労しているんだな。


見れば浅尾さんも「シェルハちゃん大変だね~」と呟き、都築さんも同意するようにうんうんと頷いている。


しかし同情のまなざしで見る俺たちに対して、なぜか、すっと気まずそうに視線をそらすシェルハ。


「それで、ですね。この世界は基本的に少年少女の夢で成り立っている関係上、やってくる子たちの影響を受けて変化していくのですが……今話していたようなタイプの子たちが増えてくると、どんどんこのアルフ・ライラもゲームみたいな世界になってしまって……。」


……ん?

いや、確かにさっき千変万化の世界とか、少年少女の思い描く空想の世界を具現化とか言っていたから、まあそうなってしまうのか?

う~ん、なんだかイメージが違ってきたぞ、『おとぎの国』。


「この召喚の儀はいつの間にかシステム上で『チュートリアル』って名称になってますし、次回以降の夢での接続も『ログイン』、『ログアウト』って呼ばれるようになってます。」


……はい?


「負の感情の集合体は『モンスター』や『mob』、それを倒すことで得られる心の成長は『レベルアップ』、それに伴って世界から受ける数々の恩恵は『ボーナスポイント』、心の状態や強さを表すのは『ステータス』、身につけた技術を行使するのに効率化したものが『ジョブ』、世界の住人たちからの依頼は『クエスト』、『イベント』……もう数え上げればきりがないです!!」


おい!もうそれは完全にただのゲームじゃないか!

おとぎの国なんていう少年少女の夢のかけらも無いぞ!


なんだよ、これまで真面目に話を聞いて損した。それこそ開口一番、『これ、なんてMMO?』でよかったんじゃないのか?


見れば浅尾さんはともかく、都築さんが引きつった笑みを浮かべている。

それはそうだ、さっきまで真剣に色々考えていたものな。


そんな俺たちの葛藤をよそに、色々ぶちまけたシェルハがすっきりした表情で言い放った。

「すみません、そんなわけで今の私は夢の管理人とか神様的な存在から、すっかりチュートリアルキャラクター兼GMみたいな感じになっているんです。ではあらためて本格的なチュートリアルを始めましょうか!」



■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



「現状のアルフ・ライラはほぼ異世界体験型MMOになってます。」


シェルハがぶっちゃけた。

まあ事実なのでどうしようもないのだろうが。

俺たちはというと、楽な姿勢でといわれたのでそれぞれ地べたに腰を下ろして話を聞いている。白く輝く床はほんのり暖かく、座ってて心地がよい。


「ログイン時間は、このチュートリアルを除いてPM10:00からAM8:00までの1日最大10時間です。この間であればいつログイン・ログアウトしても構いません。DLした『アルフ・ライラ』アプリにはタイマーの設定がありますので、自分の生活のリズムに合わせて設定しておくとよいでしょう。ログアウトはゲーム中の操作でも出来ますので、あとでメニューで確認しておいてください。」


なお、このチュートリアルは時間差なしで現実世界に戻れる、という話は前にしましたよね?とシェルハが付け加える。


もう清々しいまでにMMO用語満載だ。ゲーム中とか言ってるし。最初の神秘的な雰囲気はどこに行ったんだ……といっても仕方ないので俺も手を挙げて質問する。


「ちなみにログイン中、現実の身体はどうなってるんだ?」


「魂が抜けているので、深い睡眠状態と同じです。ログアウトする、あるいはゲームで死亡しない限りは目覚めないので、きちんと布団に入ってからログインしてください。脳も肉体もその間しっかり休んでいますから、『アルフ・ライラで徹夜して翌日が辛い』ということは無いですよ。」


ほう、それは便利だ。寝ている時間を有効活用できるということならば、他の時間を犠牲にせずにすむ。


「アルフ・ライラの昼夜は現実世界とほぼ逆で、およそ10時間ずれています。つまり現実世界のPM10:00の段階ではアルフ・ライラは朝、同様にAM8:00の段階では夜になるということですね。日照時間がかなり短いので、プレー中は時間の流れが速く感じるかもしれませんが、プレー可能な10時間の間でアルフ・ライラの朝から夜までの姿が見られるとお考えください。」

なるほど、今は大体夕方五時頃なのでこの世界では深夜なんだろうな。


「ゲームの目的は基本的にクエストをこなしながら、負の感情の集合体であるモンスターたちを倒すこと。それ以外はこの世界を堪能するもよし、他のプレイヤーと交流を深めるもよし、自由に過ごしてください。」

