放課後かくれんぼ (オリジナル)
初めての企画参加予定の作品です。
そして読むのも書くのも得意じゃないホラー・・・
楽しんでいただけたら幸いです。
僕らの学校は古い。創立180年以上で、その時から同じ校舎を使っている。でも、規模は大きくない。各学年に一つしかクラスはないし、人数だって20人くらいずつしか居ない。そのかわり、クラス仲は勿論、学校全体の仲が良いんだよ。でもね、入学するときには20人でも、卒業するときはいつも1人か2人減っちゃうんだー。放課後にかくれんぼした子供は、全員じゃないけど、連れてかれちゃうんだよぅ。
え?何処にって?そんなの知らないよ。ただ、連れて行かれてしまうんだとしか聞いたことないもん。君が試してみたら良いじゃないか。
そうだ。今から80年位前だったかな、最初の死者が現れたのは。あの子が始まりなんじゃないかな。その子の話、君には特別に教えてあげるよ。
放課後のかくれんぼ。昔、僕らの学校で男の子が行方不明になったんだって。見つかった時にはその男の子、死んじゃってたって聞いたよ。だからね、放課後にかくれんぼするときは外の倉庫に隠れちゃいけないんだよ。連れて行かれちゃうんだから。
***
ある夏の日の放課後のこと。クラスの皆でかくれんぼをしていたんだ。外にある倉庫に隠れてオニをやり過ごす。真夏の日差しを遮って、ほんの少しだけ涼しい倉庫の中。絶好の隠れ場所だと思ったんだ。
ふと気が付くと、開いていたはずの倉庫の扉が固く閉ざされていた。急に怖くなって、僕はドアを力任せに叩く。
開けて!!僕はここだよ!!ここから出して!!
いくら声を張り上げても誰も来てはくれなくて。暑いのに寒くて、寒さで滲んだ脂汗が背中をつたう。頭の中と倉庫の中、両方に響く高い笑い声。僕以外に誰も居ない筈なのに、僕の腕を誰かが掴んでいて―――
おとーさん・・・おかーさん・・・たすけて・・・
僕の意識はそこで途切れた。
次に目を覚ました時、誰も居ない校舎の中で独りぽつんと佇んでいた。僕以外に誰も居ない―――なのに声が聞こえてきた。
『独りは寂しいんだ・・・僕とずっと一緒にいよ?』
いやだ!!僕をお家に帰してよ!!
そう、叫んだけれど、叶うことはなくて。僕は声だけが存在する校舎に閉じ込められた。初めは僕独りだったんだけど、いつからだったか子供が来るようになった。
『君も、独りは嫌でしょう?一緒に楽しく過ごそうよ』
クスクスと笑う声が響く。
時々現れる子供は、僕みたいにこの校舎に囚われていて、ここから出ることができないようだった。この場所から解放される日は来るのだろうか?僕らは今日も囚われの日々を過ごす―――
***
オニが彼を見つけたときには、もう息をしてなかったんだって。絶望に染まった顔。恐怖に歪んだ顔。一体何が起こったんだろうねぇ・・・?
あぁ・・・君もかくれんぼでは外の倉庫においでよ。一緒にあそぼ?タノシイトコロに連れて行ってアゲルからさぁ―――
―――クスクスと笑う声が響いた―――
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以上、譲葉でした。