まあ、この辺はよくあるMMOと同じで特に問題はないな。少年少女の冒険がこの世界の根幹のはずなのだから、素直に楽しませてもらおう。


「さて、では次にキャラクターメイキングの話をしましょうか。外見は現実世界に準拠するのでよいとして、各種ステータスを項目ごとに説明していきましょう。」


シェルハが右手を真横にかざすと、巨大なスクリーンが空中に表示される。

魔法なのだろうが今更驚かない。


「こちらのスクリーンをご覧ください。各キャラクターのステータスは、筋力・体力・敏捷・器用・精神・知力・純真の7項目から成り立っており、それぞれ現実世界の能力を元に算出された『素養』というパラメーターが設定されています。」


現実世界の能力が元?

ちょっと意外だな。こういうゲームは大抵ステータスにランダム性があったり、プレイヤーが数値を自由に振れるイメージがあったんだが。


「素養はE~Sまでの値で表示され、Cが普通でEが最低、Sが最高です。Cを基準に、下はDは一般よりやや劣り、Eはかなり劣ることを意味しています。高い方の基準はBが中の上クラス、Aが一流、Sは超一流を指すと考えて頂ければよいでしょう。これはステータスの基本値に関わる大切な値で、現実世界での努力次第で上下しますので、ゲーム以外の普段の生活も大事にしてくださいね。」


ふむ、現実世界の能力差がそのままゲームに反映されるのは善し悪しだと思ったが、一方で現実の努力次第でゲームの世界でも強くなれる可能性があるんだな。さすが『おとぎの国』らしい、少年少女の現実での成長を促すのが第一なんだろう。


「では実際にあなた方の素養を見てみましょう、まず彩佳さん!」


「はい!」


元気よく返事をして立ち上がる浅尾さん。俺や都築さんがここまでの話の展開に一喜一憂(一呆れ)する中、この人は徹頭徹尾、態度がぶれずに楽しそうである。


「目を閉じて、目の前に青いメニュー画面が表示されているイメージを思い浮かべてください、その一番左上に『素養/ステータス』の表示があるはずです。見えますか?」


「お?おお、見えるー!見えるよシェルハちゃん!」


「ではあとのお二方にも見てもらうためにこちらで操作を引き継ぎましょう、目を開けてください。」


浅尾さんが目を開けると同時にシェルハの横のスクリーンにずらずらっと文字が表示される。これがメニュー画面か。確かに左上に『素養/ステータス』の表示がある。


それを手でタッチして開くシェルハ。

「では見ていきますよ……って、筋力A!体力A!敏捷A+! すごい!なんですかこれ!超一流の前衛職になれますよ!」


シェルハの洩らす感嘆の声を聞き、照れる浅尾さん。

まあ当然だろう、短距離のホープだもんな。


「器用C、精神C+、知力C、うんうんこちらのジャンルでも一般的な基準を十分クリアしてますね!そして純真が……」


そこで絶句するシェルハ。ステータス画面を見つめた状態から、まるで機械仕掛けのような仕草でぎぎぎ……と浅尾さんの方を振り返る。

その表情は驚愕から感嘆、感嘆からさらに歓喜へと目まぐるしく変化する。


「純真S!!!すごい!すばらしい! 

最近の子達の中ではコレ、奇跡の値ですよ!

いや~、良かったあ……まだ現実世界にこんな純真な人がいてくれたんだぁ~。」


シェルハが顔を真っ赤にしながら浅尾さんの手を取り、ぶんぶん振り回す。よほど嬉しかったのか、笑顔を通り越して半泣き状態だ。


確かに先ほどまでの話を聞いていると、最近ここを訪れる連中は純真さのかけらもなさそうだからな。そういった連中に苦労させられている分、シェルハとしては浅尾さんのような子の存在は嬉しいんだろう。


ただ……


「なあシェルハ、筋力とか知力とかはわかるんだが、純真って項目にはどういう意味があるんだ?」


「よくぞ聞いてくれました! 純真はHPとMP、特にMP(マジックポイント)の値を大きく押し上げてくれる超重要ステータスです!前衛職でもスキルを使うときにはMPを消費しますのでこれが高いのはすごく有利なんですよ!

他にも格納庫(ストレージ)……アイテムボックスのことなのですが、この容量も器用と純真、どちらか高い方の値が適用されますし、それ以外の様々なところにも影響を及ぼす、絶対見過ごすことが出来ないステータスなんです!」


へえ、そんなに大事な値なのか。先ほどの素養と現実の才能の話もそうだが、この世界はやはりそこかしこに少年少女の夢の物語という要素がかいま見える。


……ただ、純真は重要か。困ったな。



■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



「ではお二方の素養を見るのは少しあとにして、先に彩佳さんの初期設定をすべてすませてしまいましょうか!」


先ほどの純真Sがよほど嬉しかったのか、声を弾ませるシェルハ。

スクリーンに向き直り、画面をもう一度クリックすると俺達への説明を再開した。


「今度は実際のステータス値を見ます。先ほどの筋力、体力等の項目に加え、HP、MP、JPの3つが表示されます。」


「JP?」

「ジョブポイントの略です。ジョブに関してはこのあと説明しますね。基本的にHPは筋力・体力の値プラス少しだけ純真の影響を受け、MPは精神・知力の値プラス大きく純真の影響を受けます。JPは器用・精神の値に、その他筋力~知力の項目でもっとも高い値1つを加えて算出されますので純真は残念ながら関係がありません。」


最後の部分を心底残念そうに付け加えると、シェルハは表示されたステータスを読み上げ始めた。


「HP194、MP108、筋力27、体力26、敏捷32、器用9、精神13、知力8、純真42!やはりすばらしい!くぅ~、最高ですよ!彩佳さん!」


握りしめた拳を激しく上下に振って喜ぶシェルハ、一方浅尾さんはどう反応して良いのかわからず、「えへへ~」と照れながら頭をぽりぽりかいている。


「JPは15。うん、一般的な値が8~12なので、それを大きく超えていますね!」

浅尾さんの場合JPに影響する器用・精神の2つの項目は並だが、残りの項目でもっとも高い敏捷の32が反映されているのでそういう結果になるのだろう。


「では次にジョブの説明に入ります。」

シェルハがまたスクリーンを操作して、今度は『ステータス/素養』の下にある『ジョブ』の欄を開いた。


「ジョブには生活職・戦闘職の2つがあり、それぞれコストが存在しています。

彩佳さんのJPは15ですので、この値までのコストの職であればつくことが出来るわけですね。初期の戦闘職は大体7~12のコスト設定なので、気兼ねなく好きなジョブに就けますよ。」


そういってシェルハは『ジョブ一覧(戦闘職)』のページを呼び出す。

そこに表示されたのは、

戦士 ……コスト12。近接武器適正、遠距離武器適正(低)、軽~重装防具可。

剣士 ……コスト9。刀剣系装備適正、軽~中装防具可。

槍使い……コスト9。槍系装備適正、軽~中装防具可。

斧使い……コスト9。斧・打撃系装備適正、軽~重装防具可。


修行僧……コスト8。打撃系装備適正、法衣・旅装可、スキル『聖魔法(低)』

闘士 ……コスト7。手甲装備適正、旅装可、スキル『気功術』。

傭兵 ……コスト7。全武器適正、軽~中装防具可。※能力補正なし

冒険者……コスト7。全武器適正(低)、軽装防具可、スキル『野営』『気配察知』

騎手 ……コスト7。弓・刀剣装備適正(低)、旅装可、騎乗適正


「ジョブはステータス等、条件を満たしているものが表示されます。やはり前衛職はほぼ表示されていますね。より詳細な情報をみたい場合は各ジョブをクリックしてください。」


ほほ~、と浅尾さんがジョブ一覧を見入る。


「オススメはコスト9以上の前衛職ですね。それぞれスタータスに能力補正がかかるのと、熟練度をあげれば武器に応じたスキルが使えるようになります。一方で闘士、修行僧、騎手はそれぞれ癖があるので、はじめはやめておいた方がいいでしょう。」


「傭兵と冒険者は?」


「傭兵は低コストで幅広い武器防具が装備できる代わり、能力補正はなく、スキルも使えないので、JPが低い人向けのジョブです。一方冒険者は戦闘能力が低い代わりに、便利な『野営』と『危険察知』が使えるので、他にメインの戦闘職を選べるだけのJPに余裕がある人向けですね。選び方は人それぞれですが、ひとまずここでは剣士を選んでください。」


シェルハの勧めに従って剣士を選ぶ浅尾さん。


「多彩な武器が扱え、重装防具装備が可能な戦士に対し、剣士は武器が刀剣系に限定される上に防具も中装までですが、刀剣適正は戦士より高いですし、筋力に加えて敏捷補正もつくので敏捷値の高い彩佳さんにはぴったりですよ。一方戦士は筋力・体力に補正がつくのでこちらも十分ありなのですが、今はコストの関係で剣士にしてもらいました。」


ふむふむ、この辺りの情報は俺がジョブを選ぶときにも参考にさせてもらおう。

なお、戦士はコストが高めの代わりに剣斧槍すべての武器スキルが使えるらしい。

悩みどころだな。


「さて、これでJPの余りは6ですが、これは生活職に当てましょう」

そういうと今度は『ジョブ一覧(生活職)』のページを開くシェルハ。

また先ほどのようにジョブが表示される。


祈祷師……コスト4。杖系装備適正(低)、法衣可、スキル『祈り』

旅人 ……コスト4。短剣系装備適正(低)、旅装可、スキル『野営』

踊り子……コスト4。短剣系装備適正、スキル『踊り』、『投擲』

遊牧民……コスト4。弓系装備適正(低)、騎乗適正(低)

鍛冶屋……コスト3。打撃系装備適正(低)、スキル『鍛冶(低)』

狩人 ……コスト3。弓系装備適正(低)、動物使役(低)、スキル『採集』

漁師 ……コスト3。槍系装備適正(低)、スキル『釣り』

農民 ……コスト3。斧系装備適正(低)、植物育成(低)、スキル『採集』

羊飼い……コスト2。動物使役(低)


「生活職は単体では弱く、戦闘における役割は低いですが、一方で特殊なスキルや能力を持ったものが多いです。特に彩佳さんの場合、コスト4で回復スキル『祈り』を持った祈祷師、何かと便利な『野営』を持つ旅人、騎乗適正のある遊牧民といった優秀なジョブがありますから、このあたりを選ぶと良いでしょう。」


なるほど、メインの戦闘職のサポートを生活職でおこなうイメージか。戦闘職に比べて装備適正に(低)と書かれているものが多いので、これだけで戦うのは厳しそうだ。


俺なら祈祷師を選ぶかな。どんなゲームバランスかわからないが、回復は絶対あった方が便利なはずだ。あとは踊り子のスキル『踊り』も気になる。ステータスアップの効果でもあるのだろうか。


浅尾さんは「う~ん遊牧民、いや旅人もありかな~」と頭を抱えて悩んでいる。

……うん、完全に俺とは考え方が違うな。まあいいけど。


「あ、戦闘職も含めてこのチュートリアル中は何度でも選び直せますから、片っ端から色々試してみていいですよ。むしろ本格的な冒険がスタートすると所定の場所以外では1日1回しかジョブチェンジできませんから、今のうちに全職試すぐらいのつもりでもいいかもしれません。」

シェルハが助け船を出す。


そうなのか、それなら確かに片っ端から試した方がいいな。

浅尾さんも吹っ切れたのか、まずは旅人を選択したようだ。


「はい、ではこれで彩佳さんのチュートリアルは終了です。あとは……」


とシェルハが左手を真横にかざす。


ぼわん、という音とともに剣やら斧やら一通りの武器が納められた木箱と、各種防具を取りそろえた木棚。さらには騎乗用の馬やら巨大なウサギ?らしきものが現れた。


そして、

「メェ~」、「メェェェ!」

なんともしまりのない声とともに出現する、丸々膨らんだ羊のようなモンスター。


「この辺りでいろいろと試しながら、他のお二方のチュートリアルが終わるのを待っていてもらえますか?」

この子達は倒してもすぐ復活するmobなのでどうぞ遠慮無く、とシェルハが付け加える。


「は~い!」

浅尾さんは元気よく返事をすると、木箱から剣を抜き取ってモンスターに斬りかかる。ぱぱぱぱぱーん、と風船のように割れていく丸ひつじ。


「あはははは~、これたっのし~!」

「メメメェェェェェェェ!!」


浅尾さんは本当にぶれない……というか環境適応能力が高いな。

片っ端から蹴散らされる丸ひつじを見て、俺はしみじみそう思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